埼玉県越谷市のごみ処理施設で2026年11月4日、休暇中だった埼玉県警春日部警察署交通課の男性巡査部長(37)が、駆けつけた警察官から拳銃を奪い、自らの頭部に発砲した。巡査部長は病院に搬送され、意識不明の重体となっている。
巡査部長は事件前、「息子が通学途中にさらわれた」と110番通報していた。しかし、誘拐の事実はなかったという。
現場では越谷警察署の警察官4人が対応しており、県警は通報の経緯とともに、拳銃が奪われた状況を詳しく調べている。
午前8時45分に110番通報 約1時間20分後に発砲
埼玉県警によると、巡査部長が110番通報したのは4日午前8時45分ごろだった。
息子が通学途中に連れ去られたと訴え、警察官に越谷市内のごみ処理施設へ向かうよう求めた。
通報を受けた越谷署員4人が向かったのは、越谷市増林3丁目の「東埼玉資源環境組合第1工場」。現場には巡査部長が1人でいたが、息子が誘拐された事実は確認されなかった。
署員らは巡査部長を保護し、パトカーに乗せようとした。しかし、巡査部長が暴れ始め、警察官を蹴るなどして抵抗したという。
午前10時5分ごろ、40代の男性巡査が携帯していた拳銃を奪い、自らの頭部に1発発砲した。
巡査部長は頭部を負傷し、意識不明の重体で病院に搬送された。現場で対応した警察官4人にけがはなかった。
公務執行妨害容疑で現行犯逮捕 入院治療のため釈放
県警は巡査部長を公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。その後、入院治療が必要となったため釈放している。
治療を理由とする釈放は、容疑が晴れたことや捜査が終了したことを意味しない。今後の捜査については、本人の容体なども踏まえて判断されることになる。
巡査部長は2010年10月に埼玉県警に採用され、2026年3月から春日部警察署交通課に勤務していた。
10月29日から休暇を取得しており、事件当日も勤務中ではなかった。
休暇の理由や、事件前の勤務状況に問題があったかどうかは明らかになっていない。熊日電子版|熊本日日新聞社
警察官4人が対応する中で拳銃奪取 安全管理の検証が必要
今回の事件で重大なのは、警察官が保護しようとしていた人物に拳銃を奪われ、実際に発砲されたことだ。
現場では4人の署員が対応していた。拳銃を奪われたのは40代の男性巡査で、腰に装着していたホルスターから持ち去られたという。
警察官の拳銃の携帯や取扱いについては、国家公安委員会規則「警察官等拳銃使用及び取扱い規範」が定めている。
警察官が暴れる相手を保護したり取り押さえたりする際には、本人や周囲の安全を確保することに加え、携帯する装備品を適切に管理することも重要になる。
県警には、当時の署員の配置、保護に至る判断、拳銃奪取を防ぐための対応について検証が求められる。
ただし、拳銃を奪われたという結果だけで、現場の警察官に規則違反や過失があったとは断定できない。e-Gov 法令検索
「息子がさらわれた」通報の動機は不明
事件の発端となった110番通報にも不明な点が残る。
巡査部長は息子の誘拐を訴え、自ら警察官の出動を求めていた。一方、県警の確認では、実際に息子が連れ去られた事実はなかった。
なぜ巡査部長が誘拐を訴えたのか、特定のごみ処理施設を指定した理由は何だったのか。これらの事情は明らかになっていない。
現段階で、意図的に虚偽の通報をしたと断定することはできない。また、発砲に至った動機についても、県警から具体的な説明はない。
通報した人物が現職の警察官であることを、対応した署員がいつ把握したのかも確認されていない。
埼玉県警「第三者への危害発生の可能性も」
埼玉県警の斎藤克也首席監察官は、今回の事件について、第三者に危害が及ぶ可能性もあったとして、原因究明と再発防止に取り組む考えを示した。
拳銃が発射されたのは、ごみ処理施設の敷地内だった。現場の警察官にけがはなかったものの、銃器が奪われ発射された事態は重大だ。
県警には、巡査部長本人の行動だけでなく、警察官が拳銃を奪われた経緯についても、事実関係を明らかにする責任がある。
編集部まとめ
今回の事件は、現職警察官による発砲と、警察官が携帯していた拳銃の奪取という二つの重大な問題を含んでいる。
誘拐の事実がない110番通報から、警察官とのもみ合い、拳銃奪取、発砲に至った経緯は十分に解明されていない。
一方で、警察官4人が対応する現場で拳銃が奪われた事実は、警察の安全管理を検証する必要性を示している。
埼玉県警には、未解明の通報動機や発砲の経緯とともに、現場対応の適切性についても調査結果の説明が求められる。
特記事項
本記事は2026年11月4日夜までに確認できた埼玉県警の説明と公表済みの情報に基づいて作成した。
巡査部長の休暇理由、通報の動機、発砲時の心理状態、拳銃奪取に関する現場対応の適否は確認されていない。
「誘拐の事実がなかった」ことと「意図的な虚偽通報だった」ことは区別して記載している。
週刊TAKAPI編集部/成田
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