神戸市立2病院で重大医療事故 CTの「肺がん疑い」見落とし、患者2人がステージ4に進行

神戸市立医療センター中央市民病院と西市民病院で、CTの画像診断レポートに記載された肺がん疑いを担当医が見落とし、患者2人がステージ4まで進行した医療事故を伝える青系報道アイキャッチ

神戸市は7月14日、神戸市立医療センター中央市民病院と西市民病院で、画像診断レポートに記載された肺がんを疑う所見を担当医が見落とす医療事故があったと発表した。

患者はいずれも、異常が指摘された時点で精密検査や専門診療につながらず、その後に肺がんが判明。発見時には、ほかの部位への転移を伴うステージ4まで進行していた。

神戸市民病院機構は病院側の過失を認め、患者側と和解して損害賠償を支払った。画像診断レポートの確認体制を見直すとともに、両病院で過去5年間のレポートを再点検する。

中央市民病院 80代男性の「肺がん疑い」を確認せず

中央市民病院の事例では、神戸市内に住む80代の男性が2024年6月、脳梗塞の疑いで救急搬送された。

CT検査を担当した読影医は、画像診断レポートに「左上葉に肺がんの疑い」と記載していた。しかし、診療を担当した救急科と脳神経内科の医師が重要な所見を見落とし、追加検査や呼吸器内科への紹介は行われなかった。

男性が同病院を再受診したのは、約1年半後の2025年12月だった。精密検査で肺がんが確認され、すでに脳などへの転移を伴うステージ4まで進行していた。

院内調査では、2024年6月の時点ではステージ1程度だった可能性があると推定された。早い段階で精密検査につながっていれば、手術を含む根治治療を検討できた可能性がある。

男性は2026年1月から投薬治療を続けている。

西市民病院 術後CTの小結節を見落とす

西市民病院の事例は、胃がんの手術歴がある70代の男性だった。

男性は2019年に胃がんの手術を受け、その後も定期的な経過観察を受けていた。2024年4月に行われた術後フォローのCT検査では、読影医が「右肺尖部に小結節があり、経過観察が必要」とレポートに記載していた。

ところが、担当した消化器外科医は記載を確認せず、肺の異常に対する追加検査は行われなかった。

男性は2025年12月、右肩の痛みを訴えて同病院の整形外科を受診した。レントゲン画像には右肺上部の異常影が写っていたが、肩関節周囲炎と診断され、別の医療機関を紹介された。

2026年5月、紹介先の医療機関で肺がんと確定診断された。すでに骨への転移があり、病期はステージ4Bだった。現在は抗がん剤治療などを受けている。

異常を発見できなかった事故ではない

今回の2件は、CT画像から異常を見つけられなかったケースではない。

いずれも読影医は肺がんを疑う所見を確認し、画像診断レポートに記録していた。問題は、診療を担当した医師がレポートの内容を十分に確認せず、精密検査や治療へつなげなかったことにある。

CT検査では、当初の検査目的とは異なる臓器に重大な異常が見つかる場合がある。脳梗塞の確認や胃がん手術後の経過観察が目的であっても、撮影範囲に肺が含まれていれば、肺がんを疑う所見が記載されることもある。

レポートが作成されただけでは、患者の治療にはつながらない。担当医による確認、患者への説明、追加検査の手配までを追跡できる体制が必要になる。

病院機構が謝罪 過去5年間のレポートを点検

神戸市民病院機構は、患者と家族に対し、「大切な時間を奪ったことを深くおわび申し上げます」と謝罪した。

再発防止策として、担当医が画像診断レポートを確認したかを把握する「既読管理システム」の運用を徹底する。重要な所見については、レポートを読んだかどうかだけでなく、追加検査や専門診療につながったかまで確認する体制を強化する。

中央市民病院と西市民病院では、過去5年間に作成された画像診断レポートを改めて点検し、重大な所見への対応漏れが残っていないか調査する方針だ。

今回の事故では、医師個人の確認不足だけでなく、重要所見を確実に治療へつなげる院内システムの不備も問われている。過去のレポート点検で新たな見落としが判明するかが、今後の焦点となる。

週刊TAKAPI編集部/成田

特記事項:神戸市および神戸市民病院機構の発表、各社報道を基に構成しています。患者の治療状況や院内調査の結果により、内容を更新する場合があります。

Q神戸市立2病院で何が起きたのですか?
A神戸市立医療センター中央市民病院と西市民病院で、CT検査の画像診断レポートに記載された肺がんを疑う所見を担当医が見落とし、患者2人の発見と治療が遅れる医療事故が起きました。
Q患者2人はどのような状態になったのですか?
A80代男性は肺がんが脳などへ転移したステージ4、70代男性は骨転移を伴うステージ4Bと診断されました。いずれも発見時には手術による根治が極めて困難な状態でした。
QCT画像で肺がんを発見できなかったのですか?
Aいいえ。読影医は肺がんを疑う所見や経過観察が必要な小結節を確認し、画像診断レポートに記載していました。問題は、担当医がその内容を見落とし、精密検査や専門診療へつなげなかったことです。
Q神戸市民病院機構はどのように対応しましたか?
A病院側の過失を認め、患者側と和解して損害賠償を支払いました。また、画像診断レポートの既読管理システムを徹底し、過去5年間のレポートを再点検するとしています。
Q今後の焦点は何ですか?
A過去5年間の画像診断レポートの再点検で、ほかにも重大な所見への対応漏れがなかったかが焦点です。レポートを読んだかだけでなく、追加検査や治療まで確実につなげる仕組みが機能するかも問われます。

記事要点

神戸市立医療センター中央市民病院と西市民病院で、CT検査の画像診断レポートに記載された「肺がん疑い」や「経過観察が必要」とする重要所見を担当医が見落とす医療事故が発生した。

患者は80代男性と70代男性の2人で、いずれも異常が指摘された時点で精密検査や専門診療につながらず、肺がんが判明した時にはステージ4まで進行していた。中央市民病院の患者は初診時点でステージ1程度だった可能性があり、西市民病院の患者は骨転移を伴うステージ4Bと診断された。

今回の事故は、読影医が異常を見つけられなかったのではなく、診療を担当した医師が画像診断レポートの内容を確認せず、追加検査や治療へつなげなかった点が問題となっている。

神戸市民病院機構は病院側の過失を認め、患者側と和解して損害賠償を支払った。再発防止策として、画像診断レポートの既読管理システムを徹底し、中央市民病院と西市民病院で過去5年間の全画像診断レポートを再点検する方針を示している。

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