高知県の高幡消防組合は17日、部下の男性消防士同士によるわいせつな行為をスマートフォンで撮影し、隊員らのグループLINEに拡散したとして、津野山分署に勤務する30代の男性消防士長を減給10分の1、3カ月の懲戒処分としました。
被害を受けた30代の男性消防士は、動画の撮影だけでなく、1年以上にわたって私物を隠されるなどの日常的なハラスメントも受けていたとされています。国のハラスメント相談窓口への相談をきっかけに、一連の行為が明らかになりました。
当直中の仮眠室で撮影
高幡消防組合によると、問題の行為は今年4月の当直勤務中、分署内の仮眠室で起きました。
20代の男性消防士が全裸になり、別の30代男性消防士にわいせつな行為をした際、消防士長が自身のスマートフォンでその様子を撮影。動画を親しい隊員らが参加するグループLINEに投稿したということです。
このほかにも、筋力トレーニング中に上半身裸だった同じ30代消防士の背中へ、別の隊員がキスマークを付ける様子などを撮影していました。
スマホや車の鍵を隠す行為も
調査では、動画を撮影された30代消防士が、消防士長と別の20代消防士から、1年以上にわたって複数のハラスメントを受けていたことも判明しました。
スマートフォンや腕時計、車の鍵を隠されたほか、愛媛県へ一緒に出掛けた際には、コンビニに1人だけ残された状態で車を発進され、後を走って追いかけさせられたこともあったとされています。
被害を受けた消防士は、「先輩に嫌われたくなかったので言えなかったが、これまでやられて嫌だった」と説明しているということです。
「コミュニケーションの行き過ぎ」
処分を受けた消防士長は、組合の聞き取りに対し、長く同じ隊で勤務し、私生活でも付き合いがあったと説明。
そのうえで、「特に嫌がっているとは思わなかった。コミュニケーションの行き過ぎで苦痛を与えたことを謝罪し、関係を修復したい」などと話しているということです。
しかし、職場内の上下関係があるなかで、被害者が拒否や抗議を口にできなかった可能性もあります。「嫌がっているように見えなかった」という認識だけで、行為が許容されるわけではありません。
消防長や分署長も減給処分
高幡消防組合は、30代の消防士長を減給10分の1、3カ月としました。
また、管理監督責任を問い、高幡消防本部の消防長と津野山分署長をそれぞれ減給10分の1、1カ月としたほか、ハラスメントに関わった20代消防士と津野山分署の副分署長を戒告処分としました。
被害を受けた消防士は現在、人事異動によって処分対象となった隊員とは別の隊に所属しています。
組織内の「悪ふざけ」で済ませられるのか
今回明らかになったのは、単発の不適切動画だけではありません。
私物を隠す、置き去りにする、性的な行為を撮影して共有する。こうした行為が長期間続き、被害者が「先輩に嫌われたくない」と声を上げられなかった点は、消防組織内の人間関係と職場環境そのものに問題がなかったかを問うものです。
住民の生命と安全を守る消防職員には、高い規律と信頼が求められます。高幡消防組合には、形式的な処分だけで終わらせず、ハラスメントを見過ごさない組織づくりと、相談者が不利益を受けない体制の徹底が求められます。
編集部まとめ
「仲が良かった」「嫌がっていると思わなかった」という説明と、被害者が実際に苦痛を感じていた事実は別です。上下関係のある職場では、部下が笑って応じていても、本心から受け入れているとは限りません。動画の撮影と拡散、長期間にわたる私物隠しなどが重なった今回の問題は、単なる悪ふざけではなく、組織的なハラスメントとして検証されるべき事案です。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項:高幡消防組合の発表および17日時点の報道をもとに構成しています。個人の特定につながる情報は掲載していません。
記事要点
高知県の高幡消防組合は、部下の男性消防士同士によるわいせつな行為を撮影し、グループLINEに拡散した津野山分署の30代消防士長を、減給10分の1、3カ月の懲戒処分としました。動画を撮影された30代の消防士は、スマートフォンや車の鍵を隠されるなどのハラスメントを1年以上にわたって受けていたとされ、国の相談窓口への相談をきっかけに問題が発覚しました。消防長や分署長、行為に関与した隊員らも処分を受けています。
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