日英伊が共同開発する次期戦闘機の「日本側組み立ての中心」が、愛知県に置かれる方向だ。
3カ国が進める次期戦闘機開発計画「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」をめぐり、愛知県豊山町にある三菱重工業の小牧南工場が、日本側の機体組み立てを担う中核拠点となる方向で協議が進んでいることが25日、複数の関係者への取材で分かった。
小牧南工場は、航空自衛隊が運用するF-35A戦闘機の組み立て実績を持つ。GCAPでも、これまで蓄積してきた設備や製造技術、人材を生かし、日本側の生産体制を支える見通しだ。
F-35Aの組み立て実績を次期戦闘機へ
GCAPは、日本の次期戦闘機計画と、英国、イタリアが進めてきた戦闘航空システム構想を統合した国際共同開発事業。2035年ごろまでの配備開始を目指し、機体やエンジン、電子機器などの開発が進められている。
関係者によると、機体の設計や製造をめぐる3カ国の役割分担は、現在も協議が続いている。英国やイタリアの拠点も重要な製造工程を担う可能性があり、最終的な生産体制は今後詰められる。
日本側では、小牧南工場を機体組み立ての中核とする方向で調整が進む。F-35Aの組み立てで培った品質管理や製造工程のノウハウを、次期戦闘機の生産にも活用する考えだ。
英国の技術者も小牧南工場へ
小牧南工場には、すでに英国側の技術者らが出入りし、機体設計に関する作業を進めているという。
国をまたいだ技術者の連携が、愛知の製造現場で始まっていることになる。今後は設計情報の共有や製造方法の調整など、3カ国による共同作業が本格化するとみられる。
ただし、各国がどの部位や工程を担当するかは確定していない。小牧南工場が日本側の中核となっても、英国やイタリアでも機体の重要部分が製造、組み立てられる可能性がある。
スペースジェットの技術者を配置転換
三菱重工は2023年2月、国産ジェット旅客機「スペースジェット」の開発中止を発表した。その後、開発に携わった技術者の一部を次期戦闘機事業へ配置転換し、設計や製造で培った知見を活用している。
スペースジェット事業は実用化に至らなかったものの、長年の開発を通じて航空機の設計、試験、認証などに関する技術と人材が蓄積された。
三菱重工は次期戦闘機を航空・防衛部門の重要事業と位置づけており、スペースジェットで得た経験を国際共同開発へつなげる。
日本の開発拠点は年内にも開設へ
3カ国は、それぞれ国内に開発拠点を1カ所ずつ設置する予定で、日本側の拠点は年内にも開設される見通し。
英国では中部ウォートン、イタリアではトリノに拠点を置く方向で、各国の企業や技術者が連携しながら設計と製造を進める。
愛知県内には、機体や部品、素材、工作機械など、航空機製造を支える企業が集積している。小牧南工場が次期戦闘機の中核拠点となれば、関連企業への発注や技術者の確保、人材育成にも影響が広がる可能性がある。
編集部まとめ
次期戦闘機の組み立て拠点をめぐる協議は、単に一つの工場の役割を決める話ではない。日本が国際共同開発の中で、どこまで設計と製造の主導権を確保できるかにも関わる。
役割分担はまだ調整段階にあるが、小牧南工場が日本側の中核となれば、愛知の航空産業にとって大きな転機となる。
週刊TAKAPI編集部/一条
特記事項:本記事は複数の関係者への取材内容を基に構成しています。機体の設計・製造に関する役割分担や拠点の運用体制は協議中で、今後変更される可能性があります。
愛知が担う次期戦闘機生産の要点
日本、英国、イタリアが共同開発する次期戦闘機GCAPをめぐり、愛知県豊山町の三菱重工・小牧南工場が、日本側の組み立て中核となる方向で調整が進んでいる。F-35Aの生産実績に加え、スペースジェット開発で培った技術と人材も投入される見通しで、愛知の航空産業にとって大きな転機となる可能性がある。
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