東京都稲城市に本社を置く株式会社TKCが運営する保育園「天才キッズクラブ」で、運営会社の代表取締役による不適切な保育や職員への威圧的な言動が繰り返されていたとして、現職の保育士らが7月24日、東京都内で記者会見を開いた。
会見した労働組合「ユニオンカント」の関係者と保育士らは、代表が保護者の同意を得ないまま園児に塩を舐めさせる行為を続けていたほか、園児の前で職員を大声で叱責するなど、保育環境と職場環境の双方に問題があったと訴えている。
一方、株式会社TKCは取材に対し、一連の内容について会社としてのコメントを差し控えるとしている。
園児の手に塩を乗せ、頭に振りかけたとの訴え
組合側によると、代表は自身が好んでいる沖縄産の塩を園児の手のひらに乗せ、舐めさせる行為を習慣的に行っていたという。園児の頭に塩を振りかけることもあったとしている。
保育士らは、園児が手を洗っていない状態で塩を口にするのは衛生面で問題があると指摘した。塩を舐めた後に嘔吐した園児もいたと説明しているが、嘔吐と塩との因果関係は明らかになっていない。
現場の園長らは代表に対し、複数回にわたって行為をやめるよう求めたものの、その後も続いたと組合側は主張している。
保護者からは「なぜ承諾もなく塩を舐めさせたのか」と問い合わせがあり、保育園を所管する川崎市にも相談が寄せられたという。
園児の前で職員を大声で叱責か
会見では、職員に対する威圧的な言動についても説明があった。
組合側によると、代表が園児の目の前で職員を大声で怒鳴りつけた場面があり、3歳の園児が近くにいる中、別の職員が泣きながら制止に入ったこともあったという。
こうした言動を受けた職員の中には、適応障害と診断され、休職した人もいるとしている。
保育士らは、職員への叱責が園児の前で行われれば、子どもに恐怖や不安を与えるおそれがあると指摘した。単なる労務問題ではなく、保育環境全体に関わる問題だと訴えている。
約束事項に署名後も叱責続いたと主張
組合側によると、職員と会社側は、組織運営や職場環境を改善するための「運営課題解決のための約束事項」を作成し、代表も署名した。
しかし、その後も威圧的な叱責や一方的な組織運営が続き、改善は確認できなかったと主張している。
代表が職員の私生活に関する内容を公の場で話したとする訴えもあり、保育士らは人間関係や職場の信頼が損なわれたと説明した。
東京都労働委員会に救済申し立て
ユニオンカントは、会社側による不当労働行為があったとして、東京都労働委員会に救済を申し立てている。
組合側は、威圧的な言動などを記録した録音データを提出したとしている。また、組合に加入した管理職について、会社側が「利益代表者」に当たり、労働組合法上の保護対象ではないと主張していることにも反発している。
さらに、組合員への退職勧奨や役職降格を示唆する圧力があったと訴えている。
これらの主張が不当労働行為に当たるかどうかは、今後、労働委員会で双方の説明や提出資料を基に判断される。
キャンプ場計画やクラウドファンディングにも説明求める
会見では、子どものキャンプ場建設を目的として始まったとされるプロジェクトについても疑問が示された。
組合側は、当初の説明とは異なり、計画の中心がサウナやジャグジーへ変わっていると指摘。クラウドファンディングの支援者へ約束したリターンが実施されていないとして、事業の進捗や資金の使途について説明を求めている。
一方、会社側の詳細な見解は明らかになっておらず、会見で示された内容は現時点では組合側の主張となる。
編集部まとめ
今回の訴えで最も重く受け止めるべきなのは、職員間の対立だけでなく、園児の安全や心理面に関わる指摘が含まれている点だ。
園児に塩を舐めさせたとされる行為が、どの園で、どの程度の頻度で行われていたのか。保護者への説明や行政の対応は十分だったのか。園児の前での叱責を含め、保育環境として適切だったのかを確認する必要がある。
組合側は具体的な主張と録音記録を示している一方、会社側はコメントを差し控えている。今後は、所管自治体や労働委員会による事実確認とともに、運営会社からの説明が焦点となる。
週刊TAKAPI編集部/松本
特記事項:本記事は記者会見で示された労働組合および保育士らの主張を基に、他媒体の表現を転用せず再構成しています。塩を舐めたことと園児の嘔吐との因果関係、不適切保育や不当労働行為の成否は現時点で確定していません。会社側は一連の内容についてコメントを差し控えています。
保育環境と職場運営の双方に説明が求められる
今回の会見では、園児に塩を舐めさせたとされる行為だけでなく、園児の前での職員への叱責、不当労働行為の申し立て、事業計画やクラウドファンディングをめぐる問題まで複数の訴えが示された。現時点では組合側の主張が中心で、会社側はコメントを差し控えている。園児の安全や心理面に関わる問題である以上、所管自治体による確認とともに、運営会社が経緯や再発防止策をどのように説明するかが焦点となる。
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