和歌山県高野町の高野山で宿坊を運営する宗教法人に対し、大阪国税局が2025年度に税務調査を行い、調査対象となった十数法人の半数以上で申告漏れを指摘していたことが分かった。申告漏れの総額は1億円を超え、追徴税額は計約6000万円に上ったとみられる。
関係者によると、高野山で宿坊を運営する宗教法人は約50法人あり、国税当局はこのうち十数法人を調査した。2026年度にも複数法人で申告漏れが確認されているといい、高野山一帯を対象とした税務調査は今後も続くとみられる。
宗教活動は原則非課税 宿坊などの収益事業は課税対象
宗教法人が宗教活動によって得る収入は原則として法人税の課税対象外となる一方、宿泊施設の運営など収益事業から生じる所得は課税対象となる。
今回の調査では、住職側の私的な支出を法人の経費として処理し、法人所得を実際より少なく申告していたとされるケースなどが確認された。
調査対象には複数の歴史ある寺院も含まれ、申告漏れを指摘された法人はいずれも修正申告に応じたという。
総持院では約9000万円の申告漏れか 追徴約4000万円
このうち総持院では、住職の家族が2022年から2024年にかけて、宿坊収入や布施など法人側に入った資金を私的に支出していたとされる。
大阪国税局は、こうした私的支出について実質的に家族への給与に当たる「隠し給与」と判断し、源泉所得税の徴収漏れなどを指摘したとみられる。
申告漏れは約9000万円、重加算税を含む追徴税額は約4000万円に上ったとされ、関係者によると全額を納付したとみられる。
総持院は今回の税務調査についてコメントしていない。
2026年度も調査継続 高野山一帯では異例の規模
2025年度の調査だけでなく、2026年度にも複数の宗教法人で申告漏れが確認されているとされる。
宿坊を運営する法人が集中する高野山一帯に対し、国税当局が複数法人を対象として本格的な税務調査を進めるのは異例とみられる。
高野山では外国人観光客の宿泊需要も拡大しており、2025年の外国人宿泊客は11万7000人と過去最多となった。
宿坊の利用が広がるなか、宗教活動による収入と、宿泊など課税対象となる収益事業の会計をどのように区分しているかも税務上の重要なポイントとなる。
編集部まとめ
今回の問題では、調査対象となった十数法人の半数以上で申告漏れが確認され、総額が1億円を超えたとされる点が大きい。
焦点は宗教法人であること自体ではなく、非課税となる宗教活動と、宿坊など課税対象となる収益事業を適切に区分し、法人資金と私的支出を明確に分けていたかどうかにある。2026年度にも調査が続いており、対象がさらに広がるかが注目される。
編集部/成田
特記事項
本記事は9月10日時点までに確認された関係者情報などを基に構成しています。各法人の申告漏れ額や追徴税額には確定していない部分があります。宗教法人の宗教活動による収入と、宿坊などの収益事業に対する課税は区別して記載しています。
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