中東情勢が愛知県内の企業活動に広く影響していることが、県が中小・中堅企業などを対象に実施した調査で明らかになりました。「すでに影響が出ている」とした企業は59.1%、「今後影響が出る可能性がある」は19.5%で、合わせて78.6%に上ります。特に製造業では73.2%がすでに影響を受けていると回答しています。
愛知県内の中小・中堅企業など2103社の回答を分析したところ、約8割が中東情勢による現在または今後の事業影響を認識し、原材料高、調達難、エネルギー価格上昇が経営上の主要な負担となっています。
「8割がすでに影響」ではない 59.1%と19.5%を区別
今回の調査結果で重要なのは、「78.6%」の意味です。
「すでに影響が出ている」と回答した企業は59.1%で、「今後影響が出る可能性がある」とした企業が19.5%でした。両者を合わせた割合が78.6%です。したがって、県内企業の約8割ですでに実害が発生している、という意味ではありません。
週刊TAKAPIでは、現在生じている影響と将来への懸念を分けて表記します。
1万社を対象に調査 2103社が回答
愛知県は2026年7月10日から17日まで、県内の中小・中堅企業など1万社を対象に調査を実施しました。県の公表資料によると、有効回答は2103社で、回答率は約21%です。
県は調査開始時点から、中東情勢による企業への影響把握とともに、経営課題を抱える企業に対する専門家派遣などの支援につなげる方針を示していました。
製造業73.2%、運輸業69.8%が「すでに影響」
業種別に「すでに影響が出ている」と回答した割合を見ると、製造業が73.2%と高く、運輸業が69.8%、卸売・小売業が60.7%となりました。
自動車や機械など製造業の集積が大きい愛知県では、原材料、物流、エネルギーをめぐる国際情勢の変化が企業経営に波及しやすい構造があります。ただし、今回確認できた公表内容では東三河だけを抽出した地域別の影響率は示されておらず、県全体の数字を豊橋・東三河固有の比率として扱うことは適切ではありません。
原材料高、調達難、エネルギー高が主要な影響
企業が挙げた具体的な影響では、原材料価格の上昇、仕入れ・調達の困難や遅れ、エネルギー価格の上昇が主要項目となっています。複数回答では、この3項目が影響の大きな部分を占めました。
調達面では、製造業から塗料や溶剤、サービス・建設・運輸関連ではオイルや潤滑油などを挙げる回答がありました。
企業側では販売価格への転嫁や調達先の分散などの対応が進められていますが、価格転嫁による取引への影響を懸念する声も出ています。
県への要望トップは「価格転嫁・取引適正化」
行政に求める支援では、「価格転嫁・取引適正化の推進」が24.4%で最も多く、調達・仕入れの円滑化や資金繰り支援が続きました。
県は調査結果を受け、あいち産業振興機構と連携し、中東情勢に起因する経営課題について専門家が対応する支援などを強化する方針です。県は調査開始時から、対象企業のうち希望する企業を専門家派遣などにつなげる仕組みを設けています。
編集部まとめ
以下は週刊TAKAPI編集部の見解です。
今回の数字を見る際は「約8割」という表現だけを切り取らないことが重要です。現時点ですでに影響を受けている企業は59.1%で、19.5%は将来的な影響の可能性を回答しています。
一方、製造業では73.2%がすでに影響を認識しており、愛知県経済にとって原材料、エネルギー、物流をめぐる外部環境の変化が現実的な経営課題になっていることは調査から読み取れます。
今後は、県全体の割合だけでなく、自動車関連産業や農業、物流などが集積する東三河を含め、地域別・業種別に影響がどの程度広がるのかも注視する必要があります。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
2026年8月9日朝までに確認した公表資料と報道内容を基に独自再構成しています。「78.6%」を「すでに影響を受けている企業の割合」と誤認しないよう、現在の影響と将来の可能性を分離して記載しています。
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