【独自分析】豊橋市、3年度連続で「重大な不備」 2025年度も内部統制「有効に運用されていない」 1件の具体的内容は議会概要書で示されず

豊橋市が2025年度(令和7年度)の内部統制について、有効に運用されていないと判断していたことが、2026年9月市議会定例会の提出資料で分かった。

市によると、全庁的な内部統制については「有効に整備され、かつ、運用されていた」と評価した。

一方、個々の業務に関する「業務レベルの内部統制」では、運用上の「重大な不備」1件を把握。このため、市は2025年度の内部統制について「評価対象期間において有効に運用されていない」と判断したとしている。重大な不備については「必要な対応策を講じた」としている。

さらに週刊TAKAPIが過去の評価資料を横断すると、

2023年度=2件
2024年度=1件
2025年度=1件

と、少なくとも3年度連続で「重大な不備」が確認されていることが分かった。3年度の合計は4件となる。

では、2025年度に市が「重大」と判断した1件は、何だったのか。

9月定例会に提出された概要説明書には、具体的な事案名や担当部署までは記されていない。

週刊TAKAPIは、豊橋市の内部統制評価資料をさかのぼり、制度の意味と過去の重大な不備、今回残された論点を検証した。

※本稿は2026年9月1日時点で確認した豊橋市・豊橋市議会の公表資料を基にした独自分析です。2025年度の「重大な不備」の具体的内容については、今回確認した9月市議会定例会概要説明書では明らかにされていません。推測による特定は行いません。


まず数字で見る 「重大な不備」は3年度連続

評価対象年度運用上の重大な不備市の評価
2023年度2件有効に運用されていない
2024年度1件有効に運用されていない
2025年度1件有効に運用されていない
3年度計4件

2023年度について、市は業務レベルの内部統制で重大な不備2件を把握し、「内部統制は評価対象期間において有効に運用されていない」と判断した。

2024年度も重大な不備1件を確認。2025年度も同様に1件が確認された。

ここが今回の検証で最も重要なポイントだ。

単年度だけを見れば「1件」。

しかし年度をまたいで見ると、重大な不備が3年度続けて確認されている


2025年度、市自身が「有効に運用されていない」と判断

2026年9月豊橋市議会定例会の概要説明書には、「報告第25号 令和7年度豊橋市内部統制評価報告書について」が掲載されている。

評価対象期間は2025年度。

評価基準日は2026年3月31日だ。

市の評価は二段階に分かれている。

まず、全庁的な内部統制については、

「有効に整備され、かつ、運用されていた」

としている。

一方で、実際の個別業務に当たる業務レベルの内部統制については、仕組み自体は有効に整備されていたものの、「運用上の重大な不備」を把握した。

そのため、市は内部統制について、

「評価対象期間において有効に運用されていない」

と判断した。

つまり、市役所全体の内部統制制度そのものが機能していない、という意味ではない。

制度・仕組みは整備されていたものの、実際の業務運用の中で、市が「重大」と判断する不備が発生したという構図だ。


「重大な不備」とは、単なる事務ミスではない

では、「重大な不備」とは何を意味するのか。

豊橋市の内部統制評価資料では、内部統制の不備を大きく、

「整備上の不備」

と、

「運用上の不備」

に分けている。

さらに、その中でも重大なものについて、市は、

事務の管理・執行が法令に適合していない、または適正に行われていないことで、市や市民に大きな経済的・社会的不利益を生じさせる可能性が高いもの、あるいは実際に生じさせたもの

という趣旨で定義している。

したがって、日常的に発生するすべての入力ミスや軽微な手続ミスが「重大な不備」になるわけではない。

市自身が一定の重大性を認めた事案だという点は押さえておく必要がある。


では2025年度の「1件」は何だったのか

ここが今回、最も大きく残る疑問だ。

9月定例会概要説明書には、

「運用上の重大な不備1件について、必要な対応策を講じた」

と記されている。

しかし同資料には、

どの部局で起きたのか。

何の事務だったのか。

市民や市財政にどのような影響があったのか。

具体的にどんな是正措置を行ったのか。

までは記載されていない。

したがって現段階で、別の事故や行政上の問題と結び付けて「これが重大な不備ではないか」と推測することはできない。

確認済みなのは「重大な不備1件があった」というところまで。

その中身は別途、詳細資料や市側への確認が必要になる。


前年度の1件は「NHK受信契約」だった

では過去の「重大な不備」は、どの程度のものだったのか。

2024年度の附属資料には具体的内容が掲載されている。

対象となったのは、

防災危機管理課、財務部、健康部、環境部、上下水道局、消防本部、教育部、議会局。

これらの部局で、NHK放送を受信できるテレビまたはカーナビゲーションシステムを設置していたにもかかわらず、NHK受信契約を締結していなかったことが重大な不備と判断された。

ここで分かることがある。

評価上は「重大な不備1件」でも、必ずしも一部署、一職員、一度だけ発生したミスを意味するわけではない

2024年度の場合は複数の部局にまたがる問題が、評価上「1件」と整理されていた。

そのため、今回の2025年度の1件についても、件数だけで規模や影響を判断することはできない。


2024年度には「運用上の不備」自体は21件

前年の資料をさらに詳しく見ると、「重大な不備」だけを見ていても全体像が分からない。

2024年度は、各部署が設定した個別リスクについて運用上の不備21件が確認され、そのうち1件が「重大な不備」と判断されている。

重大な不備以外にも、

税や使用料の処理、

補助金、

給付金、

契約、

入札、

支払い、

公有財産管理などをめぐる不備が記録されている。

たとえば契約関係では、「明海大橋(仮称)橋梁上部工事」で予定価格の積算に誤りがあるまま契約を締結し、契約解除になった事案も記載されている。市は設計書照査の外部委託など、確認体制を強化する是正策を示した。

ここからも、内部統制評価は単なる形式的な報告書ではなく、行政実務で実際に何がうまくいかなかったのかを追える資料であることが分かる。


2025年度報告には前年度分の「付記事項」も

今回の2025年度評価には、もう一つ気になる記載がある。

「付記事項」として、

2024年度における運用上の重大な不備1件について、必要な対応策を講じた

とされている。

つまり市は、前年の重大な不備についても是正対応を行ったことを今回の報告で明示している。

一方で2025年度には、別途、新たに重大な不備1件が把握された。

ここで報道として問うべきなのは、

「前年の問題を直したか」だけではなく、「なぜ毎年度、別の重大な不備が生じるのか」

という部分だ。


【独自分析】「3年連続」をどう評価するべきか

3年度連続という事実だけから、

「豊橋市役所の管理体制が崩壊している」

などと断定するのは適切ではない。

内部統制制度には、行政内部のリスクや失敗を把握し、重大性を評価し、是正する役割もある。

問題を内部で発見し、公表していること自体は制度が果たすべき機能でもある。

今回も市は、全庁的な内部統制については「有効に整備され、かつ、運用されていた」と評価している。

一方で看過できないのは、

2023年度2件
2024年度1件
2025年度1件

と、実際の業務運用では3年度続けて、市自身が「重大な不備」と認定する事案が発生していることだ。

制度を作るだけではなく、現場で機能させられているのか

ここが検証すべき本質だ。


週刊TAKAPIが市に確認すべき「6つの論点」

2025年度の詳細を追うなら、市側への確認事項はかなり明確になる。

① 重大な不備1件の具体的内容は何か

担当した部局、対象となった事務、その経緯を確認する。

② いつ判明したのか

内部監査、職員からの報告、外部からの指摘など、発覚経路を確認する。

③ 市または市民への影響はあったのか

金銭的損失や過大・過少支給、契約、行政サービスなどへの具体的な影響を確認する。

④ 「必要な対応策」とは何か

誰が、いつまでに、どのような是正措置を実施したのかを確認する。

⑤ 同様の事案が他部署にないか確認したのか

一部署だけの問題なのか、全庁調査を行ったのかも重要になる。

⑥ 3年度連続を市はどう受け止めているのか

「重大な不備」が継続していることについて、市として構造的な課題を認識しているのか確認したい。


市議会ではどう扱われるのか

令和8年9月定例会は8月28日から9月18日まで開催される。

9月7日、8日には各常任委員会、9日には一般会計予算特別委員会、10日以降は決算特別委員会が予定され、9月18日の本会議で議決などが行われる。

今回の内部統制評価報告書は、市長提出案件の一つとして議会に提出されている。

議会側が、

重大な不備の具体的内容

再発防止策

3年度連続という状況

をどう確認するのかも注目点になる。


Q&A|豊橋市の「内部統制」をどう読む?

Q豊橋市で2025年度に重大な不備は何件あった?
A1件です。 市は業務レベルの内部統制で運用上の重大な不備を把握し、2025年度の内部統制について「有効に運用されていない」と判断しました。
Q具体的に何が起きた?
A9月定例会の概要説明書には、重大な不備が1件あったことは記載されていますが、具体的な事案の内容や担当部局までは示されていません。
Q前年度も重大な不備があった?
Aあります。2024年度は1件で、複数部局がNHK放送を受信できる設備を設置していたにもかかわらず、受信契約を締結していなかった事案でした。
Q3年連続なの?
A公表資料を年度ごとに比較すると、2023年度2件、2024年度1件、2025年度1件で、3年度連続となります。
Q「内部統制が有効に運用されていない」とは、市役所全体が機能していないという意味?
Aそういう意味ではありません。市は全庁的な内部統制は有効に整備・運用されていたと評価しています。一方、業務レベルで重大な不備があったため、評価対象期間全体として「有効に運用されていない」と判断しています。

「1件」の中身が、この検証の次の焦点

数字だけなら「重大な不備1件」。

しかし、過去3年度をつなぐと見え方は変わる。

2023年度2件。
2024年度1件。
2025年度1件。

3年度連続、計4件だ。

一方で、2024年度の例から分かるように、「1件」が一部署だけの単純なミスとは限らない。

だからこそ、2025年度についても件数だけで評価するのではなく、

何が起きたのか。
誰にどのような影響があったのか。
なぜ防げなかったのか。
そして、本当に再発防止につながる是正が行われたのか。

まで確認する必要がある。

週刊TAKAPIでは、今後、詳細資料と市側への確認を基に、2025年度の「重大な不備1件」の具体的内容について継続して検証する。

週刊TAKAPI 編集部/黒木

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