2027年の正月に向けた「おせち商戦」が早くも始まった。
2026年9月2日、名古屋のジェイアール名古屋タカシマヤでは2027年向けおせち料理の内覧会が開かれた。
今年のおせち商戦で注目されるキーワードは、「物価高」「コンパクト化」「若者」「多様化」だ。
原材料費や物流費などの上昇が続くなか、豪華なおせちだけでなく、人気の具材を中心に詰めたコンパクトな商品も登場。
さらに若い世代におせちを身近に感じてもらおうと、かまぼこや伊達巻などをイメージした「グミおせち」まで登場している。
「正月だから伝統的なおせちを食べる」という時代から、人数・予算・好みに合わせておせちを選ぶ時代へ。
2027年のおせち商戦からは、日本の正月の食卓が大きく変化している様子が見えてくる。
2027年のおせち商戦が早くもスタート
おせち商戦は例年、秋から年末にかけて本格化する。
しかし百貨店や通販各社では早期予約需要を取り込むため、9月ごろから新商品を発表するケースも珍しくない。
ジェイアール名古屋タカシマヤでは、2027年向けとして約600種類のおせちを取り扱う予定で、前年より約50種類増え、過去最多となる。
単純に商品の数を増やすだけではない。
高級おせち、少人数向け、価格を意識した商品、洋風おせち、スイーツ、キャラクター商品など、消費者の細かなニーズに対応するラインアップが目立っている。
おせちは「一家に一つの大きな重箱」という商品から、さまざまな需要を取り込む巨大な年末商戦へ変化している。
2027年のおせち価格は?物価高の影響続く
2027年のおせちを語るうえで避けて通れないのが物価高だ。
ジェイアール名古屋タカシマヤが扱う2027年向けおせちの平均単価は、約3万4000円。
前年より約3000円、率にして約1割高くなるという。
おせちには海産物、肉、野菜、卵など多くの食材が使われる。
さらに商品価格には、調理費、人件費、重箱などの包装資材、冷蔵・冷凍設備、配送費なども関係する。
さまざまなコストの上昇がおせち価格にも影響しているとみられる。
おせちはなぜ高くなっている?
おせち価格の上昇は2027年向けだけに限った話ではない。
帝国データバンクの調査では、2026年正月向けおせち料理の平均価格は2万9098円で、前年から1054円、3.8%上昇していた。
近年は原材料価格だけでなく、包装資材や物流、人件費など幅広いコストが上昇している。
しかも、おせちは多数の料理を少量ずつ調理し、一つの重箱に詰める商品だ。
一般的な単品料理とは異なる手間もかかる。
こうした背景から、販売価格を維持することが難しくなっていると考えられる。
物価高で登場「コンパクトサイズおせち」とは?
価格上昇が続けば、
「おせちに3万円以上は出しにくい」
という家庭も当然出てくる。
そこで注目されているのが、コンパクトサイズのおせちだ。
単純に重箱を小さくするだけではなく、消費者から人気の高い料理を中心に詰めることで、満足感を保ちながら価格を抑える商品も登場している。
「全部入り」から「好きなもの中心」へ
従来のおせちには、
黒豆、数の子、田作り、伊達巻、栗きんとん、海老、昆布巻き、煮しめ――。
さまざまな料理が入っている。
それぞれに縁起の良い意味が込められており、おせち文化を構成する重要な料理だ。
一方で現代の家庭では、
「家族が食べない具材が残ってしまう」
という問題もある。
そこで、人気の料理を中心に構成することで、「食べたいものだけ楽しみたい」という需要を取り込もうとしている。
「1~2人前のおせち」が注目される理由
おせちのコンパクト化には物価高以外の理由もある。
世帯人数や正月の過ごし方の変化だ。
夫婦2人だけで正月を過ごす家庭。
一人暮らし。
親子だけで過ごす家庭。
正月に親戚一同が集まらない家庭。
現在ではさまざまな正月の過ごし方がある。
大人数を前提にした大きな三段重だけでは、すべての消費者の需要をカバーできなくなっている。
楽天市場が2026年向けに実施した調査では、「あったら食べてみたいおせち」として、「好きなものだけが入ったおせち」24.1%、「少人数向け(1~2人前)おせち」23.5%という結果も出ている。
「安いから小さいおせちを買う」というだけではない。
必要な量だけ購入するという価値観が広がっていることも、コンパクトおせちが増えている理由の一つと考えられる。
若者を意識した「グミおせち」まで登場
2027年のおせち商戦でも特にインパクトがあるのが、グミおせちだ。
かまぼこや伊達巻など、おせち料理をイメージしたグミを楽しむというユニークな商品で、伝統的なおせちとは大きく異なる。
背景には、若い世代へのアプローチがある。
なぜ若者向けに「グミ」なのか
グミ市場は近年存在感を高めている。
特に若い世代にとってグミは身近なお菓子の一つだ。
そこに「おせち」という伝統的なテーマを掛け合わせる。
つまり、
「若者が普段食べるもの」×「正月文化」
という発想だ。
もちろん、グミおせちが伝統的なおせちそのものを置き換えるわけではない。
むしろ「おせちに興味を持ってもらう入口」として考える方が分かりやすい。
SNSで写真を投稿したくなる見た目や話題性もあり、従来のおせちとは違った消費者層へ届く可能性がある。
若者の「おせち離れ」に百貨店も対応
ジェイアール名古屋タカシマヤでは2027年向け商品について、若い世代のおせち離れを意識し、オードブルやスイーツ系のおせちなども展開する。
これは重要な変化だ。
若者に伝統的なおせちを無理に食べてもらうのではなく、
「正月に食べたくなる料理そのものをおせちとして提案する」
方向へ商品開発が広がっているからだ。
肉料理中心。
洋食中心。
スイーツ中心。
キャラクター中心。
そしてグミ。
「おせち」の定義そのものが広がっているともいえる。
キャラクターおせちも登場 「推し活」と正月が融合
もう一つ注目したいのが、キャラクターおせちだ。
2027年向けでは、「ONE PIECE」や「ハイキュー!!」など人気作品をテーマにした商品も展開されている。
例えば「ハイキュー!! おせち2027」は、2~3人前の和洋三段重として販売され、作品の世界観を重箱や料理、付属品などに取り入れている。
ここでは、おせちは単なる食事ではない。
「好きな作品と一緒に正月を迎える」という体験型商品になっている。
いわゆる「推し活」と季節イベントを組み合わせた商品としても興味深い。
一方で「高級おせち」需要もなくならない
コンパクトおせちやグミおせちが登場しているからといって、すべてのおせちが低価格化しているわけではない。
むしろ逆だ。
有名料亭やホテル、料理人監修の商品など、数万円以上する高級おせちにも一定の需要がある。
「年に一度だから豪華なものを食べたい」
という消費者も存在する。
つまり2027年のおせち市場では、
高級・豪華路線
と、
コンパクト・コスパ路線
の双方が強まる可能性がある。
愛知・三河の食材を使った「ご当地おせち」にも注目
東海地方では、地域食材を取り入れたおせちにも注目したい。
ジェイアール名古屋タカシマヤのオリジナルおせちには、三河地方のハゼの甘露煮や知多のブランドサーモンなど、地元に関連する食材を盛り込んだ商品も登場している。
全国どこでも同じおせちではなく、
「愛知で買う意味」
を商品に持たせる戦略だ。
地産地消や地域ブランドへの関心が高まるなか、ご当地食材は高級おせちとの差別化要素にもなっている。
【編集部の考察】おせちは「伝統料理」から「正月コンテンツ」へ
2027年のおせち商戦を見ると、単純な値上げだけでは説明できない大きな変化が見えてくる。
おせちの意味そのものが変わり始めている可能性がある。
以前は、
「正月だからおせちを食べる」
という文化が強かった。
現在は、
「好きな料理を正月らしく楽しむ」
という考え方も広がっている。
その結果、
高級おせち 少人数おせち コンパクトおせち 洋風おせち スイーツおせち キャラクターおせち グミおせち
と選択肢が増えている。
これは、おせち文化がなくなっているというより、現代の生活に合わせて形を変えていると考えることもできそうだ。
2027年のおせち商戦は「誰と・何を・いくらで」が重要に
2027年のおせち選びでは、「どこの料亭のおせちか」だけでなく、
誰と食べるのか。 何を食べたいのか。 いくらまで出せるのか。
という視点がさらに重要になりそうだ。
大人数なら豪華な三段重。
夫婦ならコンパクトサイズ。
子どもや若者ならキャラクターや洋風おせち。
そして、おせちを普段食べない若者にはグミという選択肢まで登場した。
物価高という逆風の中で、おせち市場はむしろ細分化している。
「みんなが同じおせちを食べる時代」から「自分たちに合ったおせちを選ぶ時代」へ。
2027年のおせち商戦は、日本人の正月の過ごし方そのものの変化を映しているのかもしれない。
ジェイアール名古屋タカシマヤでは2026年9月2日に2027年向けおせちの内覧会を開催しました。人気商品は早期に受付を終了する可能性もあるため、購入予定の場合は早めの確認が必要です。
ジェイアール名古屋タカシマヤが扱う商品の平均単価は約3万4000円とされ、前年より約3000円上昇します。一方、価格を抑えた商品も展開されています。
1~2人で正月を過ごす家庭や、「好きなものだけ食べたい」という需要にも対応しやすいのが特徴です。
「大きなおせちを買って余らせるより、必要な分だけ購入したい」という消費者に対応した商品といえます。
若い世代にも正月やおせちを身近に感じてもらう商品として注目されています。
スイーツ、洋風オードブル、キャラクターなど、伝統的なおせち料理だけに限定しない商品展開が広がっています。
特に少人数家庭では、大型の三段重だけでなく、1~2人前やコンパクトサイズを比較すると、食べ残しや予算を抑えられる可能性があります。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
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