千葉県教育委員会は9月2日、県内の公立中学校に勤務する教諭2人に対する懲戒処分を発表した。
松戸市立新松戸南中学校の高橋圭介教諭(38)は、学校徴収金など計202万6500円を着服したとして懲戒免職。
別の県内公立中学校に勤務する60代の男性教諭は、自校の女子生徒に性的な発言を繰り返し、手を握るなどの身体接触をしたとして、減給10分の1、6カ月の懲戒処分を受けた。
金銭着服と生徒への不適切行為という性質の異なる2件だが、いずれも学校教育への信頼に直接関わる事案となった。
202万6500円を着服 業者の「未払い」で発覚
県教委によると、高橋教諭は2025年8月から2026年3月にかけて、学校徴収金の口座から複数回にわたり現金を払い戻したほか、保護者から集めた現金を業者に支払わず、合わせて202万6500円を着服した。
発覚のきっかけは、支払いを受けていなかった業者からの指摘だった。
今回確認されている期間は約8カ月に及ぶ。
一方、現時点で公表されている情報からは、口座から何回払い戻したのか、1回当たりの金額、通帳や印鑑を誰が管理していたのか、校内でどの時点に残高や未払いを確認する仕組みだったのかまでは明らかになっていない。
県教委の処分指針では「学校徴収金の横領=免職」
高橋教諭への懲戒免職については、県教委が公開する「懲戒処分の指針」と照らすと位置付けが明確になる。
現行指針では、公金・公物について「学校徴収金等の諸会計に係る財産」も対象に含め、これを横領した職員の標準的な処分を「免職」としている。処分量定は行為の動機、態様、結果、職責、社会への影響などを総合的に考慮するとされている。
つまり、今回の懲戒免職は「200万円を超えたから」という金額だけで決まるものではなく、保護者から預かった学校徴収金を着服した行為そのものが、県教委の指針で最も重い処分の標準例に位置付けられている。
県教委は以前から学校徴収金の管理強化を通知
ここで確認しておきたいのは、学校徴収金の管理を巡る不祥事が今回初めて問題になったわけではないことだ。
千葉県教委は過去の着服事案を受け、市町村立学校についても学校徴収金の管理方法を確認し、不祥事防止に向けた改善を行うよう求めている。
2023年の通知では、校長が会計処理を行う校内体制を点検し、会計事務の指導監督を徹底することを求めた。県教委は2024年の別の着服事案後にも、学校徴収金などの管理体制を点検するよう改めて通知している。
このため今回の新松戸南中学校の事案で確認すべきなのは、単に「複数人でチェックすべきだった」という一般論ではない。
県教委が以前から求めてきた管理点検が同校でどのように実施され、高橋教諭が複数回現金を払い戻す過程をなぜ把握できなかったのか、という具体的な運用になる。
ただし、今回の公表情報では、校長や事務職員の確認状況、管理上の不備の有無、監督責任に関する判断までは明らかになっていない。
60代教諭 女子生徒に性的発言や身体接触
もう1件では、県内の公立中学校に勤務する60代男性教諭が、2026年1月から3月にかけて、校内で自校の女子生徒1人に性的な発言を繰り返し、手を握るなどの身体接触をしていた。
生徒からの相談をきっかけに問題が把握された。
県教委は男性教諭を減給10分の1、6カ月の懲戒処分とした。
県教委が2024年から運用していた懲戒処分指針では、18歳未満の児童生徒に対する性的な言動について、停職または減給を標準例とし、執拗に繰り返すなど特に悪質な場合は免職とする規定が設けられていた。
ただし、今回の処分で県教委が具体的にどの条項を適用し、どの事情を考慮して「減給10分の1、6カ月」としたのか、その詳細な量定理由までは公表情報から確認できていない。
2件で発覚経緯は異なる
2件は同じ日に公表されたが、発覚の経緯は異なる。
高橋教諭の着服は、業者による未払いの指摘が端緒となった。
60代男性教諭の問題は、生徒からの相談を受けて把握された。
したがって、「いずれも学校内部のチェックで早期発見した」とは整理できない。
特に着服事案では、約8カ月にわたり学校徴収金の不正な取り扱いが続き、最終的に業者側からの指摘で表面化した点が重要になる。
一方、女子生徒への不適切行為では、被害を受けた生徒が相談したことで学校側が把握したとされており、その後の相談・報告経路がどう機能したかについては、さらに詳細な公表を待つ必要がある。
なぜ1人は実名・学校名、もう1人は匿名なのか
県教委の公表基準では、懲戒処分について原則として所属、職名、年齢、処分内容、処分年月日、事実概要を公表する。
さらに懲戒免職や横領など社会的影響の大きな事案では、氏名に加え、市町村立学校の場合は学校名も公表する基準となっている。
このため今回、懲戒免職となった高橋教諭については氏名と新松戸南中学校の学校名が公表された。
一方、60代男性教諭については学校名や氏名は公表されていない。被害者のプライバシーを保護する必要がある場合などには、公表内容を制限できる規定も設けられている。
編集部まとめ
今回の2件では、202万6500円の着服と女子生徒への不適切行為がそれぞれ懲戒処分となった。
特に着服事案では、県教委が以前から学校徴収金の管理点検を求めてきた中で、なぜ業者の未払い指摘まで把握できなかったのかが今後の確認点となる。
週刊TAKAPI 編集部/一条
特記事項
本記事は2026年9月2日に公表された処分情報に加え、千葉県教育委員会が公開している懲戒処分の指針、公表基準、過去の学校徴収金着服事案を受けた不祥事防止通知を確認して構成しています。
現時点では、新松戸南中学校での具体的な会計担当体制、口座からの払い戻し回数、通帳・印鑑の管理方法、校長や事務職員による確認状況、監督責任の有無までは確認できていません。
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