【独自】豊橋市、学校体育館の空調工事で計5160万円増額へ X線探査・設備追加、契約変更の理由を検証

愛知県豊橋市が進める学校体育館などへの冷暖房設備設置工事で、2件の工事請負契約について、合わせて5160万4300円の増額変更が9月市議会定例会に提出されていることが分かった。

対象は「高豊中学校ほか39校」と「羽田中学校ほか33校」の体育館等冷暖房設備設置工事。

市が公表した議案概要説明書によると、配管を壁に通す際のX線探査や、武道場の室内機への設備追加、体育館内の配管・室内機を支える鋼材などの追加が必要になったとしている。

学校体育館への空調整備は、猛暑下での児童生徒の安全確保だけでなく、災害時の避難所環境にも関係する重要な事業だ。

一方、巨額の公共工事では、当初契約からなぜ費用が増えたのか、その変更が事前に想定できなかったものなのかを確認することも必要になる。

週刊TAKAPIは、今回の2件の契約変更について市の公表資料から検証した。

高豊中学校ほか39校 約26億円ではなく「3696百万円」契約から増額

まず議案第94号。

対象となるのは、

高豊中学校ほか39校体育館等冷暖房設備設置工事

で、基本・実施設計と工事監理業務も含まれる。

当初の契約価格は、

36億9600万円

だった。

今回、市が議会に示した変更後の契約価格は、

37億2206万6700円

差額は、

2606万6700円の増額

となる。

市によると、契約変更が必要になった主な理由は3点ある。

一つ目が、配管の壁貫通処理時のX線探査の追加

二つ目が、武道場の室内機へのフィルタ昇降装置の追加

三つ目が、二川中学校体育館で室内機を支持する鋼材を追加する変更だ。

市の資料には「等」と記載されているため、この3項目以外にも変更内容が含まれているとみられる。

羽田中学校ほか33校も2553万円増額

もう一つが議案第95号。

対象は、

羽田中学校ほか33校体育館等冷暖房設備設置工事

こちらも基本・実施設計と工事監理業務を含む。

変更前の契約価格は、

32億4500万円

変更後は、

32億7053万7600円

差額は、

2553万7600円の増額

となる。

こちらについても、

  • 配管の壁貫通処理時のX線探査
  • 武道場の室内機へのフィルタ昇降装置
  • 豊城中学校体育館への防護ネット付き配管用架台

などを追加する必要が生じたとしている。

2件を合わせると5160万4300円増

今回の2件を整理するとこうなる。

工事変更前変更後増額
高豊中ほか39校36億9600万円37億2206万6700円2606万6700円
羽田中ほか33校32億4500万円32億7053万7600円2553万7600円
合計増額5160万4300円

2件の契約変更による増額は、合計で5160万4300円となる。

なお、これは学校体育館空調事業全体の事業費が5160万円という意味ではない。

すでに締結されている大型工事契約について、今回新たに増える金額だ。

なぜ「X線探査」が必要になったのか

今回、両方の工事に共通しているのが、

配管の壁貫通処理時のX線探査

の追加だ。

体育館など既存の建物に新しく空調設備を取り付ける場合、冷媒管などを通すため壁や構造物に穴を開けるケースがある。

その際、壁内部の鉄筋などを確認せず施工すれば、既存構造物へ影響を与える可能性がある。

今回の資料では、市はこのX線探査を追加するため契約変更が必要になったとしている。

ただし、ここで確認したいのは、

なぜ当初設計・契約の段階では含まれていなかったのか

という点だ。

工事を進めて初めて判明した条件なのか。

設計段階で確認することが難しかったのか。

あるいは安全性をさらに高めるため、施工段階で追加されたものなのか。

議案概要説明書だけでは、そこまでの経緯は分からない。

武道場には「フィルタ昇降装置」を追加

両契約では、武道場の室内機についてフィルタ昇降装置を追加するとされている。

体育館や武道場では室内機が高い位置に設置される場合があり、保守・点検時の作業性が課題になる。

今回の変更が、維持管理面でどの程度必要な設備だったのか。

また、将来のメンテナンス費用削減や安全性向上につながるのかも確認したいところだ。

単に「工事費が増えた」というだけでなく、増額によって何が改善されるのかまでを見る必要がある。

二川中と豊城中では個別の追加工事

学校ごとの変更もある。

高豊中学校ほか39校の契約では、

二川中学校体育館の室内機を支持する鋼材

を追加。

羽田中学校ほか33校の契約では、

豊城中学校体育館に防護ネット付きの配管用架台

を追加するとしている。

同じ体育館空調整備でも、建物の構造や設備状況によって追加工事が必要になるケースがあることが分かる。

一方、それぞれが設計段階では確認できなかった条件なのかについては、概要資料からは判然としない。

「増額=問題」とは限らない

公共工事では、工事を進める過程で現場条件が判明し、安全性や施工上の理由から契約変更が必要になることがある。

したがって、今回の5160万4300円の増額だけをもって、

「不適切な支出だった」

などと判断することはできない。

今回、市は変更内容と理由を議案として示している。

重要なのは、

変更に合理的な理由があるか

当初設計で予測できなかったものなのか

追加金額の積算は適正なのか

という点だ。

そもそも学校体育館空調はなぜ必要なのか

学校体育館は授業や部活動、学校行事などに使われるだけではない。

災害時には避難所として使用される施設も多い。

近年の夏季の高温化を考えれば、体育館への冷暖房設備導入には児童生徒の熱中症対策だけでなく、防災面からも意味がある。

そのため、

「空調整備をするか、しないか」

だけでなく、

必要な設備を、安全かつ適正な価格で整備できているか

という視点で事業を確認する必要がある。

9月7日の福祉教育委員会で議案審査へ

豊橋市議会の9月定例会では、9月7日午前10時から福祉教育委員会が予定されている。

市議会の公式日程では、同委員会で議案審査などが行われる予定となっている。

学校施設に関係する今回の契約変更について、委員会でどのような説明や質疑が行われるのかも注目される。

【独自検証】週刊TAKAPIが見る4つのポイント

今回の議案で、今後さらに確認する価値があるのは4点だ。

① X線探査はなぜ当初契約に含まれていなかったのか

施工途中で初めて必要性が判明したのか、市に確認する必要がある。

② 5160万4300円の積算根拠

各追加工事にそれぞれいくら必要なのか。

概要説明書では内訳金額までは明らかになっていない。

③ 他の学校でも追加変更が発生する可能性はあるのか

今回の2件で変更が完結するのか、それとも施工状況によって今後さらに変更が生じる可能性があるのか。

④ 完成時期への影響

追加工事によって工期が変わるのかについても確認したい。

この4点が分かれば、今回の増額が「施工上やむを得ない変更」なのか、それとも当初設計段階から改善できる余地があったのかを、さらに具体的に検証できる。

Q&A|豊橋市の学校体育館空調工事

Q今回いくら増える?
A2件の契約変更を合わせて5160万4300円増える予定だ。
Qなぜ増額する?
A市は、壁を貫通する配管工事でのX線探査、武道場の室内機へのフィルタ昇降装置、室内機を支える鋼材や配管用架台の追加などが必要になったとしている。
Q高豊中学校ほか39校はいくら増える?
A2606万6700円。契約価格は36億9600万円から37億2206万6700円へ変更される案となっている。
Q羽田中学校ほか33校はいくら増える?
A2553万7600円。32億4500万円から32億7053万7600円への変更案が提出されている。
Q5160万円の増額は問題なの?
A増額したという事実だけで問題とは判断できない。安全な施工に必要な変更であれば合理性がある。今後は追加工事の積算根拠や、当初設計で予測できなかった理由を確認する必要がある。

学校の安全と「税金の使われ方」を両方見る

体育館への空調整備そのものは、猛暑対策や避難所環境の改善につながる。

その一方で、2件合わせて約69億円規模となる大型契約である以上、5000万円を超える追加支出について議会が内容を確認することも重要だ。

必要な安全対策には必要な費用を投じる。

しかし同時に、その費用がなぜ必要になったのかを市民に説明する。

この二つは両立する。

週刊TAKAPIでは、9月7日の委員会審査や市の説明を確認し、追加費用の積算や工期への影響などについて引き続き検証する。

週刊TAKAPI 編集部/松本

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