高知県教育委員会が、未成年女性に複数回わいせつな行為をしたとして、香南市立夜須中学校の男性教諭(31)を懲戒免職とした問題。
週刊TAKAPIが夜須中学校の公表資料を確認したところ、同校は「不祥事根絶のための校内ルール」を設け、「不祥事は、いつでも、どこでも、誰にでも起こり得る」として、教職員に強い当事者意識と危機意識を求めている。
一方、今回処分された男性教諭は不祥事防止研修を受講していた。
それでも自ら事実を申し出ることはなく、事案が表面化した直接のきっかけは、学校内部の研修や点検による発見ではなく、被害側からの相談だった。
研修、校内ルール、チェックリスト――。
不祥事防止のための制度は、実際の現場でどのように機能していたのか。週刊TAKAPIが公表資料から検証する。
未成年女性に少なくとも4回のわいせつ行為
懲戒免職となったのは、処分日の9月15日時点で香南市立夜須中学校に勤務していた男性教諭(31)。
県教委などによると、男性教諭は芸西中学校に勤務していた2022年5月から2024年3月にかけ、自家用車内やカラオケ店などで、未成年女性に対して4回にわたり、キスや身体接触を伴うわいせつな行為をしたとされる。
さらに県教委は、2022年4月から5月の間にもわいせつな行為があったことを確認している。
男性教諭は9月15日付で懲戒免職となった。
発覚したのは「被害側からの相談」
事案が明らかになったのは8月31日。
被害女性とその家族から香南市教育委員会に相談があり、翌9月1日、校長と市教委が男性教諭に事実確認を行った。
男性教諭は一連の行為を認め、市教委から県教委へ報告された。
ここで重要なのは、発覚に至った経緯だ。
長期間にわたったとされる行為が表面化した直接のきっかけは、学校内部の研修や点検による発見ではなく、被害側からの相談だった。
夜須中が公開する「不祥事根絶のための校内ルール」
週刊TAKAPIが夜須中学校の公表資料を確認したところ、同校は、
「不祥事を撲滅し、生徒・地域・保護者に信頼される学校づくり」
を掲げた「不祥事根絶のための校内ルール」を公開している。
その中では、不祥事について、
「いつでも、どこでも、誰にでも起こり得る」
として、教職員に「強い当事者意識と危機意識」を持つよう求めている。
さらに「生徒との適切な関わり」として、教育相談などで生徒と個別に対応する場合は、複数人での対応を原則とし、1対1の状況を作らないことを規定している。
やむを得ず1対1で対応する場合には、事前に管理職へ、いつ、どこで、誰と、何を話すのかを伝えるとしている。
身体への接触についても、
「安全確保など社会通念上認められるもの以外は一切行わない」
と明記している。
生徒への連絡には学校の電話などを使用し、個人の携帯電話番号を教えたり、SNSでやり取りしたりすることも禁止している。
学校は、こうしたルールについて、教職員一人ひとりが理解し実践することで、「本校から不祥事を根絶することを目指します」としている。
免職教諭は「不祥事防止研修」を受けていた
一方、今回処分された男性教諭自身も、不祥事防止研修を受けていた。
しかも研修を受けた時点で、すでに未成年女性へのわいせつ行為に及んでいたという。
発覚後の聞き取りに対し、男性教諭は「自分は教壇に立つべき人間ではない」と思ったものの、怖くて言い出せなかったと説明。
さらに、研修を受けるたびに「胸が苦しかった」との趣旨の話をしたという。
それでも、自ら事実を申し出ることはなかった。
男性教諭は今回の事案について、
「私が起こした不祥事に関して、何も弁明することはない。自分の弱さが原因だと思っている」
とした上で、被害者や関係者、現在の勤務校を巻き込んだことについて自責の念を述べ、謝罪している。
県教委「到底許されるものではない」
高知県の今城純子教育長は、被害者と家族に謝罪した上で、本来、高い倫理観と使命を持って子どもの健全な育成に携わるべき教員による今回の行為について、社会的影響は極めて大きいと指摘。
教育公務員の社会的信用を著しく失墜させたとして、
「到底許されるものではありません」
とコメントした。
県教委は再発防止策として、市町村教育委員会を通じ、各学校に対して1か月以内に全教職員を対象とした研修を実施するよう求めた。
あわせて「児童生徒性暴力等の未然防止に係るチェックリスト」の活用と校内点検を行い、それらの取組状況についても報告を求めている。
香南市教委「学校教育への信頼を揺るがす問題」
香南市の三木守教育長も、
「学校教育への信頼を揺るがす問題であり、断じて許されるものではありません」
として、児童生徒や保護者、地域住民に謝罪した。
市教委によると、令和7年度からは従来の不祥事防止校内研修に加え、不祥事防止の校内ルールの作成と意思統一、不祥事防止チェックリストの実施などにも取り組んでいるという。
制度はあった では、実際にどう機能したのか
学校には校内ルールがある。
教育委員会は不祥事防止研修を行っている。
さらに、チェックリストによる対策も進められている。
今回処分された男性教諭自身も、不祥事防止研修を受けていた。
それでも、事案が明らかになる直接のきっかけとなったのは被害側からの相談だった。
ただし、ここで「研修やルールがあったのに防げなかった」と単純に結論づけることはできない。
研修によって不祥事そのものを未然に防ぐ仕組みと、すでに起きている問題を学校側が把握する仕組みは別の問題だからだ。
今回検証すべきなのは、それぞれの制度が実際にどのように運用され、何を把握でき、何を把握できなかったのかという点だ。
本人の自己申告だけではなく、被害を受けた側が早期に相談できる環境は整っていたのか。
周囲が異変を把握した際、それを学校や教育委員会につなげる仕組みは機能していたのか。
再発防止を考える上では、「研修を実施した」「ルールを作った」という事実だけではなく、その実効性まで検証する必要がある。
夜須中のルールと今回の行為を直接結びつけることはできない
一方、重要な留意点がある。
問題となった行為は主に、男性教諭が芸西中学校に勤務していた2022年5月から2024年3月に行われたとされている。
今回、週刊TAKAPIが確認したのは、夜須中学校が現在公表している「不祥事根絶のための校内ルール」だ。
現時点では、このルールがいつ制定され、現在の内容にいつ改定されたのか確認できていない。
また、今回の被害女性と学校との具体的な関係についても、公表されている情報には限りがある。
そのため、現在の夜須中学校の校内ルールについて、問題となった行為当時に男性教諭へ適用されていた、あるいは今回の行為が同ルールに直接違反したと断定することはできない。
週刊TAKAPIでは、この点を明確に分けて検証する。
週刊TAKAPI、香南市教委に確認へ
週刊TAKAPIでは今後、香南市教育委員会などに対し、夜須中学校の「不祥事根絶のための校内ルール」が制定・改定された時期を確認する。
また、男性教諭に対する同ルールの周知状況、不祥事防止研修の受講状況、校内ルールやチェックリストが実際にどのように運用されていたのかについても取材する。
さらに、被害側から相談が寄せられるまで事案を把握できなかった経緯について、市教委が既存の不祥事防止策をどのように検証するのかも確認する方針だ。
制度は存在した。では、その制度は現場でどう機能していたのか。
週刊TAKAPIでは、不祥事防止策の実効性について引き続き取材する。
このニュースのポイント
情報提供・相談窓口
学校での不適切な指導や教職員の不祥事、教育委員会の対応などについて、週刊TAKAPIでは情報提供を受け付けています。
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