明治時代から約150年にわたって豆腐をつくり続けてきた浜松市の老舗企業が、事業継続を断念した。
浜松市浜名区の豆腐製造・販売会社「須部商店」が2026年5月31日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。
創業は1877年(明治10年)。約149年にわたって続いた老舗だった。
1877年創業 「勘四郎」も展開
須部商店は豆腐や油揚げなどを製造・販売し、創業者の名前を冠した「勘四郎」の店舗も展開していた。
しかし近年は、競争環境や人手の問題などから売り上げが伸び悩んでいた。
2005年5月期には約4億6900万円の売上高を計上していたが、2024年5月期には約2億3000万円まで減少した。
約19年間で、売上規模は半分程度になった計算だ。
原材料価格の上昇も経営を圧迫
須部商店では原材料にこだわった商品づくりを続けていた。
一方で薄利の運営が続く中、原材料費の急騰が重なり、経営を圧迫した。
2024年5月期末時点の負債は約4億3900万円だった。
食品メーカーにとって原材料価格の上昇は避けることが難しい。
価格上昇分を商品の販売価格に転嫁できなければ、商品が売れていても利益が残りにくくなる。
全国でも「100年企業」の倒産が増加
須部商店の事業停止は、全国的に老舗企業の経営環境が厳しくなっている中で起きた。
帝国データバンクによると、2026年1~8月に倒産した業歴100年以上の企業は112件。
年間160件を上回るペースで、過去最多だった2024年の146件を超える可能性がある。
ただし、この統計は負債1000万円以上で法的整理となった企業が対象だ。
須部商店については自己破産申請の「準備」に入った段階とされており、112件の集計に含まれているかは公開情報から確認できない。
【編集部考察】地域の「当たり前」が消える老舗廃業
老舗企業が姿を消す影響は、売上高や負債額だけでは測れない。
149年間続いた企業であれば、その間に蓄積された製造技術、取引先との関係、地域での知名度なども存在する。
特に豆腐のように地域の日常的な食生活と関係する商品では、老舗企業がなくなることは地域の食文化にも少なからず影響する。
一方、長い歴史そのものが企業の収益を保証するわけではない。
原材料高、人手不足、価格転嫁、競争環境の変化。
伝統的な商品を扱う企業ほど、「品質を守りながら、どう利益を確保するのか」という難しい経営判断を迫られている。
須部商店の事例は、全国各地に存在する地域密着型の老舗企業にとっても無関係ではない。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
週刊TAKAPI編集部:黒木
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