生命保険会社「大樹生命」の元営業職員が、顧客に別の生命保険商品での資金運用を持ちかけ、現金約500万円をだまし取ったとして、埼玉県警は14日、同県吉川市に住む鈴木まさえ容疑者(66)を詐欺の疑いで逮捕した。
鈴木容疑者は、顧客の男性に契約中の保険を解約させ、その資金を自身の銀行口座に振り込ませた疑いが持たれている。
警察は、同様の手口で約20人から総額約1億2000万円をだまし取った可能性があるとみて捜査している。
80代顧客に保険の切り替えを勧誘 約500万円を詐取した疑い
捜査関係者への取材に基づく報道によると、鈴木容疑者は大樹生命の埼玉支社三郷営業部に勤務していた2024年7月ごろ、当時80代の男性顧客に別の生命保険商品での運用を勧めた疑いがある。
男性に対し、現在の保険を解約して受け取る資金を新たな運用に充てる必要があるなどと説明。約500万円を自身の銀行口座に振り込ませ、だまし取ったとされている。
警察は領収書や銀行口座の入出金記録などを調べ、鈴木容疑者の関与を特定したという。
鈴木容疑者は調べに対して容疑を認め、受け取った金を生活費などに使ったと供述している。
大樹生命は前年に20人・約8130万円の被害を公表
今回の逮捕に先立ち、大樹生命は2025年3月14日、埼玉支社三郷営業部に在籍していた元職員による金銭詐取の調査結果を公表していた。
会社が確認した被害は20人、総額約8130万円。公表資料では、不正行為の期間を2013年5月から2025年1月までとしている。
確認された手口は、虚偽の説明で保険契約を一部解約させ、解約返戻金や積立金を受け取る行為と、得意客向けの投資商品を装って資金を集める行為の2種類だった。
資金の振込先には、元職員個人の銀行口座だけでなく、所属営業部の親睦会名義の口座も使われていた。
問題は2024年10月、顧客から会社への問い合わせをきっかけに発覚したと報じられている。鈴木容疑者は同年11月に懲戒解雇されたという。
なお、会社が公表した不正行為の期間には解雇後の2025年1月までが含まれるが、両者の関係については公表資料から詳細を確認できていない。
警察の被害見込みは約1億2000万円 会社公表額との差も
埼玉県警は、鈴木容疑者が複数の顧客に保険の切り替えや資産運用を持ちかけ、約20人から総額約1億2000万円をだまし取った可能性があるとみている。
会社が2025年3月に公表した約8130万円と比べると、警察が捜査する被害総額の見込みは約3870万円多い。
ただし、会社が確認した被害額と警察の捜査上の見込み額は、集計時点や確認状況が異なる。差額の内訳や新たに判明した被害額については、明らかになっていない。
現段階の逮捕容疑は、2024年に男性顧客から約500万円をだまし取ったとされる事案であり、約1億2000万円の全額が立件されたわけではない。
会社は被害を弁済 支払い手続きの監視を強化
大樹生命は2025年3月の公表資料で、社内調査により確認した被害について弁済を実施したと説明している。
再発防止策として、保険手続きに伴う支払いの監視強化、顧客への注意喚起、営業職員の日常活動における異常情報の把握などを掲げた。
一方、今回警察が捜査している約1億2000万円の全額について、弁済が完了したことまでは確認できていない。
編集部まとめ
大樹生命の元営業職員が詐欺容疑で逮捕された事件では、前年に会社が公表した被害額を上回る約1億2000万円の被害が捜査対象となっている。
会社は調査で確認した被害への弁済と再発防止策を公表している。警察は今回の約500万円の逮捕容疑に加え、同様の手口による被害の全容を調べている。
週刊TAKAPI 編集部/一条
特記事項
本記事は、2026年10月14日までに公表された報道と会社の公式資料を基に構成しています。
約500万円は今回の逮捕容疑、約1億2000万円は警察が捜査する被害総額の見込みです。容疑者は容疑を認めていると報じられていますが、刑事責任は確定していません。
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