
全国の裁判官を一覧でき、さらに“評価までできる”異例のウェブサービス「裁判官マップ」が公開され、法曹界とSNSで賛否が激しくぶつかっている。
このサービスでは、全国約2500人の裁判官について、所属裁判所や担当部、経歴、過去の判例の要約などを一括で閲覧可能。加えて最大の特徴が、弁護士や当事者などが匿名で「口コミ」を投稿できる点だ。
いわば“裁判官版レビューサイト”。公開からわずか1カ月で約50万人が訪問し、口コミは2000件を超えるなど急速に広がりを見せている。
■賛成の声「司法のブラックボックスに光」
これまで裁判官の訴訟指揮や審理スタイルは、弁護士同士の“口伝え”に頼る部分が大きく、一般にはほとんど見えない存在だった。
そのため今回のサービスに対しては、
「裁判官の傾向が事前に分かるのは有益」
「透明性が上がり、司法への関心が高まる」
といった評価も出ている。
開発した弁護士・田中一哉氏も、「裁判官は強い権限を持つ公務員でありながら、職務の実態が十分に可視化されていない」と問題意識を語る。
きっかけとなったのは、口コミの信用性を軽視する判決だったという。
「それなら裁判官自身も同じ立場に置かれるべきではないか」
その発想が、このサービスの原点だ。
■反対の声「誹謗中傷と“見えない圧力”の温床に」
一方で、懸念の声も根強い。
匿名投稿という性質上、感情的な不満や恨みが書き込まれやすく、誹謗中傷の温床になる危険性があるとの指摘だ。
さらに問題視されているのは、裁判官の判断への影響。
「低評価を恐れて世論に迎合するようになれば、法の下の平等が揺らぐ」
「“ウケのいい判決”を意識する空気が生まれかねない」
といった声も上がっている。
司法関係者の一人は、
「裁判官も人間。批判は気になるし、褒められれば嬉しい。ただ、いい加減に裁判をしている人はいない」
としつつも、制度の影響を懸念する。
■問われる“可視化”の線引き
サービス側は、匿名性を確保しつつもIPアドレスを暗号化保存するなど、一定の抑止策を講じている。また、私生活に関する投稿は禁止するガイドラインも設けている。
しかし、それでも完全に誹謗中傷を防ぐことは難しいのが現実だ。
“見える化”は果たして健全な監視なのか、それとも新たな圧力なのか。
裁かれる側だったはずの裁判官が“評価される側”に回る時代
その先にあるのは、透明性の向上か、それとも司法の揺らぎか。
週刊TAKAPI
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