名古屋鉄道は2026年5月8日、2021年夏ごろに当時駅係員だった20代男性社員が、業務時間外に知人2人と走行中の列車の乗務員室へ入るなどの不適切行為に関わっていたとして、公式サイトで謝罪した。
問題となったのは、営業運転中の特急・快速特急の乗務員室に部外者が入り、警笛「ミュージックホーン」を鳴らしたり、乗務員室内で動画を撮影したりしたとされる行為だ。
本誌が拡散直後に名鉄側へ確認した時点では、同社は事実関係を調査中としていた。その後、名鉄は公式サイトで不適切行為があったことを認め、謝罪に至った。

名鉄は5月8日付で「従業員の業務外における不適切な行為について(お詫び)」を公表し、2021年夏ごろに業務時間外の従業員が走行中の列車の乗務員室へ侵入するなどの不適切な行為があったと説明した。そのうえで、同社は「お客さまには多大なるご心配とご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
SNS上では当初、2023年に報道された未成年者による乗務員室侵入事件と同じ動画ではないかとの見方も出ていた。しかし、今回の動画は2023年の事案とは別件で、SNS上で拡散された動画によって新たに発覚した問題だったことが明らかになった。
名鉄の説明や報道によると、問題の行為は2021年夏ごろに2回あった。1回目は知多新線を走行中の特急列車内、2回目は名古屋本線を走る快速特急内だったとされる。いずれも営業列車で、一般客が乗車している状況だった。
車掌は乗務員室を施錠し、車内巡回などのため不在だった。その間に、知人2人が何らかの方法で鍵を開け、乗務員室へ入ったという。動画では、乗務員室内でミュージックホーンを鳴らす場面などが確認されたとされる。
当時駅係員だった男性社員は、業務時間外に知人2人と行動していた。報道によると、男性社員は、悪いことだと認識していたが知人を制止できず加担してしまった、という趣旨の説明をしている。名鉄は、この男性社員について社内規定に基づき厳正に処分するとしている。
今回の問題で大きな焦点となっているのは、車掌が乗務員室を施錠していたにもかかわらず、部外者が開錠して侵入したとされる点だ。
乗務員室は、列車の運行や車掌業務に関わる機器が置かれた場所であり、一般の利用者が立ち入ることは想定されていない。営業列車で部外者が中に入り、警笛や機器に触れたとされる行為は、直接の運行支障が確認されていなかったとしても、鉄道会社の安全管理に関わる重大な問題となる。
動画は2026年4月30日ごろ、X上で拡散された。SNSでは、乗務員室に入る様子や機器を操作するような場面に対し、「なぜ鍵が開いたのか」「営業列車で起きたなら危険ではないか」「社員が関わっていたのか」といった疑問の声が広がった。
その後、関係した男性社員が名鉄側へ申し出たことで、会社としての調査が進んだ。名鉄は5月8日、公式サイト上で不適切行為を公表し、利用者に心配と迷惑をかけたとして謝罪した。
名鉄では、2023年にも未成年者による乗務員室侵入事件が報じられていた。このため、今回の動画が拡散された直後、SNSでは過去事案と同一ではないかとの見方が出た。しかし、今回の件は2021年夏ごろに発生した別の不適切行為であり、現役社員が関わっていた点で、過去事案とは性質が異なる。
名鉄は、警察にも相談しているとされる。また、再発防止策として乗務員室の施錠機能の強化を進めている。すでに注意喚起ステッカーの貼付なども実施しており、同種事案の防止に向けた対応を進める方針だ。
鉄道会社にとって、乗務員室の管理は安全運行への信頼に直結する。今回の問題は、外部からの無断侵入だけでなく、社員が業務時間外に知人と行動し、営業列車の乗務員室に入る行為を止められなかった点も問われている。
名鉄は処分内容の詳細を明らかにしていないが、公式に不適切行為を認めて謝罪したことで、SNS上で広がっていた「2023年事件と同じ動画なのか」という疑問には一定の整理がついた。
一方で、なぜ施錠後の乗務員室が開けられたのか、社員がどのような形で現場に関わったのか、同様の行為を防ぐ管理体制が十分だったのかについては、今後も説明が求められる。
今回の問題は、単なる鉄道ファンの悪ふざけでは済まない。走行中の営業列車で、部外者が乗務員室に入り、警笛や機器に触れたとされる行為に社員が関わっていた。名鉄には、処分だけでなく、施錠機能の強化、社員教育、乗務員室管理の見直しを具体的に進めることが求められる。
SNS動画で発覚した今回の不適切行為は、名鉄の安全管理と内部統制が問われる事案となった。

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