奈良市小学校いじめ訴訟、児童側の請求を棄却 ノートへの「花丸」も法的義務違反と認めず

奈良市立小学校でいじめを受けた女子児童と両親が、学校側の対応が不適切だったとして奈良市に約250万円の損害賠償を求めた裁判で、奈良地方裁判所は7月16日、児童側の請求を棄却しました。

問題となったのは、女子児童が自身を否定する深刻な内容をノートに書いて提出した際、担任教師がページに花丸を付け、「You can do it!!」と記して返却した対応です。奈良地裁は、学校や教師に法的義務に反する行為があったとは認められないと判断しました。

同級生からのいじめを市教委が認定

報道や奈良市教育委員会の調査によると、女子児童は2021年から2022年にかけて、同級生から足を蹴られたり、鉛筆で背中を突かれたりするなどの行為を受けました。

市教育委員会は2023年、調査対象となった12件をいじめ行為と認定。問題のノートについて、担任が花丸を付けたことや、その内容を保護者や管理職へ共有しなかった対応を「不適切」と評価し、学校が組織的に対応できていなかったと指摘していました。

女子児童と両親は2024年、学校の調査や情報共有、児童への配慮が不十分だったことで精神的苦痛を受けたとして、奈良市に約250万円の損害賠償を求めて提訴しました。

なぜ奈良地裁は請求を棄却したのか

奈良地裁は、同級生から足を蹴られたとされる問題について、学校が児童らへの聞き取りを行い、暴力行為に関する指導や児童同士の関係改善に向けた対応を取っていたと認定しました。

管理職への情報共有が直ちに行われなかった点はあったものの、「相応の調査」を行い、いじめを防ぐための一定の配慮をしていたとして、法的義務への違反は認められないと判断しました。

ノートへの「花丸」はどう判断されたのか

裁判では、担任教師が「女子児童から花丸を付けてほしいと頼まれた」と証言した一方、女子児童側はその説明を否定していました。

奈良地裁は担任の証言を採用したうえで、教師がノートを確認した後に女子児童と話し、不安を解消するための対応を取っていたと認定しました。

花丸や英語のコメントについては、受け取り方によっては不適切な意味にも見えるとしながらも、児童が助けを求めた行動を積極的に踏みにじった違法行為とまでは認められないとして、損害賠償責任を否定しました。

市教委の「不適切」と裁判所の「違法ではない」は矛盾するのか

今回の判決で重要なのは、奈良市教育委員会が学校の対応を「不適切」と評価していた一方、奈良地裁は損害賠償が認められるほどの「法的義務違反」ではないと判断した点です。

教育上望ましい対応だったかという評価と、国家賠償法上の違法行為に当たるかという判断は、同じものではありません。

そのため、請求棄却は「学校のすべての対応が適切だった」と認定したことを直ちに意味するものではありません。

児童側は判決に納得できないと表明

女子児童側の代理人弁護士は、判決後、担任教師が法廷で述べた内容が事実として採用されたことなど、裁判所の事実認定に疑問があるとして、原告側は納得していないと説明しました。

一方、奈良市は、市側の主張が認められたとしつつ、原告が提訴に至った事実や、その背景にある思いを受け止める必要があるとのコメントを出しています。

編集部まとめ

奈良市立小学校でいじめを受けた女子児童と両親が、市に約250万円の損害賠償を求めた裁判で、奈良地裁は請求を棄却しました。

裁判所は、学校が一定の聞き取りや指導を行っていたことから、法的義務への違反は認められないと判断。担任が深刻な内容のノートに花丸を付けた対応についても、違法行為とまでは認定しませんでした。

一方、市教育委員会は過去の調査で、花丸を付けたことや管理職・保護者への情報共有を行わなかった点を不適切と評価しています。

編集部コメント

今回の判決は、学校の対応が教育的に最善だったと認めたものではなく、損害賠償責任が生じる法的な違反までは認められないと判断したものです。

子どもがノートや会話を通じて深刻な苦しさを示した場合、教師個人の判断だけで終わらせず、管理職や保護者、必要に応じて専門職と情報を共有することが求められます。

裁判の結論とは別に、学校現場が今回の事案から何を学び、組織的な対応をどう改善するかが問われます。


特記事項:
本記事は、奈良地方裁判所の判決に関する各社報道、奈良市教育委員会の調査内容などをもとに、週刊TAKAPI編集部が整理・構成しました。

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