全国の公立小中学校で、学習面や行動面に著しい困難を示す児童・生徒が増えている。
文部科学省が2022年に公表した調査では、通常学級に在籍する小中学生の推定8.8%が、読み書きや計算、注意の持続、対人関係などで特別な教育的支援を必要とする可能性があるとされた。35人学級なら、およそ3人に当たる割合だ。
ただし、この数字をそのまま「発達障害と診断された子どもの数」と受け取るのは正確ではない。
調査は医師の診断ではなく、学級担任らの回答をもとにしたものだ。文部科学省も、8.8%は発達障害のある児童・生徒の割合ではなく、学校生活の中で特別な支援を必要とする可能性がある子どもの推定値だと説明している。
10年間で増えたのは「子ども」だけなのか
前回の2012年調査は6.5%だったため、数字だけを見れば10年間で2.3ポイント上昇している。
背景には、発達障害への理解が広がり、これまで「落ち着きがない」「勉強が苦手」「集団になじめない」と見過ごされていた子どもの困りごとに、学校や家庭が気づきやすくなったことがある。
特別支援教育や相談窓口が広がり、早い段階で支援につながるケースが増えたことも、数字を押し上げた要因の一つと考えられる。
一方、前回とは対象地域や質問項目の一部が異なるため、文部科学省は単純比較できないと注意を促している。「発達障害の子どもが急増した」と断定することはできない。
「育て方のせい」と決めつけない
ASDやADHD、学習障害などは、親の愛情不足やしつけの失敗で生じるものではない。
また、スマートフォンや動画視聴、家庭環境によって発達障害そのものが起きると安易に結びつけることにも慎重さが必要だ。睡眠不足や生活リズム、強いストレスによって、集中しにくい、感情を抑えにくいといった似た状態が表れることはあるが、診断は専門家が複数の情報をもとに判断する。
必要なのは、子どもにレッテルを貼ることではない。何に困り、どのような環境なら力を発揮できるのかを見極めることだ。
編集部まとめ
8.8%という数字が示しているのは、発達障害の「急増」だけではなく、通常学級の中にも支援を必要とする子どもが少なくないという現実です。
診断名の有無にかかわらず、座席の位置、課題の伝え方、休める場所、学習方法などを本人に合わせることで、学校生活の負担は軽くできます。
親が自分を責めるのでも、子どもの努力不足と決めつけるのでもなく、困っている理由を早めに見つける。その視点が、数字以上に重要です。
週刊TAKAPI編集部/成田
この記事で分かること
全国の公立小中学校では、通常学級に在籍する児童・生徒の推計8.8%が、学習面や行動面で特別な教育的支援を必要とする可能性があるとされています。この数字は発達障害の診断数ではなく、学校で困難を抱えている子どもの推計です。発達障害への理解や相談体制が進んだことで気づかれる子どもが増えた一方、育て方や生活環境だけを原因と決めつけない姿勢が求められます。
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