福岡県うきは市の梨農園で、収穫直前の梨「幸水」約5000個が盗まれていたことが分かりました。被害額は約200万円に上るとみられています。
同じ農園では2025年にも約6000~6500個の梨が盗まれ、被害額は約190万円に上りました。2年連続で大規模な被害を受けた農家は、「もう気力をなくした」として梨栽培を辞める意向を示しています。
幸水の木約50本から実が消える
被害に遭ったのは、うきは市で梨を栽培する「エイティーファーム」の農園です。
7月16日から17日にかけて、数日後に収穫を控えていた幸水約5000個が持ち去られました。農園にある幸水の木約70本のうち、およそ50本分が被害に遭ったということです。
梨が地面に落ちた形跡はほとんどなく、多くの実が木からきれいに摘み取られていました。別の品種には手がつけられておらず、収穫時期を迎えた幸水が集中的に狙われたとみられます。
人目につきにくい農園の奥側を狙ったか
被害が集中していたのは、道路や入口から離れた農園の奥側でした。入口付近にある梨は残されていた一方、奥へ進むにつれて実がほとんどなくなっていたといいます。
農園へ続く道は狭く、軽トラックの乗り入れも難しい場所とされています。約5000個もの梨を運び出すには、相応の時間や人手が必要です。
警察は、犯人が農園の構造や梨の収穫時期を把握していた可能性も含め、当時の状況を調べています。ただし、土地勘のある人物が関与したかどうかや、犯行人数は明らかになっていません。
センサーや柵を設置、それでも防げず
農園では前年の盗難を受け、人の動きを感知するセンサーや柵を設置するなど、防犯対策を進めていました。
一方、梨の栽培現場では、カラスによる食害や猛暑による高温障害への対応も欠かせません。農園側は果実を守るための作業に追われる中、再び人による大量盗難に遭いました。
農園を営む佐々木浩喜さんは、「2年連続こんなんで、もう気力をなくして」と胸の内を明かしています。
2025年にも約6000~6500個、被害約190万円
同じ農園では2025年にも、収穫前の梨約6000~6500個が盗まれました。当時の被害額は約190万円とされています。
大きな損失により会社経営が厳しくなり、佐々木さんは従業員を解雇。個人事業主として農園の再建を目指していました。
しかし、再出発の最中に、再び収穫直前の梨が大量に奪われました。今回の被害額は約200万円とみられ、2年間の被害は少なくとも約390万円に達します。
佐々木さんは「作っても泥棒のためにつくってるようなもんやし」と語り、梨栽培を辞める考えを示しました。
家族で育てた梨「我が子を誘拐されたような気分」
梨は、剪定や受粉、摘果、病害虫対策など、長期間にわたる管理を経て収穫を迎えます。盗まれた幸水も、家族が多くの時間と手間をかけて育ててきたものでした。
佐々木さんは、梨を失った心境について「我が子を誘拐されたような気分」と表現しています。
高齢の父親も農作業に携わっていたといい、農園に通うこと自体が大きな負担になっていました。家族を再び同じ被害に巻き込みたくないとの思いも、栽培断念の背景にあるとみられます。
警察が防犯カメラや流通経路を捜査
警察は窃盗事件として、農園周辺の防犯カメラ映像や不審な車両の有無を調べています。
約5000個という大量の梨が持ち去られていることから、個人で消費する目的ではなく、販売や転売を目的とした可能性もあります。警察は、盗まれた梨が市場や販売ルートに流れていないかについても捜査を進めるとみられます。
前年の盗難事件との関連も、今後の焦点です。
編集部まとめ
今回失われたのは、約5000個の梨と約200万円の売り上げだけではありません。
剪定、受粉、摘果、鳥獣対策、高温対策を重ねた時間と労力、さらに前年の被害から立ち直ろうとしていた生産者の意欲まで奪われました。
農作物窃盗は全国各地で繰り返されており、被害は経営悪化や離農に直結します。個々の農家だけに防犯を委ねるのではなく、警察、行政、農業団体、地域住民が連携し、巡回や流通監視を強化する必要があります。
一つの農園が栽培から撤退すれば、地域の生産量や雇用、観光農業にも影響が及びます。農作物を盗む行為は、生産者個人だけでなく、地域農業の将来そのものを脅かす犯罪です。
週刊TAKAPI編集部/松本
特記事項
本記事は、被害農家への取材内容、警察の捜査状況、各社報道をもとに構成しています。犯人の人数や侵入方法、前年の盗難事件との関連は現時点で確定していません。被害個数と被害額は農園側の説明などに基づく概算であり、今後の捜査により更新される可能性があります。
2年連続の梨盗難、農家は栽培断念へ
福岡県うきは市の梨農園で、収穫直前の幸水約5000個が盗まれ、被害額は約200万円に上りました。同じ農園では2025年にも約6000〜6500個、約190万円相当の被害が発生しています。防犯センサーや柵を設置していたものの再び被害を防げず、農園を営む佐々木浩喜さんは「作っても泥棒のためにつくってるようなもんやし」と語り、梨栽培を辞める意向を示しました。警察は防犯カメラや不審車両、盗まれた梨の流通経路を調べ、前年の事件との関連も含めて捜査しています。
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