東京や静岡県熱海市と伊豆諸島を結ぶ定期旅客船を運航する東海汽船で、乗組員による複数の法令違反が確認されたとして、国土交通省が事業停止命令などの行政処分に向けた手続きを進める方針であることが分かった。
東海汽船は東京・竹芝を起点とする航路に加え、熱海と伊豆大島を結ぶ高速ジェット船も運航している。正式に事業停止となれば、伊豆諸島の住民だけでなく、静岡県内から島を訪れる観光客や交通事業者にも影響が及ぶ可能性がある。
酒気帯び当直やアルコール検査の身代わり
国交省が実施した臨時監査では、複数の船で安全運航の根幹を揺るがす行為が確認されたとされる。
問題となっているのは、酒気を帯びた状態で当直勤務に就いた行為や、アルコール検査を別の乗組員に受けさせた身代わり行為。さらに、旅客が利用する乗船口を閉鎖しないまま運航を続けた事例も確認されたという。
いずれも船員法や海上運送法に抵触する可能性があり、国交省は旅客の安全を脅かしかねない重大な問題とみている。
聴聞後に正式処分 現段階では運航停止未決定
関東運輸局は、東海汽船に処分案について意見を聴く「聴聞」を通知する見通し。事業停止命令や安全統括管理者の解任命令は、聴聞を経たうえで正式に決定される。
現段階では、事業停止の開始日や期間、対象となる船舶・航路は公表されていない。直ちに全便の運航が停止すると決まったわけではなく、利用予定者は今後の正式発表を確認する必要がある。
静岡・熱海から伊豆大島への航路にも関心
東海地方で特に影響が注目されるのが、静岡県熱海市と伊豆大島を結ぶ高速ジェット船の航路だ。
東海汽船の案内では、熱海から大島までの所要時間は最短45分。静岡県側から伊豆諸島へ向かう主要な海上交通の一つとなっている。処分対象や停止範囲に熱海航路が含まれた場合、観光客の旅行計画や地域観光にも影響が出る可能性がある。
愛知、岐阜、三重から伊豆諸島へ向かう旅行者にとっても、東京・竹芝や熱海を経由する船便は選択肢となる。夏休み期間の予約や旅行を予定している利用者には、運航状況の確認が欠かせない。
2025年にも安全確保命令
東海汽船は2025年4月にも、乗組員の教育訓練や労働時間管理などをめぐり、関東運輸局から是正命令と輸送の安全確保に関する命令を受けていた。
同社は当時、遵法意識の欠如を認め、安全管理体制の再構築や関係者の処分を行うとしていた。今回、新たな法令違反が確認されたとすれば、過去の改善策が現場で機能していたのかも厳しく問われる。
東海汽船は今回の問題について、現段階では回答を差し控えるとしている。
編集部まとめ
東海汽船に対する事業停止命令は、現時点では正式決定していない。ただし、酒気帯び当直やアルコール検査の身代わりが事実であれば、旅客輸送の信頼を根底から損なう行為となる。東海地方では、静岡県熱海市と伊豆大島を結ぶ航路への影響が焦点の一つとなり、処分の対象範囲と運航予定の公表が待たれる。
週刊TAKAPI編集部/松本
特記事項:行政処分は聴聞を経て正式決定されます。現段階で事業停止の期間、対象航路、欠航便は確定していません。法令違反の内容と処分範囲は、今後の国土交通省および東海汽船の発表により更新される可能性があります。
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