【熊本地震】「命より売上金」が優先されたのか 避難後に戻った22歳ら2人死亡、ハビタ幹部が指示認め謝罪

令和8年熊本地震後のイオンモール熊本爆発で、生活雑貨店ハビタの女性従業員2人が避難後に館内へ戻り死亡し、運営会社幹部が売上金を金庫へ保管するよう求めた事実を認め謝罪した問題を伝える報道用アイキャッチ

令和8年熊本地震の発生後、熊本県嘉島町のイオンモール熊本で起きた爆発事故を巡り、コスメ・生活雑貨店「ハビタ」の運営会社が、避難していた従業員に売上金を金庫へ保管するよう連絡していたことが分かった。

死亡したのは、同店に勤務していた大竹玖瑠美さん=当時22歳=と、氏名が公表されていない女性従業員。2人はいったん館外へ避難した後、店長を通じて会社側の連絡を受け、館内へ戻ったとされている。

運営会社の取締役は、売上金の保管を求めた事実を認め、2人の遺族に謝罪した。

地震後、2人だけで勤務していた店舗

複数の報道によると、地震発生当時、ハビタの店長は休みで、大竹さんら2人が店舗で勤務していた。

2人は地震発生後、モールの外にある駐車場などへ避難。会社側は店長を通じて2人の無事を確認したという。

その後、モールが休業になったとの連絡を受けたハビタの湯瀬剛二取締役は、店長に対し、館内へ戻れる状況であれば売上金を金庫へ保管してほしいとの趣旨を伝えた。

湯瀬取締役は報道機関の取材に対し、「無理なら可能な範囲でよい」と条件を付けていたと説明している。店長がその内容を2人に伝え、2人は館内へ戻ったとされる。

同社は、県内にある別の店舗にも売上金の保管に関する同様の連絡をしていたという。

店長から2人へ、何と伝えられたのか

今回の問題を検証するうえで、核心となるのは、会社幹部から店長への連絡が、店長から2人へどのような言葉で伝えられたのかという点だ。

会社側は「戻れるのであれば」「無理なら可能な範囲で」とする条件付きの依頼だったと説明している。

しかし、その条件が店長から2人へ伝達される過程でも維持されていたのか、断ることのできる依頼として伝わっていたのかは明らかになっていない。

会社側からの連絡を受けた従業員が、業務上の指示として受け止めた可能性も含め、電話やメッセージの記録に基づく検証が必要となる。

親族に「売上金を金庫へ入れるため戻る」

報道によると、大竹さんは屋外へ避難した後、駐車場で偶然会った親族に対し、会社から売上金を金庫へ入れるよう言われたため戻るとの趣旨を話していたという。

その後、大竹さんは同僚の女性従業員と館内へ戻り、午後5時50分ごろに発生した爆発に巻き込まれた。

2人が館内へ戻った正確な時刻や、再入館から爆発までにどの程度の時間があったのかは明らかになっていない。

当初説明と後の確認で順序が逆転

会社側による遺族への説明を巡っては、売上金の指示と従業員の荷物に関する申し出の前後関係にも食い違いが生じている。

報道によると、会社側は当初、従業員から荷物を取りに館内へ戻りたいとの申し出があり、その後に売上金を金庫へ保管するよう依頼したと遺族へ説明していた。

しかし、その後に店長らへ確認した結果、実際には会社側が先に売上金の保管を求め、従業員から荷物を取りたいとの話が出たのは、その後だったことが判明したという。

当初の説明では、従業員が自ら館内へ戻る意向を示した後、会社側が売上金の保管を依頼したように受け取れる。一方、後に示された説明では、会社側の連絡が先だったことになる。

会社側がなぜ事実と異なる順序で説明したのか、どの情報を基に遺族へ説明したのかについても、詳しい確認が求められる。

ハビタ社長と取締役が謝罪

報道によると、ハビタを運営する会社の上野景真社長は、大竹さんの通夜に参列し、2人の従業員が死亡したことについて遺族に謝罪した。

湯瀬取締役も「中に入るという指示を出したことは問題だった」との認識を示し、今後は避難を最優先とし、災害発生後に従業員を建物内へ戻さないよう徹底するとしている。

会社側は、店長や本部との連絡内容を調べ、遺族に説明するための報告書をまとめる方針を示している。

ハビタ運営会社が公式声明

イオン側「館内へ戻ってよいとの案内はない」

一方、イオン側は、大規模災害時にいったん館外へ避難した場合、従業員であっても安全が確認されるまで館内へ戻らないとするマニュアルがあると説明している。

また、館内へ戻ってよいとのアナウンスは一切しておらず、亡くなった従業員らがなぜ建物内へ戻ったのか分からないとの見解を示している。

これに対し、ハビタ側は、会社幹部から店長を通じて売上金の保管に関する連絡をしたことを認めている。会社関係者からは、他のテナントから得た情報として、入口によっては館内へ入れる状況だったとの説明も出ている。

ただし、実際に館内へ入ることができたかどうかと、安全上、戻ってよい状態だったかどうかは別の問題だ。

イオン側の避難方針が各テナントへどのように伝達されていたのか、ハビタ側がその方針をどこまで把握していたのか、双方の説明のどちらが実態に即しているのかは、現時点では確定していない。警察や関係機関による捜査と調査を待つ必要がある。

爆発で専門店従業員ら7人が犠牲

イオンモール熊本では7月28日午後5時50分ごろ、館内で大規模な爆発が発生した。

爆発では、専門店の従業員ら計7人が死亡した。一部報道では、ほかに5人が軽傷を負ったと伝えられている。

爆発の原因については、ガスとの関連を含めて調査が進められているが、現時点では確定していない。

令和8年熊本地震による死者は、8月2日時点で38人に上っている。

編集部まとめ

現時点で、会社側が「命より売上金を優先した」と断定することはできない。

しかし、2人がいったん安全を求めて館外へ避難した後、会社側から売上金に関する連絡を受け、再び館内へ戻って死亡したとされる経緯は、極めて重い。

検証されるべきなのは、「可能であれば」という言葉が添えられていたかどうかだけではない。その条件が2人にまで正確に伝えられたのか。従業員が拒否できる状況だったのか。モール側の避難方針を会社側が把握しながら、売上金の保管を求めたのかという点も明らかにされなければならない。

災害時、企業は従業員の命を守るため、どの段階で業務を完全に停止すべきなのか。金銭や商品を守るための判断が、人命を危険にさらすことはなかったのか。

売上金は補うことができる。失われた命は戻らない。

会社側には、指示と伝達の全経緯を記録に基づいて示し、なぜ2人の再入館を止められなかったのかを遺族と社会に説明する責任がある。

週刊TAKAPI編集部/成田

特記事項

本記事は2026年8月3日時点で公表された複数の報道内容を基に構成しています。爆発の原因、館内へ戻った詳しい経緯、施設側と専門店側の情報伝達、関係者の法的責任は確定しておらず、今後の捜査や調査によって内容が更新される可能性があります。

Qイオンモール熊本の爆発で死亡したハビタ従業員は何人ですか?
Aコスメ・生活雑貨店「ハビタ」に勤務していた女性従業員2人が死亡しました。このうち1人は大竹玖瑠美さん=当時22歳=で、もう1人の氏名は公表されていません。
Q2人はなぜ避難後に館内へ戻ったのですか?
A複数の報道によると、運営会社幹部が店長を通じ、館内へ戻れる状況であれば売上金を金庫へ保管してほしいとの趣旨を伝えたとされています。店長が2人へ具体的にどのような言葉で伝えたかは、現在も検証が必要です。
Qハビタの会社幹部は指示を認めていますか?
A湯瀬剛二取締役は、店長に売上金の保管を求めた事実を認め、館内へ戻ることにつながる連絡をした判断に問題があったとの認識を示して謝罪しています。
Qイオン側は館内への再入館を認めていたのですか?
Aイオン側は、大規模災害時にいったん館外へ避難した場合、安全が確認されるまで館内へ戻らないとするマニュアルがあり、戻ってよいとの案内はしていないと説明しています。
Q今後の焦点は何ですか?
A会社幹部から店長、店長から従業員へどのような内容が伝えられたのか、条件付きの依頼が正確に伝達されたのか、イオン側の避難方針をハビタ側が把握していたのかが焦点です。爆発原因や法的責任についても、捜査と調査が待たれます。

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