京都市立総合支援学校に通う女子生徒が福祉タクシーで下校中、人工呼吸器の回路が外れて一時心肺停止となる事故があり、京都市教育委員会は8月5日、事故の経緯を公表しました。生徒には現在も脳への影響が残っているということです。
事故が起きたのは2025年2月10日です。医療的ケアを必要とする女子生徒が福祉タクシーに乗車していたところ、装着していた人工呼吸器の加湿回路が外れ、異常を知らせるアラームが鳴りました。
回路が外れたことで血中の酸素濃度が低下したとされています。
アラームを「たん詰まり」と誤認
車内には、京都市の通学支援事業を受託する民間事業者の50代女性看護師が同乗していました。
看護師はアラームが鳴った原因を「たん詰まり」と判断し、救急用の人工呼吸器具を使った呼吸補助など、必要な対応を取らなかったとされています。
その後、生徒は一時心肺停止の状態となりました。駆けつけた救急隊の処置によって心拍は再開しましたが、酸素不足により蘇生後脳症を発症しました。
京都府警は2025年6月18日、同乗していた看護師を業務上過失傷害の疑いで書類送検しました。
約1カ月入院、意思伝達に影響
生徒は事故後、約1カ月にわたって入院し、その後は学校への登校を再開しました。
一方、事故前には機器を使って周囲と意思疎通を図ることができていましたが、現在は同様のコミュニケーションが取れなくなるなど、脳への影響が残っているということです。
京都市教育委員会は、女子生徒の学年や年齢、在籍する学校名など、本人の特定につながる情報を明らかにしていません。
医療的ケア児の通学を支援する事業
京都市の通学支援事業は、医療的ケアが必要なためスクールバスでの通学が難しい市立総合支援学校の児童生徒を対象に、福祉タクシーなどへ看護師らが同乗して送迎する制度です。
事業は2022年度に始まり、送迎費用は市が負担しています。2025年度の利用者は29人だったとされています。
市議会で稲田新吾教育長は、生徒の命に関わる重大な事故として重く受け止め、利用者が安心して通学支援事業を利用できるよう環境整備を進める考えを示しました。
市教委は今後、人工呼吸器のアラームが鳴った際の確認手順や、緊急時の対応、委託事業者に所属する看護師への研修体制などを検証する方針です。
編集部まとめ
人工呼吸器の回路が外れた際、同乗看護師がアラームの原因を誤って判断し、必要な呼吸補助が行われなかったとされる重大事故です。
女子生徒は救命されたものの、以前は可能だった機器による意思伝達が難しくなるなど、事故前とは異なる状態が続いています。
再発防止には、個人の経験や判断だけに依存せず、機器の異常別に対応を明文化した手順、緊急時の連絡体制、定期的な実地訓練を含む安全管理の徹底が求められます。
看護師は書類送検された段階であり、刑事責任は今後の捜査や司法手続きを通じて判断されます。
週刊TAKAPI編集部/一条
※本記事は、京都市教育委員会の発表および2026年8月5日時点の報道内容をもとに事実関係を再構成しています。被害生徒のプライバシーに配慮し、本人を特定する情報は掲載していません。今後の捜査や市の検証により、内容が更新される可能性があります。
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