北海道江別市で2024年10月、男子大学生が男女6人から集団暴行を受けて死亡し、現金などを奪われた事件で、札幌地方裁判所は8月7日、強盗致死などの罪に問われた川口侑斗被告(事件当時18歳)に対し、検察側の求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。裁判所は川口被告を事件の主犯と認定した。
亡くなったのは大学生の長谷知哉さん(当時20歳)。長谷さんは、当時交際していた八木原亜麻被告との別れ話をきっかけに、江別市内の公園で川口被告や当時17歳だった少年ら男女6人から暴行を受け、現金やカードを奪われた末に死亡した。
約2時間続いた集団暴行 裁判所が川口被告を「主犯」と認定
裁判で大きな争点となったのは、集団の中で川口被告がどのような役割を果たしていたのかという点だった。
検察側は、約2時間に及んだ暴行について川口被告が全体を主導したとして無期懲役を求刑。一方、弁護側は事件当時の年齢や更生可能性などを挙げ、懲役25年が相当だと主張していた。
札幌地裁は判決で、川口被告について、動画撮影や残忍な行為の提案などを通じて暴行をエスカレートさせ、終始共犯者を主導していたと評価。事件の主犯に当たるとして、無期懲役が相当だと判断した。
「立ったまま謝られたのが気に食わなかった」
審理では、暴行が続いた背景にあった川口被告の極めて身勝手な認識も明らかになった。
7月31日の被告人質問で川口被告は、長谷さんが土下座して謝罪し、出血していた段階で一度は暴行をやめようと考えたものの、その後再び暴行する状況になったと説明した。さらに、長谷さんが当初立った状態で謝罪したことについて不満を抱いたとも供述した。
裁判長から、立ったまま謝罪したことの何が悪いのか問われると、川口被告は、自分より長谷さんの身長が高かったため「上から目線で謝られたのが気に入らなかった」という趣旨の説明をした。土下座を当然視した理由については、先輩から「迷惑をかけたら土下座するのが普通」と教えられたことを挙げていた。
裁判長「理不尽以外の何ものでもない」
高杉裁判長は、面識のなかった長谷さんに暴力を振るったことについて酌むべき事情はないとし、犯行を「理不尽以外の何ものでもない」と厳しく指摘した。
判決理由では、長谷さんが両親が長年待ち望んだ長男として生まれ、両親や姉に大切に育てられてきたことにも言及。突然命を奪われた本人だけでなく、残された遺族の苦しみも踏まえた判断が示された。
若年であることなどを考慮しても責任は極めて重いとして、裁判所は弁護側の懲役25年との主張を退け、検察側の求刑通り無期懲役を言い渡した。
「自分のどこに問題があったのか、生涯考え続けてください」
判決言い渡し後、高杉裁判長は川口被告に対し、なぜこのような事件になったのか、自分自身のどこに問題があったのかを「生涯考え続けてください」と諭した。川口被告は小さくうなずきながら聞いていたという。
弁護側は控訴について、川口被告本人の意思を確認したうえで判断するとしている。
当時17歳の少年にも懲役30年
川口被告とともに強盗致死などの罪に問われた事件当時17歳の少年についても、札幌地裁は同じ8月7日、検察側の求刑通り懲役30年を言い渡した。
今回の判決で、事件を主導したと認定された川口被告には無期懲役、当時17歳だった少年には有期刑として極めて重い懲役30年が言い渡されたことになる。
編集部まとめ
「立ったまま謝られた」「上から目線に感じた」――裁判で明らかになった動機は、20歳の大学生の命が奪われる理由とは到底結びつかないものだった。
札幌地裁は、面識のなかった長谷さんへの暴力に酌むべき事情はないとし、川口被告を主犯と認定したうえで無期懲役を選択した。
約2時間に及んだ集団暴行の末、一人の若者の人生が突然断ち切られた。判決後に裁判長が投げかけた「生涯考え続けてください」という言葉は、単なる説諭ではなく、自らが主導した行為とその結果から生涯逃げることなく向き合うよう求めたものと受け止められる。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
2026年8月7日の札幌地裁判決および公判内容について、複数の報道内容を照合して再構成した。判決内容、量刑、被告人質問、裁判長の説諭など、確認できた事実を中心に記載している。
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