愛知県豊橋市の豊橋総合動植物公園「のんほいパーク」で、モグラの飼育・研究展示施設「モグルーム」の公開が始まった。
土の中で暮らし、普段はほとんど姿を見ることができないコウベモグラを観察できる施設で、内視鏡カメラを使った展示や骨格標本、研究用に開発されている機器なども紹介する。
単に生きたモグラを展示するだけでなく、全国の研究者と連携して進める生態研究の過程を来園者に見せる、珍しい「研究公開型」の施設となっている。
のんほいパークの「モグルーム」とは
「モグルーム」は、のんほいパークの夜行性動物館内出口付近に整備されたモグラ専門の展示施設。2026年9月3日午前9時から一般公開が始まった。
展示されているのは、豊橋市内にも生息するコウベモグラだ。
モグラは身近な野生動物でありながら、生活の大半を地中で過ごすため、その姿を直接見る機会は少ない。飼育も難しく、生態には現在も分かっていない部分が多いという。
モグルームでは、生きたモグラの動きに加え、巣や通路の中でどのように行動しているのかを、内視鏡カメラなどを通して観察できる。豊橋市の発表によると、施設の準備は公開のおよそ4年前から進められてきた。
西日本で唯一のモグラ常設展示
のんほいパークによると、日本動物園水族館協会に加盟する国内約140の動物園・水族館のうち、真無盲腸目モグラ科の動物を常設展示している施設は、同園を除けば次の2施設だけだ。
- 多摩動物公園(東京都)
- アクアマリンふくしま(福島県)
のんほいパークを含めても全国で3施設にとどまり、西日本では唯一の常設展示施設となる。これは2026年7月末時点の情報。
動物園で人気を集める大型動物とは異なり、モグラは日常的に姿が見えず、飼育や健康管理も容易ではない。その難しさ自体が、常設展示施設の少なさにつながっているとみられる。
内視鏡カメラで地中の行動を観察
モグルームでは、モグラが暮らす空間に設置した内視鏡カメラを通じて、通常は確認することが難しい行動を観察できる。
さらに、モグラの体の構造を学べる骨格標本のレプリカや、研究のために開発が進められている機器も展示。全国の研究者と協力しながら、生態解明に取り組む様子を紹介している。
来園者が完成した研究成果だけを見るのではなく、「どのような方法で未知の生態を調べているのか」という研究の途中経過に触れられる点が大きな特徴だ。
モグラ研究そのものを展示する施設へ
これまでの動物展示は、飼育されている動物の姿や生態解説を見せる形式が中心だった。
一方、モグルームは、観察機器や標本、研究開発中の設備まで公開することで、動物園が担う調査・研究の役割を来園者に伝える施設となっている。
のんほいパークは動物園だけでなく、植物園、自然史博物館、遊園地が一体となった総合公園だ。モグルームは、その中でも動物展示と科学教育を結び付ける新たな拠点として注目される。
子どもが生きたモグラを見るだけでなく、中学生や高校生が生物研究や観察方法に関心を持つきっかけにもなりそうだ。
モグラは体調によって展示中止の場合も
モグラは非常に繊細な動物のため、体調などによって公開が中止される場合がある。
来園した日に必ずモグラを見られるとは限らない。観覧を目的に訪れる場合は、事前にのんほいパーク公式サイトや公式SNSで最新の展示状況を確認したい。
動物の健康と安全を優先するための措置であり、常設展示であっても展示内容が変更される可能性がある。
モグルームの場所・公開情報
- 施設名:モグルーム
- 公開開始:2026年9月3日午前9時
- 展示動物:コウベモグラ
- 場所:豊橋総合動植物公園・夜行性動物館内出口付近
- 住所:愛知県豊橋市大岩町字大穴1-238
- 開園時間:午前9時~午後4時30分
- 入園締め切り:午後4時
- 休園日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
- 電話:0532-41-2185
- 注意事項:モグラの体調などにより展示を中止する場合あり
【編集部考察】小さな動物を「地域の研究資源」に
モグルームの意義は、「珍しいモグラを見られる」という話題性だけではない。
園内や豊橋市内に生息する身近な動物を研究対象とし、その観察方法や研究過程まで市民に公開した点に価値がある。
動物園にはレジャー施設としての役割だけでなく、野生動物の保全、調査研究、環境教育という役割がある。しかし、研究活動は来園者から見えにくく、十分に知られていないことも多い。
モグルームが継続的に研究成果を発信できれば、のんほいパーク独自の教育展示として定着する可能性がある。今後は飼育記録や体重、行動時間などについて、どのような新しい知見が得られるのかにも注目したい。
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