【糸魚川】いじめ重大事態を市長部局が再調査 スクールバスで帽子取り上げ、ゲーム内でも悪口

新潟県糸魚川市で、市立学校の児童生徒を巡るいじめ重大事態について、市長部局による再調査が始まっている。

対象となっているのは、市が「スクールバス内等でのいじめ事案」として公表している案件。市教育委員会側の調査では一部が重大事態と認定されたが、その後、申立人側から所見書が提出され、市長が2026年4月に再調査を行うと判断した。

スクールバスで帽子を取り上げ、あだ名でからかう

糸魚川市が公表した資料によると、事案は2022年、スクールバス内で児童生徒が帽子を取り上げられたり、あだ名を付けられてからかわれたりしたことなどが発端となっている。

2024年には、遊びのルールを変えられたり、嘘をつかれたりしたほか、あだ名で呼ばれてからかわれる行為や、通信ゲームの中で悪口を言われる行為もあったという。

市は、こうしたいじめによって2024年6月、本人が精神的苦痛を受け、身体的な症状が出たとしている。

保護者が「重大事態」として申し立て

市の資料によると、保護者は2024年7月、いじめ重大事態として市側に申立書を提出した。

その後、2025年2月にいじめ問題専門委員会による調査が行われ、同年4月から2026年1月にかけて、いじめ問題調査委員による調査委員会が調査を実施した。

2026年1月には調査委員会から報告書が提出され、翌2月、市長にもその内容が報告された。

この調査の結果、申立てられていた事案の一部がいじめ重大事態として認定された

申立人が所見書提出 市長が再調査を判断

一方、調査はこれで終わらなかった。

市によると、2026年3月、申立人から調査結果に対する所見書が市長に提出された。

そして翌4月、市長が再調査を行う必要があると判断した。

いじめ防止対策推進法では、学校や教育委員会側の重大事態調査が終了した後でも、自治体の長が必要と認めた場合、調査結果について再調査することができる。

糸魚川市でも、市長が必要と判断した場合に教育委員会とは別の立場から重大事態を再調査できる制度が整備されている。

弁護士、児童精神科医ら4人で再調査

再調査を担うのは「糸魚川市いじめ問題再調査委員会」。

市が公表した委員構成は、弁護士2人、児童精神科医1人、臨床心理士・公認心理師1人の計4人となっている。

第1回会議は9月1日に糸魚川市役所で開催されるとして市から事前に公表されていた。個人情報などを扱うため、会議は冒頭部分のみ公開し、具体的な議事は非公開としている。

9月時点でも市が対応を継続

糸魚川市は9月11日に開かれた市議会総務文教常任委員会でも、市内学校で発生したいじめ事案について資料を提出している。

資料では今回のスクールバス内等での事案について、保護者からの重大事態申立て、調査委員会による調査、市長への報告、申立人からの所見書提出、市長による再調査判断までの経緯が整理されている。

糸魚川市では今回の案件以外にも、タブレット端末を巡る事案や、2022年度、2014年度から続くとされる事案など、複数のいじめ重大事態に関する調査や対応が続いている。

焦点は「最初の調査が十分だったのか」

今回の再調査で大きな焦点となるのは、最初の重大事態調査で事実関係が十分に明らかにされたのかという点だ。

なぜ申立人側は調査結果について所見書を提出したのか。

学校や教育委員会は児童生徒からの訴えをいつ把握し、どのように対応したのか。

また、一部のみが重大事態と認定された判断が妥当だったのかも、再調査で確認されるポイントになるとみられる。

いじめ重大事態の調査は、単に「いじめがあったか」を認定するためだけのものではない。同じ被害を繰り返さないため、学校側の初動や情報共有、被害を受けた児童生徒への支援が適切だったのかまで検証することが求められる。

市長部局による再調査が、当初の調査結果をどこまで追認し、あるいは新たな事実や課題を指摘するのか。

週刊TAKAPIでは今後も、再調査委員会の動きと市側の対応を追っていく。

糸魚川市いじめ重大事態|よくある質問

Q糸魚川市で再調査されている「いじめ重大事態」とは?
A糸魚川市立学校の児童生徒を巡る「スクールバス内等でのいじめ事案」です。
スクールバス内で帽子を取り上げられたり、あだ名でからかわれたりしたほか、通信ゲーム内で悪口を言われるなどの行為があり、市の調査では申立ての一部が「いじめ重大事態」と認定されました。
Q糸魚川市はなぜ、いじめ重大事態を再調査するのですか?
A当初の調査結果が示された後、申立人から所見書が提出され、市長が再調査の必要があると判断したためです。

2026年1月に調査委員会から報告書が提出され、2月に市長へ報告されました。その後、3月に申立人から調査結果に対する所見書が提出され、市長は4月に再調査を行うと判断しました。

Qどのようないじめがあったのですか?
A市の公表資料では、帽子の取り上げ、あだ名によるからかい、通信ゲーム内での悪口などがあったとされています。

2022年にはスクールバス内での行為があり、2024年にもからかいや通信ゲーム内での悪口などがあったとされています。市によると、本人は精神的苦痛を受け、身体的な症状も出ました。

Q糸魚川市の事案は「いじめ重大事態」と認定されていますか?
Aはい。調査の結果、申立てられた事案の一部が「いじめ重大事態」と認定されています。

ただし、すべての申立内容が重大事態として認定されたという意味ではありません。この点は記事を書く際にも区別する必要があります。

Q再調査は誰が行うのですか?
A市長部局に設置された「糸魚川市いじめ問題再調査委員会」が再調査を行います。

市の公表資料では、委員会は弁護士2人、児童精神科医1人、臨床心理士・公認心理師1人の計4人で構成されています。教育委員会側で行われた当初の重大事態調査とは別の立場から検証することになります。

Qいじめ重大事態の「再調査」とは何ですか?
A学校や教育委員会側による重大事態調査の結果について、自治体の長が必要と認めた場合に改めて検証する仕組みです。

いじめ防止対策推進法では、重大事態の調査結果について地方公共団体の長が必要と認める場合、再調査を行うことができます。

Q再調査では何が焦点になりますか?
A当初の事実認定や調査が十分だったのか、学校・教育委員会の対応に問題がなかったのかなどが重要なポイントになります。

さらに、被害を受けた児童生徒への支援、学校側の初動、関係者からの聞き取り、再発防止策などについて、どこまで検証されるかも注目されます。

Q糸魚川市では他にもいじめ重大事態が調査されていますか?
Aはい。市の公表資料では、今回とは別の複数のいじめ事案について調査や対応が進められています。

タブレット端末を巡る事案や、過年度から続くとされる事案などが市議会資料などで報告されています。

30秒でわかる今回のポイント

糸魚川市では、市立学校の児童生徒を巡るいじめについて、当初の調査で申立ての一部が「いじめ重大事態」と認定されました。その後、申立人が調査結果に対する所見書を提出し、市長が2026年4月に再調査を判断。市長部局の再調査委員会が、当初の調査結果などを改めて検証しています。

編集部まとめ

今回の最大のポイントは、「いじめ重大事態と認定されたこと」だけではなく、その調査結果について市長が再調査を必要と判断したことです。

重大事態調査では、いじめの有無だけでなく、学校がいつ被害を把握し、どのような対応を取ったのか、被害を受けた児童生徒への支援が十分だったのかを検証することが重要です。

今回の事案には、スクールバス内だけでなく通信ゲーム内での行為も含まれています。子どもを取り巻くいじめを考える上では、教室だけではなく、通学中やオンライン空間まで含めて被害の実態を見る必要があります。

再調査によって当初の調査結果がどのように評価されるのか、新たな事実や課題が明らかになるのか。そして糸魚川市がその結果を再発防止にどうつなげるのかが今後の焦点です。

週刊TAKAPI編集部は、調査を実施したかだけではなく、「子どもの訴えに学校や行政がどう向き合ったのか」という視点から、今後の再調査の経過を引き続き検証します。

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