プルデンシャル生命保険は9月14日、2026年3月に退職した元営業社員が、業務で得た顧客情報を退職後も保持していたことが新たに判明したと発表した。
対象は計1570人分。氏名や住所、勤務先企業などが記載された書類に加え、元社員の私物スマートフォンの電話帳にも顧客の連絡先が残されていた。
発覚のきっかけは、元社員が持ち出した書類の紛失だった。書類を拾った人がプルデンシャル生命へ連絡したことで、顧客情報の持ち出しが判明した。
会社は現時点で、営業活動などへの不正利用は確認していないと説明。持ち出された書類の回収と、私物スマートフォンに残されていた顧客連絡先の削除は完了したとしている。
退職後も書類と私物スマホに顧客情報
元社員は神奈川県内の支社に勤務し、2026年3月に退職した。
今回明らかになったのは、業務上の書類を退職後も保持していたことに加え、私物スマートフォンにも顧客情報が残っていたことだ。
一方、今回公表された内容だけでは、退職時に会社が書類の返却や私物端末に残る顧客情報について、具体的にどのような確認を行っていたのかまでは明らかになっていない。
元社員が退職後も情報を保持していたことは確認されたが、それを防ぐための社内手続きがどの段階で機能しなかったのかについては、今後の説明が焦点となる。
2024年にも979人分 別の元社員による持ち出し
プルデンシャル生命では2024年にも、別の元社員が顧客979人分の情報を退職後も保管していた問題を公表している。
当時は、元社員が顧客管理リストを自宅で保管し、転職先で一部を営業活動に使用していたことも判明した。
今回の1570人分の事案とは別件であり、今回について会社は営業活動などへの不正利用を確認していない。
ただし、いずれも「営業社員が退職後も顧客情報を保持していた」という点では共通する。
過去に同種の問題が公表されていた中で、新たな情報持ち出しが判明したことになる。
プルデンシャル生命は現在も新規販売を自粛
今回の問題が明らかになった現在、プルデンシャル生命は一連の金銭不祥事を受け、新規契約の販売活動を自粛している。
同社は2月9日から当初90日間の予定で新規販売を自粛。その後、経営、本社機構、支社管理、営業制度、企業文化まで含む構造改革に時間が必要として、自粛期間を180日間延長した。
改革では、営業社員の日常的な行動管理や支社の監督機能、報酬制度、経営管理態勢などの見直しが進められている。
7月には営業戦略を担う機能と営業活動を監督する機能を分離するなど、営業現場への牽制を強める組織再編にも着手した。
POJは補償とグループ管理を進める
親会社のプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン(POJ)も、グループ全体の信頼回復とガバナンス強化を進めている。
金銭不祥事を巡っては、第三者で構成し、グループから独立した立場で補償の要否や金額を審査する「お客さま補償委員会」を設置している。
7月8日時点では、1月に公表された498人・30億8000万円の事案について、437人・28億5000万円分で審査終了または補償完了まで進んでいる。
その後に寄せられた別の申し出についても審査が進められており、POJは補償対応と並行してグループ各社の経営管理を強化している。
また、POJは保険子会社を直接管理する体制への再編も進め、持株会社としての管理・監督責任を明確にする方向へ動いている。
販売自粛の影響、新契約は大幅減
新規販売の自粛は業績にも表れている。
プルデンシャル生命の2026年度第1四半期では、新契約高が690億円となり、前年同期比92.8%減。新契約件数も7378件で90.7%減となった。
保有契約高も前年度末から減少しており、会社は販売自粛に加え、解約の増加も影響したとしている。
つまり現在のプルデンシャル生命は、新規販売を大幅に抑えながら、補償と経営・営業体制の立て直しを進めている段階にある。
改革が進む中で新たな情報管理問題
今回の顧客情報持ち出しは、一連の金銭不祥事とは別の問題だ。
しかし、プルデンシャル生命とPOJが現在進めている改革の柱には、営業現場の管理、牽制機能の強化、経営責任の明確化が含まれている。
その最中に、退職した元営業社員が1570人分の顧客情報を保持し続けていたことが新たに明らかになった。
今後の焦点は、元社員がどのように書類や顧客連絡先を退職後まで保持できたのか、退職時にどのような確認が行われていたのか、そして過去の情報持ち出しを受けて講じた管理策が今回どこまで機能していたのかにある。
編集部まとめ
プルデンシャル生命で、元営業社員による顧客1570人分の情報持ち出しが新たに発覚した。元社員は3月の退職後も書類と私物スマートフォンに顧客情報を残しており、書類の紛失をきっかけに問題が判明した。
同社では2024年にも、別の元社員による979人分の顧客情報持ち出しが公表されている。
現在は一連の金銭不祥事を受けて新規販売を自粛し、POJを含めたグループで補償とガバナンス改革を進めている。その中で新たな情報管理問題が表面化した形だ。
今回の事案を受け、退職時の顧客情報管理や過去の再発防止策について、会社が今後どこまで具体的に説明するかが注目される。
週刊TAKAPI 編集部/成田
特記事項
今回の1570人分の顧客情報持ち出し、2024年に公表された979人分の情報持ち出し、一連の金銭不祥事はそれぞれ別の事案です。
今回についてプルデンシャル生命は、営業活動などへの不正利用を現時点で確認していないとしています。第三者による情報の閲覧・利用状況や元社員の法的責任については確定していません。
新規販売の自粛、補償、組織再編などは今回の情報持ち出しを理由に始まったものではなく、主として一連の金銭不祥事を受けて進められている対応です。
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