沖縄県知事選で古謝玄太氏に敗れた玉城デニー氏は13日夜、那覇市内で支持者らを前に敗戦の弁を述べた。
玉城氏は選挙結果について「都合のいいことだけが民意ではない」と受け止める一方、選挙戦でのSNS上の言説を「知事選はうっぷんの掃きだめにされてしまった」と強く批判。さらに「オール沖縄」をめぐる報道のあり方についてもメディア側に疑問を呈した。
会場入り直後に「ゼロ打ち」 重い空気に
玉城氏の陣営は13日夜、開票結果を見守るため那覇市の教育福祉会館に集まった。
玉城氏が会場入りした直後の午後8時ごろ、テレビ局が投票終了とほぼ同時に古謝氏の当選確実を報道。いわゆる「ゼロ打ち」となり、会場は重苦しい雰囲気に包まれた。
マイクを握った玉城氏は支持者に対し、
「都合のいいことだけが民意ではない。そうではないことも民意として現れるのが、この瞬間だ。皆さんにはお礼の言いようもない」
と述べ、選挙結果を受け止めながら支援への感謝を伝えた。
「オール沖縄を出せば出すほど叩きやすい」
敗戦後の会見では、長年にわたり玉城県政を支えてきた「オール沖縄」の今後について質問が飛んだ。
玉城氏は、
「『オール沖縄』を出せば出すほど叩きやすい」
と指摘。その影響を県民が受ける可能性があるとの認識を示したうえで、メディアの報道についても「そういうことにメディアが加担していないか、一回整理なさるべきでは」と疑問を呈した。
さらに、「『オール沖縄』を選挙の対抗軸みたいに上げていくことだけが本当の運動ではない」とも述べた。
今回の敗北を受け、これまで沖縄県政を二分してきた「オール沖縄対自公・保守系」という政治的な構図を今後どう捉えるのかも焦点になりそうだ。
「知事選はうっぷんの掃きだめにされた」
玉城氏が特に厳しい言葉を向けたのが、選挙期間中のSNSだ。
自身への「誹謗中傷」を訴えてきた玉城氏は、SNS上で繰り広げられた言説について、
「日本の文化そのものを破壊する工作に過ぎないと思っている」
と批判。
「潰しあいの潰しあいは犯罪になり戦争になる」としたうえで、SNSから「戦意高揚」が広がることへの懸念を示し、「言葉は悪いが、知事選はうっぷんの掃きだめにされてしまった」と振り返った。
メディアにも「バリアを張れたかも」
批判はSNSだけではなく、既存メディアにも向かった。
玉城氏は「罵詈雑言が全国から沖縄に飛んでくるものも、メディアがバリアを張れたかも知れない」と発言。
メディアがその力を行使しなかったことについて、「相手に対して有利な状況を放置し続けている」との見方を示した。
ただ、SNS上の誹謗中傷への対応と、選挙報道における公平性や表現の自由をどのように両立させるのかは別の論点でもある。玉城氏の発言をめぐっては、メディアに具体的にどのような対応を求めていたのかも含め、今後議論を呼ぶ可能性がある。
辺野古めぐり「辺野古は造れませんよ」
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を容認する古謝氏について問われると、玉城氏が語気を強める場面もあった。
玉城氏は、
「辺野古は造れませんよ」
と主張。
さらに「辺野古を造って那覇空港を(米軍に)差し出すんですか。彼(古謝氏)はそれに答えていない」と述べ、選挙には敗れたものの、辺野古移設をめぐる自身の立場を改めて示した。
「私が勝っていたら、必ずまた成果を出していた」
そして玉城氏は、自身の県政についても言及した。
「私が勝っていたら、沖縄の経済も、福祉も、医療も、教育も、先端的技術の開発も、島々の誇りある豊かな暮らしも、必ずまた成果を出していたということは、はっきり言いたい」と述べ、敗戦への悔しさをにじませた。
一方で、今回の選挙で有権者が選んだのは古謝氏だった。
玉城氏自身も「都合のいいことだけが民意ではない」と語ったように、選挙結果を生んだ背景については、SNS上の言説や報道だけでなく、県政への評価、経済・暮らしをめぐる争点、基地問題、候補者それぞれへの期待などを含めて検証する必要がある。
「オール沖縄」は転換点を迎えるのか
今回の敗北は、一人の知事候補の勝敗だけでは終わらない。
玉城氏自身が「オール沖縄」を従来の選挙の対抗軸として扱うことに疑問を投げかけたことは、今後の沖縄政治を考えるうえでも注目される。
基地問題を中心として形成されてきた政治的枠組みを維持するのか。それとも経済、子育て、教育、医療、観光、離島振興などを含めた新たな政治勢力の形を模索するのか。
古謝氏の当選によって沖縄県政は新たな局面に入る。
選挙戦で交わされた激しい言葉から離れ、新県政が県民から託された一票をどのような政策として形にしていくのか。そして敗れた側が今回示された民意をどう総括するのか。次に問われるのは、そこだ。
編集部まとめ
今回の沖縄県知事選で玉城デニー氏は敗れ、古謝玄太氏が当選した。
敗戦後の玉城氏の発言で際立ったのは、単なる選挙結果への総括にとどまらず、SNS上の誹謗中傷や「オール沖縄」をめぐる報道のあり方にまで踏み込んだことだ。
玉城氏は「都合のいいことだけが民意ではない」と選挙結果を受け止める一方、「知事選はうっぷんの掃きだめにされてしまった」とSNS上の言説を強く批判。さらに、全国から沖縄に向けられたという「罵詈雑言」をめぐり、「メディアがバリアを張れたかも知れない」と報道機関にも注文を付けた。
一方、選挙で示された結果そのものも民意である。
「オール沖縄」の今後、辺野古移設への県民の判断、県政運営への評価など、今回の結果を生んだ要因をSNSやメディアだけに求めることはできない。
特に玉城氏自身が「『オール沖縄』を選挙の対抗軸みたいに上げていくことだけが本当の運動ではない」と語った点は重要だ。長年続いてきた沖縄県政の政治的な対立軸そのものが、転換点を迎えた可能性がある。
「私が勝っていたら、沖縄の経済も、福祉も、医療も、教育も、先端的技術の開発も、島々の誇りある豊かな暮らしも、必ずまた成果を出していた」
敗れた玉城氏が残したこの言葉をどう評価するか。そして古謝県政が有権者から託された期待にどう応えるのか。
選挙は終わったが、沖縄が抱える基地問題、経済、福祉、医療、教育などの課題は続く。今後は選挙戦の言葉ではなく、新県政が実際に何を実現するのかが問われることになる。
沖縄県知事選、玉城デニー氏の敗戦後発言をQ&Aで整理
担当 週刊TAKAPI編集部
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