豊川市が発注した「市営弥生住宅外壁改修及びポンプ室増築等工事実施設計業務委託」で7月15日に発生した負傷事故について、事故の具体的な状況や負傷程度が週刊TAKAPIの追加取材で明らかになった。
市によると、事故は市営弥生住宅の敷地内で発生。外壁調査を始める前に2人1組で高所作業車の動作確認をしていたところ、作業台への乗り込みを待っていた作業員が右手を格納用の支柱に置いており、下降してきたブームに小指を挟まれた。
負傷したのは受託者側の再委託先の関係者。右小指末節骨開放骨折で、全治約1カ月と診断され、入院もしていた。市の回答では年代、性別については示されなかった。
豊川市が当初公表していた指名停止情報では「業務関係者1名が負傷する事故」とされており、今回の取材で事故態様とけがの具体的な程度が判明した。
外壁調査前、高所作業車の調整中に事故
市の回答によると、事故当時に行われていたのは「外壁調査前の高所作業車の調整」だった。
実施設計業務の中で外壁を調査するため高所作業車を使用する準備段階にあり、2人1組で動作確認を実施していた。
その際、作業台に乗り込むのを待っていた作業員が右手を格納用支柱に置いた状態でブームが下降し、小指が挟まれた。
市は事故原因について「安全確認の不徹底」と認識していると回答。指名停止についても、この安全確認上の問題を踏まえて判断したとしている。契約検査課では、市の担当課から提出された報告書によって事故内容を確認したという。
週刊TAKAPIは、市による関係者への直接の聞き取りや現場確認の有無についても質問したが、今回の回答では、契約検査課が担当課の報告書で確認したことまでが示され、聞き取りや現場確認の実施有無については明示されなかった。
事故当日に市へ報告 警察と労基署にも
事故は発生した7月15日当日に、契約業者から豊川市へ報告されていた。
事故発生時、市職員は現場に立ち会っていなかった。
市が把握している範囲では、警察と労働基準監督署にも事故が報告されている。
一方、警察や労働基準監督署への報告後、どのような手続や判断が行われたのかについては、今回の市回答では示されていない。
指名停止は8月20日から2週間 基準上の下限
豊川市は事故を受け、受託者の渡辺建築設計事務所について、8月20日から9月2日までの2週間、指名停止とした。
市の公表では、「安全管理措置の不適切により生じた建設工事請負等関係者事故」として、指名停止措置要綱の別表第1中7号を適用している。
同基準では、市発注業務の履行にあたり安全管理措置が不適切で、関係者に負傷者を生じさせた場合、指名停止期間は「2週間以上2カ月以内」とされている。今回適用された2週間は基準上の下限に当たる。
週刊TAKAPIは追加取材で、開放骨折・入院という負傷程度、安全管理上の問題、受託者側の事故後の対応、再発防止策、過去の事故・処分歴などのうち、何を考慮して2週間と判断したのか確認した。
これに対して市は、指名停止期間について「担当課による事故報告書及び診断書などの内容をもとに判断」したと回答。また、指名停止措置要綱に基づき、市の入札審査委員会に諮った上で措置を講じたとしている。
ただし今回の回答では、開放骨折や入院、安全管理上の問題の程度などをそれぞれどのように評価し、2週間から2カ月までの幅がある中で下限の2週間を選択したのかという個別の判断理由までは示されなかった。
市「安全確認の不徹底」 作業工程と安全管理の見直しを指導
事故後、豊川市は受託者側に対し、作業工程と安全管理について再確認、見直し、改善を求めた。
作業を再開する際には、作業員への安全教育や朝礼などを通じて安全管理を徹底するよう指導したほか、今後同様の事故が起きないよう安全管理の徹底を求めている。
事故当日の作業については停止したものの、その後、業務の履行期間や納期に変更は生じていない。
市は今回の実施設計業務のスケジュールにも影響は出ていないとしており、指名停止措置についても、すでに契約済みの当該業務の履行には影響しないと回答した。
「業務関係者1人負傷」から見えた事故の具体像
今回の追加取材によって、当初の公表情報だけでは分からなかった事故の実態が具体化した。
外壁調査前の高所作業車の動作確認中、再委託先の関係者が下降するブームに右小指を挟まれ、末節骨を開放骨折。全治約1カ月と診断され、入院していた。
市は原因を「安全確認の不徹底」と認定し、事故後には作業工程や安全管理の見直し、安全教育の徹底を指導した。
一方で、指名停止期間については事故報告書や診断書を基に審査したことは明らかになったものの、なぜ基準上の下限となる2週間としたのかという個別の評価については、今回の回答でも具体的には示されなかった。
編集部まとめ
今回の取材で、市営弥生住宅の実施設計業務中に発生した事故が、高所作業車の動作確認中に起きたものであり、再委託先の関係者が右小指末節骨を開放骨折し、入院していたことが判明した。
豊川市は事故原因を安全確認の不徹底と認識し、作業工程や安全管理の見直しを指導している。
事故の具体像と市の対応は明らかになった一方、2週間から2カ月までの幅がある指名停止基準の中で、なぜ下限の2週間を選択したのかという個別の判断過程については、なお説明が残る形となった。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
この記事は、豊川市が公表した指名停止措置情報と、週刊TAKAPIが豊川市に行った追加取材に対する市の文書回答を基に作成しています。
負傷者について市は「再委託先」と回答していますが、年代、性別などの個人属性は今回の回答では示されていません。
市は事故原因を「安全確認の不徹底」としています。警察及び労働基準監督署への報告が行われたことは確認できていますが、それ自体が刑事責任や法令違反の認定を意味するものではありません。その後の手続や判断については今回の回答では確認できていません。
また、市の契約検査課は担当課の報告書により事故内容を確認したと回答していますが、市による関係者への直接の聞き取りや現場確認の実施有無については今回の回答では明示されていません。
A1. 外壁調査前に高所作業車の動作確認をしていた際、作業台への乗り込みを待っていた関係者の右小指が、下降するブームに挟まれました。
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