島根県西ノ島町の防波堤で今年3月、潜水作業中の労働者が溺死した事故を巡り、松江労働基準監督署は9月17日、松江市の港湾海岸工事業「有限会社島根潜海」と、現場の安全管理を担当していた46歳の男性責任者を、労働安全衛生法違反の疑いで松江地方検察庁に書類送検した。
労基署が問題としているのは、潜水作業者に法令で定められた「鋭利な刃物」を携行させていなかった疑いだ。
送気ホースが巻き込まれ、空気が止まった
事故が発生したのは3月13日。島根県隠岐郡西ノ島町の浦郷港沖にある防波堤で、労働者がコンクリートアンカーの設置作業を行っていた。
松江労基署によると、作業員が潜水していた際、空気を送るための送気ホースがアンカーの「シーブ」に巻き込まれた。これによって空気が送られなくなり、作業員は溺死した。
事故から約半年後となる9月17日、労基署は会社と現場責任者を書類送検した。
潜水作業では「鋭利な刃物」の携行が義務
今回の書類送検で焦点となったのが、潜水作業者の装備だった。
高気圧作業安全衛生規則第37条では、空気圧縮機などから送気を受けて潜水業務を行う場合、事業者は潜水作業者に信号索、水中時計、水深計、そして「鋭利な刃物」を携行させなければならないと定めている。
通話装置を使用できる場合には信号索、水中時計、水深計を携行させないことができる例外規定がある一方、「鋭利な刃物」についてはこの例外の対象になっていない。
松江労基署は、現場の安全管理を担当していた46歳の責任者が、作業員に鋭利な刃物を携行させる措置を講じていなかった疑いがあるとしている。
「刃物があれば助かった」とまでは発表されていない
今回の発表を読む上で注意が必要なのは、死亡事故と刃物を携行していなかったことの因果関係だ。
労基署の発表では、送気ホースがシーブに巻き込まれて空気が送られなくなり、作業員が溺死したことが明らかにされている。一方で、「刃物を携行していれば死亡を防ぐことができた」との判断までは示されていない。
書類送検された容疑は、あくまで法令で義務付けられている安全措置を講じなかった疑いであり、死亡との因果関係について週刊TAKAPIが独自に断定することはできない。
また、書類送検は有罪が確定したことを意味するものではない。今後、検察が捜査内容などを踏まえて刑事処分を判断することになる。
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担当記者:成田

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