秋田県央部の中学校に勤務する20代の男性臨時講師が、女子生徒1人に対し、抱きしめたり頬を触ったりするなどの不適切な接触を約2か月にわたって繰り返していたことが分かった。
秋田県教育委員会は男性講師を、9月末の任期満了まで停職処分とした。
行為は一度ではなく、4月下旬から約2か月間にわたって続いていた。では、県教委は今回の行為をどのように認定し、どの基準を適用したのか。
週刊TAKAPIは、秋田県教育委員会が公表している「懲戒処分の基準」と今回の事案を照らし合わせた。
4月下旬から約2か月 複数回抱きしめ、頬を触る
週刊TAKAPIの調べによると、県央部の中学校に勤務する20代の男性臨時講師は、2026年4月下旬から約2か月間、女子生徒1人に対し、複数回抱きしめたり、頬を触ったりするなどの不適切な接触を続けていた。
事案が発覚したのは8月下旬だった。
県教育委員会によると、女子生徒の保護者から学校側に連絡があり、問題が明らかになった。
男性講師は県教委の聞き取りに対し、
「生徒の気持ちを落ち着かせるためにやった」
と説明しているという。
県教委は男性講師を、9月末の任期満了まで停職処分とした。
9月25日の教育委員会で懲戒処分3件を審議
秋田県教育委員会は9月25日に開いた第17回教育委員会会議で、教職員の懲戒処分3件を議案として扱っている。
公開された会議資料には、
議案第54号「教職員の懲戒処分について」
議案第55号「教職員の懲戒処分について」
議案第56号「教職員の懲戒処分について」
が掲載されている。
第54号と55号は義務教育課、第56号は特別支援教育課が所管する案件だった。
今回の男性臨時講師の事案は、義務教育課が所管する処分案件の一つに当たる。
秋田県教委の処分基準は
秋田県教育委員会は、教職員の非違行為について「懲戒処分の基準」を定めている。
2025年4月11日改正の基準では、処分の量定を決める際、
非違行為の動機、態様、結果の程度、故意または過失の程度、児童生徒や保護者への影響、職員の職責、日頃の勤務態度、非違行為後の対応、過去の非違行為歴などを総合的に考慮するとしている。
懲戒処分は「免職」「停職」「減給」「戒告」の4種類。
このうち停職は、1年以下の間、職務に従事させない処分とされている。
「児童生徒性暴力等」と「セクハラ」で処分に大きな差
今回の事案を検証するうえで重要なのが、県教委が男性講師の行為をどの項目に該当すると判断したのかという点だ。
県教委の基準では、児童生徒に対して「児童生徒性暴力等」を行った場合は免職と規定している。
一方、それに該当しないセクシュアルハラスメントについては、
停職、減給または戒告
としている。
また、「わいせつ行為」の定義には「わいせつ目的をもって体に触ること等」も含まれている。
ただし、抱きしめたり頬を触ったりしたという行為だけをもって、直ちに児童生徒性暴力等に該当すると断定することはできない。
行為の目的や状況、継続性、女子生徒への影響などを踏まえ、県教委がどのような事実認定を行ったのかが重要になる。
「任期満了まで停職」 処分の実効性も論点に
今回、男性講師は9月末で任期満了となる。
そのため、県教委が停職処分を科したとしても、実際に職務から外れる期間は任期が残っている期間に限られる。
地元報道では、今回の行為について「本来は停職1年相当」と県教委が説明したとする報道もある。
仮に県教委が行為そのものを長期間の停職に相当すると判断していたのであれば、任期満了を目前にした臨時講師に対し、懲戒処分がどこまで実効性を持つのかという問題も浮かぶ。
重要なのは、「停職期間が短い」という結果だけではない。
県教委がどのような基準で今回の行為を評価し、なぜその量定を選択したのかという判断過程だ。
保護者からの連絡まで学校は把握できなかったのか
もう一つの焦点は、発覚までの経緯だ。
不適切な接触は4月下旬から約2か月続いていたとされるが、問題が表面化したのは8月下旬。女子生徒の保護者からの連絡がきっかけだった。
学校側はそれまで行為を把握していなかったのか。
女子生徒から相談はなかったのか。
周囲の教職員が接触を目撃したことはなかったのか。
また、学校や県教委が事案を把握した後、女子生徒に対してどのようなケアや再発防止策を講じたのかも確認する必要がある。
同じ日に交通事故、特別支援学校での体罰でも処分
県教委は同日、別の臨時講師2人についても懲戒処分を行った。
由利本荘市立中学校の20代女性臨時講師は、一時停止標識を見落として車と衝突し、相手女性にけがを負わせたとして戒告処分。
県央部の県立特別支援学校に勤務する男性臨時講師は、生徒の鼻を強くつまんで内出血させ、別の機会には頬を平手打ちしたとして戒告処分となった。
県教委の基準では、人身交通事故は「停職、減給又は戒告」、体罰によって児童生徒に傷害を負わせた場合についても「停職、減給又は戒告」としている。
いずれも形式上は基準の範囲内だが、複数ある処分の中からなぜその量定が選択されたのかという具体的な判断理由までは、公開された基準だけでは分からない。
「停職の日数」だけでは見えない問題
今回の事案を「女子生徒に触れて停職」とだけ捉えると、問題の全体像は見えてこない。
約2か月にわたって行為が繰り返されたこと。
保護者からの連絡で発覚したこと。
男性講師が「生徒の気持ちを落ち着かせるため」と説明していること。
そして、処分時には任期満了が目前に迫っていたこと。
県教委がこれらをどのように評価し、どの懲戒基準を適用したのか。
さらに、任期付きの教職員に重大な非違行為が認定された場合、現在の制度で処分の実効性をどのように確保するのか。
今回の事案は、「停職」という処分そのものだけでなく、教職員の懲戒制度の運用についても検証すべき論点を残している。
週刊TAKAPIでは、県教委の公表資料や説明を引き続き確認する。
(担当記者:編集部)
このニュースのポイント
情報提供・相談窓口
学校や教育行政、教職員の不祥事などに関する情報提供・取材相談を受け付けています。
メール:info@108takapi.jp
各SNSのDM、公式LINEからも情報をお寄せください。

コメント
0件まだコメントはありません。最初のコメントを投稿してみませんか。
この記事のコメント投稿は締め切られています。