静岡県袋井市の市立袋井北小学校で、卒業生6631人分の個人情報が記載された「卒業証書授与台帳」が所在不明になっていることが分かった。
対象は、台帳の作成開始から1988年度までの卒業生。台帳には卒業証書番号のほか、氏名、生年月日、保護者名、住所などが記載されていた。
紛失が判明したのは2025年9月。学校側は校内を捜索し、歴代の関係職員への聞き取りも行ったが、台帳は見つからなかった。
袋井市教育委員会は、保存年限を過ぎた別の書類を廃棄した際、誤って台帳も一緒に処分した可能性が高いとしている。
一方、判明から事案が広く明らかになるまでには約1年が経過している。6631人という規模だけでなく、発覚後にどのような報告・確認が行われ、なぜこの時期に事案が明らかになったのかも重要な検証点となる。
卒業証明書の発行依頼で紛失が判明
台帳がないことに気付いたきっかけは、卒業生からの卒業証明書の発行依頼だった。
2025年9月、職員が証明書の発行に必要な記録を確認するため金庫を調べたところ、保管されているはずの卒業証書授与台帳が見当たらなかった。
その後、学校側は校内を捜索。過去に文書管理などに関わった歴代職員にも聞き取りを行ったが、台帳の所在は確認できなかった。
現時点でも台帳そのものは発見されていない。
6631人分 氏名だけでなく住所や保護者名も
紛失した台帳に記載されていたのは6631人分の卒業記録。
含まれていた情報は、
氏名、生年月日、保護者名、住所、卒業証書番号などだった。
長期間保存されてきた学校の公文書であり、卒業生本人だけでなく、保護者に関する情報も含まれていたことになる。
市教委は現時点で、個人情報の外部流出や不正利用などの二次被害は確認されていないとしている。
ただ、台帳が発見されていない以上、どの時点で、どのような経緯で学校の管理下からなくなったのかを確定することが重要となる。
市教委「別書類と一緒に誤廃棄した可能性高い」
市教委は、保存年限を過ぎた別の書類を処分した際に、卒業証書授与台帳も誤って一緒に廃棄した可能性が高いと説明している。
一方、現時点で明らかになっていない点も多い。
具体的にいつの廃棄作業で失われた可能性があるのか、廃棄作業に何人が関わったのか、廃棄対象を確認する記録や決裁が残されているのかなど、文書管理上の詳細は公表情報だけでは確認できていない。
誤廃棄だったとしても、重要な公文書が確認をすり抜けて処分されたのであれば、個人の作業ミスだけでなく、廃棄手続きそのものが適切に機能していたかが問われる。
最大の焦点は「判明から約1年」
今回の事案で特に確認が必要なのが、時間の経過だ。
学校側が台帳の紛失を把握したのは2025年9月。
そこから校内捜索や歴代関係職員への聞き取りが行われたものの、事案が広く明らかになったのは約1年後となった。
この間、学校から市教委への報告はいつ行われたのか。
市の個人情報保護を所管する部署にはいつ共有されたのか。
対象となる卒業生への通知や説明は行われたのか。
そして、一般に事案を説明する判断がどのような経緯で行われたのか。
現時点の公表情報だけでは、その詳細は確認できていない。
6631人 個人情報保護上の報告対応も確認必要
地方公共団体などの行政機関等が保有する個人情報については、本人100人を超える漏えい等が発生した、または発生したおそれがある場合、個人情報保護委員会への報告が必要となるケースがある。
紛失や誤廃棄も「漏えい等」に含まれ得る。
今回の対象は6631人で、人数だけを見れば100人を大幅に上回る。
ただし、今回の事案について市教委が法令上どのように判断し、個人情報保護委員会への報告を行ったのか、また報告した場合はいつだったのかについては、現時点の公表情報から確認できていない。
ここは「報告していない」と断定するのではなく、実際の報告日と対応内容を確認する必要がある。
卒業証明書は別資料から対応へ
市教委は、残っている学籍資料などを基に卒業生名簿を再作成し、今後の卒業証明書発行に支障が出ないよう対応するとしている。
今回の紛失が、卒業生が必要とする証明書の発行そのものに影響し続けないよう、別の記録から復元する形だ。
また、市内の他の市立小中学校については、卒業証書授与台帳が保管されているとされている。
市内全小中学校で文書管理研修へ
市教委は再発防止策として、市内全ての小中学校を対象に、文書の保存年限や廃棄方法について研修を行う方針を示している。
今回の事案が袋井北小学校だけの問題なのか、それとも市内の学校に共通する文書管理上の弱点がないのかを確認する意味でも、他校を含めた管理状況の検証が重要になる。
現時点で、学校長や当時の担当職員らに対する懲戒、戒告、訓告などの措置が行われたとの情報は確認されていない。
また、台帳がいつ失われたのか自体が確定していないため、特定の職員に責任があると断定できる段階でもない。
問われるのは「誰が捨てたか」だけではない
6631人分という規模は大きい。
しかし、今回の問題を人数だけで捉えると、文書管理上の本質を見落とす。
確認すべきなのは、重要文書を廃棄する際にどのようなチェックが行われていたのか、複数人による確認や管理者の決裁が必要だったのか、廃棄記録は残されているのかという点だ。
そして、2025年9月に紛失が判明してから、その後の約1年間に学校と市教委がどのような対応を行っていたのか。
単なる「台帳紛失」ではなく、公文書管理と個人情報保護の両面から検証する必要がある。
編集部まとめ
袋井市立袋井北小学校で、卒業生6631人分の卒業証書授与台帳が所在不明になった。
台帳には氏名、生年月日、保護者名、住所、卒業証書番号などが記載されていた。
紛失が判明したのは2025年9月。学校側は校内捜索や歴代関係職員への聞き取りを行ったが発見できず、市教委は別書類の廃棄時に誤って処分した可能性が高いとしている。
現時点で個人情報の外部流出や不正利用は確認されていない。
一方、具体的な廃棄時期や手続き、責任の所在、市教委内部での報告経路、個人情報保護委員会への報告状況など、なお確認すべき点は残る。
そして今回の重要な論点は、2025年9月に判明した事案が、なぜ約1年後の今、広く明らかになったのかという点だ。
週刊TAKAPIでは、廃棄記録や内部報告の経緯、個人情報保護上の対応、職員への措置の有無などについて、今後も確認・検証を続ける。
週刊TAKAPI 編集部/黒木
特記事項
この記事は2026年10月5日時点で確認できた袋井市教育委員会の説明と、個人情報保護制度に関する公的情報を基に構成しています。
2026年10月5日11時51分という時刻は、事案に関する情報が配信された時刻として確認されているものであり、袋井市が同時刻に公式発表したことを意味するものではありません。
また、市教委による個人情報保護委員会への報告の有無や時期、対象卒業生への通知状況、職員への処分・指導の有無については、現時点で確認できていません。

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