【愛知•豊橋】「黒から」はなぜ豊橋に1号店を出し閉店した?「赤から」姉妹ブランドが消えた理由を考察

黒から豊橋駅前店が豊橋に全国1号店を出店し閉店した理由を考察する週刊TAKAPI記事のアイキャッチ

「赤から」の姉妹ブランドとして誕生した「黒から」。

全国1号店が出店した場所は東京や大阪、名古屋ではなかった。

選ばれたのは、愛知県豊橋市だった。

株式会社甲羅は2019年11月1日、豊橋市駅前大通2丁目に新業態「黒から 豊橋駅前店」をオープンした。甲羅自身が当時の発表で「国内初」としており、全国展開する「赤から」の姉妹ブランドとして投入された店舗だった。

しかし、その後「黒から 豊橋駅前店」は姿を消した。

なぜ、全国1号店は豊橋だったのか。

そして、なぜ「赤から」のような全国チェーンへ成長することなく閉店したのか。

公開資料から確認できる事実と、当時の店舗設計や外食市場を基に考察する。


「黒から」とは?「赤から」の姉妹ブランドとして2019年に誕生

黒からは、株式会社甲羅が「赤から」の姉妹ブランドとして開発した飲食業態だ。

最大の特徴は「黒から鍋」だった。

甲羅によると、赤味噌を使ったオリジナル味噌と唐辛子など数十種類の調味料を使ったスープに、黒マー油(焦がしニンニク)を加えて香り、コク、深みを出していた。

さらに黒から豊橋駅前店には、各テーブルで客自身がレモンサワーを注げる卓上レモンサワーサーバーも導入された。

60分500円という価格設定で、甲羅は当時「豊橋初」としてアピールしていた。

単純に「赤から鍋を黒くした店」ではない。

鍋+鶏料理+レモンサワー

という居酒屋需要を狙った、新しいブランドとして設計されていたことが分かる。


黒から豊橋駅前店はいつオープンした?

「黒から 豊橋駅前店」のオープン日は2019年11月1日。

所在地は愛知県豊橋市駅前大通2丁目3だった。

店舗規模は、

22卓・116席
約70坪
想定客単価2,700円

と発表されている。

注目したいのは116席という規模だ。

新ブランドのテスト店舗として考えると、決して小さくない。

甲羅が黒からを本格的な飲食ブランドとして育てようとしていたことをうかがわせる。


なぜ「黒から」1号店は豊橋だったのか?

最大の理由として考えられるのが、甲羅と豊橋の深い関係だ。

甲羅は豊橋で成長した外食企業である。

日本食糧新聞によると、創業者の鈴木勇一氏が1969年、豊橋駅前に山小屋風スナック「どん底」を開業したことが同社の始まりだった。

その後、「甲羅本店」「カルビ一丁」「赤から」などを展開する外食企業へ成長した。

黒からが誕生した当時も、甲羅の本社所在地は豊橋市東脇3丁目だった。

つまり黒から1号店は、

豊橋発祥の企業が、地元で新しいブランドを立ち上げた

という構図だった。


【編集部考察】豊橋は甲羅にとって新業態を試しやすい市場だった?

ここからは公開情報を基にした週刊TAKAPI編集部の考察となる。

黒からが豊橋から始まった理由について、甲羅が「○○だから豊橋を選んだ」と明示した一次資料は今回確認できなかった。

ただ、企業側から見れば本社所在地に近い店舗にはメリットがある。

新メニューに対する反応、客単価、来店客層、スタッフ教育、店舗オペレーションなどを本部側が確認しやすい。

さらに甲羅にとって豊橋は創業の地でもある。

こうした条件を考えると、豊橋を新業態のテストマーケットとして選んだ可能性は十分考えられる。


黒からは豊橋だけではなかった 2号店は名古屋・金山へ

重要なのは、黒からが豊橋だけの実験店舗で終わらなかったことだ。

豊橋駅前店がオープンした翌月の2019年12月、名古屋市金山の飲食店街「金山小町」に「黒から 金山小町店」が登場した。

当時の地域情報では、豊橋駅前店に続く2店舗目として紹介されている。

つまり、

2019年11月 豊橋1号店
↓
2019年12月 名古屋・金山へ進出

という非常に速い展開だった。

少なくとも立ち上げ当初、甲羅が黒からの複数店舗展開を試していたことは確認できる。


2021年にはローソン商品も登場 「黒から」はブランド展開されていた

黒からには、もう一つ興味深い動きがある。

2021年1月、ローソンが中部地区約1,600店舗で、「赤から」と「黒から」が監修した商品を発売した。

黒から監修商品として、

「黒麻婆豆腐弁当」

「黒からおにぎり(スパイシーチキン)」

などが販売された。

ローソンも当時、黒からについて2019年に赤からの姉妹店としてオープンしたブランドと説明している。

店舗だけでなく、大手コンビニとの商品展開まで行われていたことになる。

では、なぜ黒からは現在まで「赤から」のような全国ブランドとして残らなかったのだろうか。


「黒から豊橋駅前店」はなぜ閉店した?

最も検索される可能性が高いのが、この疑問だろう。

ただし、ここは慎重に区別する必要がある。

株式会社甲羅が「黒から豊橋駅前店は○○が原因で閉店した」と公式に説明した一次資料は、今回確認した範囲では見つからなかった。

売上不振だったと断定することもできない。

したがって、ここからは当時の状況などを基に、閉店に影響した可能性のある要素を考察する。


考察① オープン直後にコロナ禍へ突入した

まず無視できないのがタイミングだ。

黒から豊橋駅前店の開業は2019年11月1日。

新ブランドとして固定客を作っていかなければならない重要な時期の直後、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大によって外食環境が大きく変化した。

黒からの店舗設計を見ると、

夜営業
116席
鍋料理
グループ利用
卓上レモンサワー

という特徴があった。

いずれもコロナ禍以前の「集まって食べて飲む」需要との親和性が高い。

ローソンが2021年に黒から監修商品を発売した際も、コロナ禍によって外出機会が減少している状況に触れている。

新ブランドの育成期間とコロナ禍が重なった影響は、検討すべき要素の一つだろう。


考察② 116席・70坪という大型店だった

黒から豊橋駅前店は約70坪・116席。

ここもポイントだ。

店舗が大きくなれば、一般的には家賃だけでなく、人件費や光熱費など店舗を維持するためのコストも大きくなる。

もちろん、実際の収支は公開されていない。

しかし新しいブランドで116席を継続的に稼働させるためには、相応の集客力が必要になる。

すでに全国的な知名度を持つ「赤から」と違い、「黒から」はまずブランドそのものを知ってもらうところからスタートしなければならなかった。

大型店と新ブランドという組み合わせは、それだけ高い集客力を要求された可能性がある。


考察③ 最大のライバルは「赤から」だった?

黒からには強力な武器があった。

同時に、難しい問題も抱えていた可能性がある。

それが「赤からとの差別化」だ。

黒から鍋は赤味噌ベースのスープに黒マー油を加えた商品。

ブランド名も「黒から」。

消費者から見れば、赤からとの関係は非常に分かりやすい。

しかし、これは逆に、

「赤からではなく黒からを選ぶ理由は何か」

という問いを生む。

黒マー油や卓上レモンサワーなど明確な違いはあったものの、消費者に独立したブランドとして定着させるには、それ以上の理由が必要だった可能性もある。

黒からにとって競合は他社の居酒屋だけではなく、同じ甲羅が展開する「赤から」そのものだったのかもしれない。


考察④ 「黒マー油×鍋」は個性的だがリピート需要は?

黒から鍋の特徴はかなり明確だった。

赤味噌
唐辛子
黒マー油
焦がしニンニク

という組み合わせだ。

インパクトがあり、新店として「一度食べてみたい」と思わせる商品には向いている。

一方、飲食店にとって重要なのは初回来店だけではない。

何度も来店してもらえるかどうかだ。

個性の強いメニューだからこそ、

「一度食べたい店」から「繰り返し利用する店」へ転換できたのか

という点は検証する価値がある。

ただし、黒からのリピート率などは公開されていないため、ここも現段階では仮説にとどまる。


黒からは「失敗したブランド」だったのか?

豊橋駅前店が閉店した結果だけを見て、

「黒からは失敗だった」

と結論付けるのは早い。

黒からは豊橋1号店から名古屋・金山へ展開し、さらにローソンとの監修商品まで実現している。

つまり少なくとも一定期間、甲羅がブランドとして展開していたことは確認できる。

飲食企業にとって新業態開発は、すべてのブランドを数百店舗へ拡大することだけが目的とは限らない。

実店舗で消費者の反応を確認し、その経験を次の商品やブランド開発へ生かすこともできる。

その意味では黒からは、

豊橋発祥の外食企業・甲羅が、新しい市場を探る過程で生まれたブランド

として捉えることもできそうだ。


なぜ豊橋から始まったのか 「黒から」が残したもの

黒からの歴史を振り返ると、非常に興味深い流れが見える。

2019年11月、国内1号店が豊橋駅前に誕生。

翌12月には名古屋・金山へ進出。

2021年にはローソンとの監修商品まで登場した。(

しかし、赤からのような全国規模のブランドにはならなかった。

その背景には、

新型コロナ禍という想定外の環境変化

に加えて、

大型店舗の運営、ブランド認知、赤からとの差別化、リピート需要

など複数の課題が重なった可能性が考えられる。

ただし、本当の理由を知っているのは運営会社の甲羅だ。

黒から豊橋駅前店について、

「なぜ豊橋を1号店に選んだのか」

「いつ、どのような判断で閉店を決めたのか」

「コロナ禍はどこまで影響したのか」

「黒からというブランドを現在どう評価しているのか」

「今後、黒からを復活させる可能性はあるのか」

ここまで確認できれば、黒からの閉店を単なる「閉店情報」ではなく、豊橋発の外食企業による新業態開発の検証記事としてさらに深掘りできる。


Q「黒から」と「赤から」は同じ会社ですか?
Aはい。黒からは「赤から」を展開する株式会社甲羅が立ち上げた姉妹ブランドです。2019年の公式発表でも「赤から」の姉妹ブランドとして紹介されています。
Q黒からの1号店はどこでしたか?
A国内1号店は愛知県豊橋市の「黒から 豊橋駅前店」です。2019年11月1日にオープンしました。
Q黒からは豊橋にしかなかったのですか?
Aいいえ。豊橋駅前店の後、名古屋市金山の「金山小町」にも出店しました。当時の地域情報では豊橋に続く2店舗目として紹介されています。
Q黒からはコンビニ商品にもなりましたか?
Aはい。2021年にはローソンが中部地区約1,600店舗で「赤から」「黒から」監修商品を販売しました。「黒麻婆豆腐弁当」などが展開されています。
Q黒から豊橋駅前店の閉店理由は公表されていますか?
A今回確認した公開資料では、甲羅が具体的な閉店理由を公式説明した一次資料は確認できませんでした。そのため「売上不振だった」「コロナが原因だった」などと断定することはできません。
Q黒からが今後復活する可能性はありますか?
A現時点で復活計画を裏付ける公式発表は確認できません。ブランドを現在どう位置付けているのかも含め、甲羅への直接取材で確認したいポイントです。

※この記事は株式会社甲羅などの公開資料、当時の報道・店舗情報を基に週刊TAKAPI編集部が独自に考察したものです。閉店理由について公式に確認できていない部分は「編集部の考察」として記載しており、実際の閉店理由を断定するものではありません。最新情報は公式発表をご確認ください。

週刊TAKAPI 編集部/黒木

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