千葉県教育委員会が10月9日に公表した教員3人の懲戒処分。女子生徒への性暴力等で免職、住宅での盗撮で停職6カ月、勤務中の校務用パソコンの不適切利用で減給となった。
3件は行為の内容だけでなく、学校側が問題を把握した経緯も異なる。性暴力等は県教委への匿名メール、盗撮は警察の家宅捜索を受けた教諭本人からの報告、校務用パソコンの不適切利用は外部業者の指摘が発覚の端緒だった。
県教委は2025年に管理監督者の処分基準を見直し、2026年には児童生徒とのSNS連絡や性暴力等の通報に関する規定を強化している。制度を改めた後も教員の不祥事が公表されるなか、10月9日の発表では改めて校内研修と服務指導の徹底を求めた。
2025年3月に監督責任の基準改正 4月1日から適用
千葉県教委が管理監督者の処分基準を見直したのは、2025年3月21日だった。学校の教育環境と児童生徒の安全確保、所属職員への指導や非違行為の防止を強化するため、懲戒処分の指針を改正した。
改正後は、部下職員が懲戒処分を受けた場合などに、管理監督者としての指導監督を怠った職員を停職、減給または戒告の対象とすることを明記した。
適用対象は同年4月1日以降に発生した事案だ。
指針には、部下の非違行為を知りながら隠蔽したり、黙認したりした職員を停職または減給とする別の規定もある。ただし、今回の2025年改正で見直された「指導監督不適正」と、既存の「非行の隠ぺい・黙認」は区別されている。
今回公表された3件について、管理監督者が指導監督を怠ったとの認定や、管理職への懲戒処分は発表されていない。教員本人の非違行為が認定されても、それだけで校長らの監督責任が確定するわけではない。
2026年6月にSNS規制を改正 7月1日から適用
2026年6月10日、県教委は懲戒処分の指針を再び改正した。今回は児童生徒性暴力等への通報義務の徹底と、SNSによる不適切なやり取りの防止が目的だった。
改正では、職務上関係する児童生徒とのSNS等によるやり取りについて、私的な連絡だけでなく職務上の連絡も原則として非違行為の対象とした。例外として認められるのは、職務上必要で、管理職の許可を得ている場合に限られる。
さらに、自校の児童生徒が性暴力等を受けたことを知りながら、管理職への通報など必要な措置を取らなかった教職員を、減給または戒告とする規定を設けた。
新たな規定は7月1日以降に発生した事案から適用されている。
今回免職となった30代の女性教諭は、2025年11月から自校の女子生徒とSNSで私的な連絡を始め、2026年1月から7月にかけて児童生徒性暴力等を行っていた。
行為の一部は新指針の適用開始時期と重なる。ただし、県教委の10月9日の資料には、今回の処分に改正後の各規定がどのように適用されたのかについて、個別の説明はない。
免職・停職・減給の3件 学校側への伝達経路に違い
10月9日に処分が決定されたのは、公立中学校の30代女性教諭と、船橋市の県立薬園台高校に勤務する31歳男性教諭の2人。市川市の県立市川工業高校に勤務する65歳男性臨時的任用教諭については、9月30日付の減給処分が同日の教育委員会会議で報告された。
女性教諭の性暴力等は7月上旬、県教委に匿名の相談メールが届き、校長が本人に確認したことで発覚した。
薬園台高校の男性教諭は、6月ごろと7月15日の計2回、近隣住民宅の玄関ポストにスマートフォンを差し入れて盗撮した。8月31日に警察の家宅捜索を受け、翌9月1日に本人が教頭へ報告したことで学校側が把握している。
市川工業高校の男性教諭は、2025年12月から2026年6月まで、勤務時間中に校務用パソコンでわいせつな内容を含む職務外の動画を繰り返し閲覧していた。頻度は週2回程度、1日当たり1〜2時間程度。外部業者から不適切なサイト閲覧の指摘があり、校長が本人に確認して明らかになった。
3件とも学校内部の定期点検だけで最初に発見された事案ではないが、そのことを直ちに管理体制の不備と結び付けることはできない。
特に校務用パソコンの事案では、外部業者による指摘が端末管理の仕組みの一部として機能した可能性がある。盗撮についても、学校外で行われた行為を勤務先が事前に把握できたかどうかは、発覚経緯だけでは判断できない。
県教委は再び校内研修と服務指導を徹底 制度改正後の運用は
県教委は10月9日の処分公表に合わせ、各所属に綱紀粛正を求める通知を出し、不祥事防止の指導を徹底するとした。
具体的には、校長が児童生徒性暴力等の防止資料を使った校内研修を実施し、事案につながる誤った認識や、県内で発生した不祥事の特徴について説明する。
校務用パソコンの利用についても、既存の服務ガイドラインを使い、業務外目的での使用を禁じる規定の徹底を求めた。さらに、県立学校長会議や教育事務所管理課長会議などを通じて、服務規律に関する指導を行うという。
2025年の指針改正では管理監督者の責任、2026年の改正ではSNS連絡と性暴力等の通報を規定した。一方、今回示された再発防止策は、各学校への通知、校内研修、服務指導が中心となっている。
公表資料には、改正後のSNS連絡の許可制度が各学校でどの程度運用されているのか、校務用パソコンの不適切利用を把握するまでにどのような管理上の手順を経たのかといった具体的な実施状況は記載されていない。
制度を整備したことと、その制度が個別の現場で適切に運用されていることは別だ。
教職員に対する規則を改め、処分を公表し、研修を求める。県教委が繰り返してきたこうした対応について、今後は改正規定の運用状況と具体的な再発防止の成果を示すことが求められる。
編集部まとめ
千葉県教委が10月9日に公表した3件の懲戒処分では、性暴力等、盗撮、校務用パソコンの不適切利用という異なる問題が、それぞれ別の経路から明らかになった。
県教委は2025年3月に管理監督者の処分基準の改正を公表し、4月から適用。2026年6月にはSNS連絡と性暴力等の通報に関する規定を改正し、7月から適用している。
制度の整備は進んでいる。だが、今回の公表資料から確認できるのは処分理由と発覚の経緯、そして再び示された研修・服務指導の方針までだ。
とりわけ児童生徒への性暴力等については、被害を受けた生徒の保護と支援を最優先にしながら、相談を受けた後の対応を丁寧に確認する必要がある。
週刊TAKAPI 編集部/成田
特記事項
本記事は、千葉県教育委員会が2026年10月9日に公表した教職員の懲戒処分資料、2025年3月21日および2026年6月10日に公表した懲戒処分指針の改正資料をもとに構成した。
処分理由と発覚経緯は県教委の公式発表に基づき、管理監督者の責任については関係規定と実際に公表された処分内容を区別した。児童生徒性暴力等に関する記述では被害生徒の尊厳とプライバシー保護を優先し、個人の特定につながる情報は掲載していない。
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