【独自・愛知・豊川】豊川稲荷の御開帳に合わせデジタルマップ導入へ 事業費最大1,000万円、集客目標は「設定していない」豊川市が明かした実証事業の実態

豊川市役所の庁舎外観。豊川稲荷の御開帳に合わせたデジタルマップ導入について、週刊TAKAPIが豊川市に独自取材

愛知県豊川市が、豊川稲荷の御開帳に合わせて導入を進めるデジタルマップ。参拝客を周辺商店街へ誘導し、地域経済の活性化につなげることを目指す取り組みだ。

イラストを活用したデジタルマップを手掛ける株式会社Stroly(ストローリー)の技術を活用し、参拝客の回遊行動を分析する。

一方、事業費は最大1,000万円を見込むものの、商店街への来訪者数や売上増加について具体的な数値目標は設定されていないことが、週刊TAKAPIの独自取材で分かった。

さらに、掲載する店舗の範囲や実証終了後の継続についても、現時点では未確定だという。

今回の取り組みは、地域経済にどのような効果をもたらすのか。

週刊TAKAPIは2026年10月20日、豊川市の担当者に電話取材し、導入の経緯から事業費、効果検証、今後の展開まで詳しく話を聞いた。

豊川稲荷の参拝客を商店街へ デジタルマップ導入の狙い

今回の事業は、愛知県のスタートアップを活用したまちづくり関連事業に応募し、採択されたことをきっかけに進められている。

豊川市の担当者によると、スタートアップ企業からの提案を比較し、地域が抱える課題の解決につながるかどうかを選定基準として、Strolyの提案を採用したという。

豊川稲荷は全国的にも知られる観光地だが、参拝に訪れた人々を周辺商店街へどう誘導するかは、地域のにぎわいづくりを考えるうえで重要なテーマとなる。

これまでも商店街主催のイベントなどが行われてきたものの、今回のようにデジタル技術を使って観光客の行動を分析する取り組みは、あまり実施されてこなかったという。

Googleマップとは何が違う? イラスト地図に現在地を表示

今回導入するデジタルマップの特徴は、一般的な地図アプリとは異なる、イラストを活用した案内方法にある。

担当者は、Googleマップとの違いについて、温かみのあるイラスト地図を使いながら、利用者の現在地を表示できる点を挙げた。

イラストマップは実際の地形と縮尺が異なる場合があるが、Strolyの技術を活用することで、その地図上でも利用者の位置を示すことができるという。

さらに、地図から店舗情報などを詳しく確認できる仕組みを想定している。

単に目的地まで案内するだけでなく、周辺の店舗や地域の魅力を知ってもらうことも狙いの一つだ。

事業費は最大1,000万円 豊川市の負担はなし

今回の取材で明らかになったのが、事業費の見通しだ。

担当者によると、事業費の総額は現時点で確定していないものの、最大1,000万円の範囲内で実施する予定だという。

また、豊川市が独自に費用を負担する予定はないとの説明だった。

ただし、最終的な事業費は確定しておらず、実際にいくら支出されるのかは今後明らかになる見通しだ。

今回の実証事業では、マップの制作だけでなく、利用状況の分析なども行われる。

そのため、費用対効果を検証するうえでは、制作費や運用費、分析費用などの内訳も重要になる。

現段階では、これらの詳細な金額までは確認できていない。

【独自】商店街への集客数や売上増加 具体的な数値目標はなし

今回の取材で特に注目したいのが、事業の成果をどのような基準で評価するのかという点だ。

週刊TAKAPIは、デジタルマップ導入によって商店街への来訪者数や店舗の売上をどの程度増やしたいと考えているのか質問した。

これに対し、豊川市の担当者は、具体的な数値目標は定めていないと説明した。

つまり、現時点では「商店街への来訪者を何人増やす」「店舗売上を何%伸ばす」といった定量的な目標は示されていない。

もちろん、実証事業は新たな取り組みの効果や可能性を検証するものであり、開始前にすべての数値目標を設定することが難しい場合もある。

しかし、最大1,000万円規模の公的支援を活用する以上、事業終了後に何をもって成功と判断するのかは重要な論点となる。

アクセス数の増加だけでなく、実際に商店街へ足を運ぶ人が増えたのか、店舗の利用につながったのかという視点も欠かせない。

マップ閲覧者の行動を分析 ただし売上との関係は今後の課題

今回のデジタルマップでは、利用者がどこから地図を閲覧し、どのように利用したかといったデータを取得できるという。

豊川市は、こうした情報を活用して利用状況を検証する方針だ。

担当者は、これまで比較対象となるデータがないことから、今回取得する情報を基礎資料として分析を進める考えを示した。

一方、週刊TAKAPIが、マップを閲覧した人が実際に店舗で買い物をしたかどうか、前年と比較して来店客数や売上が増加したかどうかを検証する予定について尋ねたところ、具体的な検証方法までは明らかにならなかった。

デジタルマップの閲覧数が増加しても、それがそのまま店舗の売上増加につながるとは限らない。

例えば、マップを見た人が店舗を訪れたかどうかを確認するには、店舗への聞き取りや来店者アンケートなど、別の調査が必要になる可能性もある。

今回の実証事業で、どこまで実際の経済効果を把握できるのかが注目される。

商店街の全店舗が掲載されるわけではない? 対象店舗は調整中

マップに掲載する店舗についても、現時点では詳細が決まっていない。

豊川市の担当者によると、すべての店舗をイラスト上に表示することは難しい可能性があり、掲載店舗については今後調整していくという。

基本的には、既存の商店街組合や商店街のホームページに掲載されている店舗情報などを参考にする考えだ。

掲載店舗の選定基準についても質問したが、特別な基準を設けるという説明はなかった。

また、商店街の店舗から具体的にどのような要望が寄せられているかについては、マップがまだ完成していないこともあり、今後の調整事項になるとの回答だった。

マップが商店街全体の活性化につながるためには、特定の店舗だけでなく、周辺の幅広い事業者に効果が及ぶ仕組みも求められる。

11月公開を目指す 実証事業は2027年3月まで

デジタルマップは、豊川稲荷の御開帳に合わせ、2026年11月の公開を目指して準備が進められている。

10月20日の取材時点では、まだ完成していないという。

実証事業の期間は2027年3月までを予定している。

そのため、マップの公開後は限られた期間の中で利用状況を把握し、事業の成果を検証していくことになる。

特に御開帳という特別な機会に訪れる参拝客が、どの程度周辺商店街に足を運ぶのかが注目される。

実証終了後の継続は未定 維持管理費も決まらず

今回の取材では、実証事業が終了した後の運用についても質問した。

担当者は、効果が得られれば継続したいという意向を示した一方、現時点で継続が決定しているわけではないと説明した。

また、2027年4月以降にマップを維持する場合の管理費についても、現段階では未定だという。

デジタルマップは一度制作すれば終わりというものではない。

店舗の開店・閉店、営業時間の変更、掲載情報の更新など、継続的な管理が必要になることも考えられる。

実証期間中に一定の効果が確認された場合でも、継続的な運用費用を誰が負担するのかという課題が残る。

豊川市全体への展開は? 現時点では想定せず

週刊TAKAPIは、今回の取り組みが成功した場合、豊川稲荷周辺だけでなく、豊川市内の他の観光地や商業地域にも展開する可能性があるのか質問した。

これに対し担当者は、現時点では市全体への展開までは想定していないと回答した。

ただし、今後そのような話が出てくれば、可能性が全くないわけではないとの認識も示した。

まずは豊川稲荷周辺で実証を行い、その成果を確認することが優先される。

検証結果は公表されるのか 愛知県の対応にも注目

公的支援を活用する実証事業では、成果がどのように公表されるかも重要だ。

豊川市の担当者によると、過去の関連事業では報告会が開催されており、今回も何らかの形で検証結果が報告される見込みだという。

ただし、愛知県がどの範囲まで結果を一般公開するのかについては、豊川市側でも現時点では把握していないとの説明だった。

事業終了後には、利用者数や回遊状況だけでなく、実際にどのような成果が得られたのかを分かりやすく公表することが期待される。

【週刊TAKAPI考察】最大1,000万円の実証事業 成功の判断基準が問われる

今回のデジタルマップ導入は、豊川稲荷の集客力を周辺商店街の活性化につなげようとする取り組みとして期待できる。

特に、イラストマップによって地域の魅力を視覚的に伝え、参拝客が普段立ち寄らない店舗を知るきっかけをつくる点には可能性がある。

一方で、今回の取材ではいくつかの課題も見えてきた。

第一に、集客や売上に関する具体的な数値目標が設定されていないこと。

第二に、デジタルマップの利用と実際の店舗利用をどのように結び付けて検証するのか、詳細が明らかになっていないこと。

第三に、実証事業終了後の継続方針や維持管理費が決まっていないことだ。

ただし、数値目標がないことだけで、今回の事業に効果がないと判断することはできない。

実証事業には、これまで把握できなかったデータを取得し、今後の施策に役立てるという目的もある。

重要なのは、今回得られたデータを実際の商店街振興にどう生かすかだろう。

マップの閲覧数が多かったという結果だけで終わるのか。それとも、商店街への来訪や店舗利用の増加につながる新たな施策へ発展するのか。

その違いは大きい。

豊川稲荷という地域を代表する観光資源を生かしながら、周辺商店街にどれだけ人の流れを生み出せるのか。

今回の実証事業は、デジタル技術を活用した地域活性化の可能性と、その費用対効果を考える一つの試金石になりそうだ。

週刊TAKAPIでは、マップ公開後の利用状況や実証事業の成果についても引き続き注目していく。

豊川稲荷デジタルマップ事業の概要

  • 実施地域: 愛知県豊川市・豊川稲荷周辺商店街
  • 関係自治体: 愛知県、豊川市
  • 技術提供企業: 株式会社Stroly
  • 事業内容: イラスト型デジタルマップの導入と回遊状況の検証
  • 公開予定: 2026年11月
  • 実証終了予定: 2027年3月
  • 事業費: 最大1,000万円の範囲内で実施予定(総額未確定)
  • 豊川市の費用負担: 予定なし
  • 具体的な集客数値目標: 設定なし
  • 掲載店舗: 調整中
  • 実証終了後の継続: 未定

※2026年10月20日の豊川市担当者への取材に基づく。事業費や運用計画などは取材時点の情報。

Q豊川稲荷のデジタルマップはいつから使えますか?
A2026年11月の公開を目指しています。10月20日時点では制作・準備段階です。
Qデジタルマップは無料で利用できますか?
A一般利用者の利用料金については、今回の取材では確認できていません。
Qデジタルマップの事業費はいくらですか?
A最大1,000万円の範囲内で実施する予定です。ただし、総事業費はまだ確定していません。
Q商店街のすべての店舗が掲載されますか?
A掲載対象は調整中です。すべての店舗がイラスト上に表示されるとは限りません。
Qデジタルマップは2027年4月以降も使えますか?
A現時点では未定です。豊川市は実証結果を踏まえて継続を検討する考えです。
Qデジタルマップの導入効果は公表されますか?
A何らかの成果報告が行われる見込みですが、一般向けの公表方法や公表範囲は現時点で確定していません。

週刊TAKAPI編集部:黒木

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