兵庫県姫路市の市立小学校で2022年、当時6年生の男子児童がいじめを受け、不登校になった重大事態について、市のいじめ問題再調査委員会が10月16日、清元秀泰市長に報告書を提出した。
再調査委員会は、学校側が行った調査の事実認定に誤りはなかったとする一方、当初から第三者委員会による調査を選択すべきだったとして、学校と市教育委員会の判断を問題視した。
男子児童へのいじめには約20人が関与したとされ、学校は早い段階で被害を把握していた。しかし、一度はいじめが解消したと判断。その後も被害が訴えられ、男子児童は学校に通えなくなった。
「ばい菌」扱いなどのいじめ 学校は一度解消と判断
2023年に明らかになった当初の調査報告書によると、学校は2022年4月、男子児童がほかの児童から悪口を言われていることを把握し、いじめと認定した。
その後、学校はいじめが解消したと判断していたが、同年10月、保護者から再び被害の訴えがあった。
学校側が聞き取り調査を行った結果、約20人の児童が男子児童を避けたり、「ばい菌」扱いしたりする行為に関わっていたことが判明した。
男子児童は当時、特別支援学級に在籍し、多くの授業を通常学級で受けていた。
同年11月から登校できなくなり、心身の不調で一時入院。その後、転居している。
当初の調査報告書では、学校内での情報共有が不十分だったことや、男子児童を組織的に支援できなかったことが問題点として指摘されていた。
保護者が求めた第三者調査 当初は実現せず
学校主体で行われた調査に対し、保護者側は公平性や中立性に疑問を示し、第三者による調査を求めた。
しかし、当初は認められなかった。
市はその後、いじめ防止対策推進法に基づく再調査を実施することを決定。2024年3月14日、市長部局の下に再調査委員会を設置した。
第1回会合は同月25日に開かれ、2026年9月24日には第18回の委員会が開催された。審議はいずれも委員会の議決により非公開とされた。
再調査委員会の設置から報告書提出まで約2年7か月。いじめが問題となった2022年からは約4年が経過していた。
学校の事実認定は維持 調査の公平性を問題視
10月16日に提出された報告書では、学校側によるいじめの事実認定そのものは誤っていなかったと判断された。
一方で、学校と市教委には、当初から第三者による調査を選ぶべきだったという認識上の問題が指摘された。
ここで重要なのは、いじめを認定できたことと、被害児童や保護者が納得できる調査体制を確保できたことは別だという点だ。
文部科学省が2024年8月に改訂した重大事態調査のガイドラインでは、不登校重大事態の調査は原則として学校主体とされる一方、学校の対応に問題があり、保護者との間に不信感が生じている場合などは、調査組織の公平性と中立性に特に配慮する必要があると示している。
今回の再調査委員会は、学校側の事実認定を維持しながらも、調査の進め方に問題があったと判断したことになる。
報告書提出で終わらない 市議会への報告と再発防止が焦点
いじめ防止対策推進法第30条第3項は、市長が同条第2項に基づく再調査を行った場合、その結果を議会に報告するよう義務付けている。
さらに同条第5項では、市長と教育委員会が再調査結果を踏まえ、重大事態への対処や同種事案の再発防止に必要な措置を講じることを定めている。
今回の報告書について、10月23日時点で市の公式公開ページから全文を確認することはできなかった。市議会への報告時期や具体的な改善措置についても、確認できた資料では明らかになっていない。
学校がいじめを把握しながら、なぜ被害の拡大を防げなかったのか。保護者が第三者調査を求めた段階で、市教委はどのような判断をしたのか。
今回の再調査で示された指摘を踏まえ、姫路市が学校現場の対応と調査体制をどう改善するのか。その具体的な説明が求められている。
編集部まとめ
姫路市のいじめ重大事態では、学校が早期に被害を把握していたにもかかわらず、男子児童は不登校となり、入院や転居を余儀なくされた。
再調査委員会は、学校による事実認定を維持する一方、第三者調査を当初から選ばなかった判断を問題視した。
約4年を経て示された調査結果を、今後の学校運営と再発防止にどう反映させるのか。姫路市の対応が問われている。
特記事項
本記事は姫路市の公式公表資料、2023年の調査経緯に関する確認済みの報道、2026年10月16日の再調査結果に関する情報、および関係法令に基づき構成した。
週刊TAKAPI 編集部/松本・成田
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