【名古屋】赤信号の交差点に時速76キロで進入、歩行者3人死傷 72歳被告に拘禁刑5年求刑、認知機能が争点

名古屋駅近くで歩行者3人が死傷した交通事故の裁判。拘禁刑5年を求刑された72歳被告の写真を右側に配置し、「認知機能が争点」「12月3日判決へ」と伝える週刊TAKAPIの報道アイキャッチ画像。

名古屋駅近くの交差点で2025年10月、軽乗用車が歩行者3人をはね、1人が死亡、2人が重傷を負った事故の裁判で、検察側は10月26日、運転していた名古屋市北区の無職、鳴海洋被告(72)に拘禁刑5年を求刑した。

名古屋地裁(蛯原意裁判官)で開かれた公判では、事故当時の認知機能の低下が刑事責任能力に影響したかどうかが争点となった。検察側は完全な責任能力があったと主張する一方、弁護側は心神耗弱状態だったとして執行猶予付きの判決を求めた。

審理は同日結審し、判決は12月3日に言い渡される。

朝の横断歩道で3人死傷 ブレーキ痕は確認されず

事故は2025年10月15日午前7時40分ごろ、名古屋市中村区の下広井町交差点で発生した。

起訴状によると、鳴海被告は名鉄バスセンター付近の下り坂を軽乗用車で走行し、時速約72〜76キロで赤信号の交差点に進入。横断歩道を歩いていた3人をはねた。

この事故で、愛知県稲沢市の会社員、田中幸子さん(当時49)が死亡。36歳の男性会社員と48歳の女性派遣社員も、腰や首の骨を折るなどの重傷を負った。

現場の防犯カメラには、車が反対車線にはみ出して進む様子が記録されていた。検察側は初公判で、車のブレーキに異常はなく、現場にもブレーキ痕が見つからなかったと指摘している。

県警は当初、危険運転致死傷の疑いで送検したが、検察は過失運転致死傷罪で起訴した。鳴海被告は同年12月の初公判で起訴内容を認めている。

検察「運転の未熟さによる事故」 弁護側は心神耗弱を主張

26日の論告で検察側は、鳴海被告に軽度認知障害(MCI)が認められるものの、事故に影響したとはいえず、運転の未熟さによって起きた事故だと主張した。

被告が事故前も日常的に車を運転していたことなどを踏まえ、完全な刑事責任能力があったとして拘禁刑5年を求刑した。

これに対し弁護側は、認知機能の低下によって危険を的確に認識できず、適切な減速や回避行動を取る能力が損なわれていたと反論。事故当時は心神耗弱状態だったとして、執行猶予付きの判決を求めた。

鳴海被告は事故の約2年前までタクシー運転手として働いていた。裁判所は、事故時の運転状況や精神鑑定の結果などから、責任能力を判断することになる。

結婚が決まった矢先の事故 遺族の姉が厳罰求める

26日の公判では、亡くなった田中さんの姉が意見陳述を行った。

田中さんは長年、病気の母親を支え、結婚が決まったばかりだったという。姉は「さっちゃんのこれからの人生すべてが突然奪われた」と涙ながらに語り、厳しい処罰を求めた。

最終意見陳述で鳴海被告は「ごめんなさいとしか言いようがないです」と謝罪した。

編集部まとめ

鳴海被告が起訴内容を認める一方、事故当時の認知機能が刑事責任能力に及ぼした影響については、検察と弁護側の主張が対立している。

時速70キロを超えて赤信号の交差点に進入し、歩行者3人を死傷させた事故について、裁判所が責任能力をどう評価し、どのような刑を言い渡すのか。

判決は12月3日の予定だ。

特記事項

本記事は、2025年10月15日に発生した名古屋市中村区の交通事故について、起訴内容、これまでの公判経過、2026年10月26日の論告求刑公判で明らかになった事実を基に構成した。

被告の認知機能と刑事責任能力に関する記述は、公判で示された検察・弁護双方の主張を区別している。本件は過失運転致死傷罪で審理されており、判決は確定していない。

Q名古屋駅近くの3人死傷事故はいつ起きましたか?
A2025年10月15日午前7時40分ごろ、名古屋市中村区の下広井町交差点で発生しました。
Q事故では誰が死亡しましたか?
A愛知県稲沢市の会社員、田中幸子さん(当時49)が死亡しました。このほか男女2人が重傷を負っています。
Q鳴海洋被告にはどのような刑が求められていますか?
A検察側は2026年10月26日の公判で拘禁刑5年を求刑しました。
Q裁判では何が争点になっていますか?
A事故当時の認知機能の低下が、被告の刑事責任能力に影響していたかどうかです。検察側は完全な責任能力があったと主張し、弁護側は心神耗弱を主張しています。
Q判決はいつ言い渡されますか?
A2026年12月3日、名古屋地方裁判所で言い渡される予定です。

週刊TAKAPI 編集部/成田

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