【愛知・岡崎】会社役員が1億6000万円の特殊詐欺被害 「共犯で逮捕状」と偽警察官、3回送金させる

愛知県岡崎市の岡崎警察署の庁舎を背景に、会社役員が偽警察官らに1億6000万円をだまし取られた特殊詐欺事件を伝える報道アイキャッチ画像。

愛知県岡崎市の50代の男性会社役員が、警察官や検事を名乗る男らに現金1億6000万円をだまし取られる特殊詐欺事件があった。男性は詐欺事件への関与を疑われ、捜査のために預金を調べる必要があると説明され、10月17日に3回に分けて指定された口座へ送金していた。

発端は8月、配送業者を名乗る男からかかってきた電話だった。男性が送ったとされる荷物から他人名義のマイナンバーカードや通帳が見つかったと告げられ、続いて警察官や検事を装う人物から資金の移動を求められたという。

岡崎警察署管内では今年、特殊詐欺などの被害が急増しており、岡崎市と幸田町、警察が4月に緊急アピールを発表していた。市の公表資料によると、1月から5月までの被害額は約10億5300万円に上る。今回の事件は、その後に発生した新たな高額被害となる。

配送業者から警察官、検事へ 段階的に進んだ偽の捜査

警察によると、男性の携帯電話に最初の連絡があったのは8月だった。

配送業者を名乗る男は、男性が郵送した荷物から他人名義のマイナンバーカードや通帳が見つかったと説明し、警察官に電話を代わると告げた。

その後、警察官を名乗る男が、男性名義のキャッシュカードが詐欺事件に使われていると伝え、「詐欺の共犯で逮捕状が出ている」などと話したという。

男性に実際に逮捕状が出ていたわけではなく、犯人側が捜査を装って告げた内容だった。

さらに男性は通話アプリに誘導され、今度は検事を名乗る男から、保有する銀行口座の預金が詐欺事件に使われていないか確認する必要があると説明された。

相手は、指定した口座に送金すれば確認後に金を返すと約束。男性はその説明を信じ、送金用の銀行口座を新たに開設した。

今回の手口では、最初から現金を要求するのではなく、配送業者による荷物の確認から警察の捜査へと話を進め、最後に検事を名乗る人物が送金を指示していた。

10月17日に3回送金 返金されず警察へ相談

男性は10月17日、男らの指示に従い、3回に分けて計1億6000万円を指定された銀行口座へ振り込んだ。

しかし、約束された期日になっても金が返還されなかったため、不審に思った男性が警察に相談し、被害が発覚した。

最初の電話から送金までは約2カ月あったことになる。ただし、その間に犯人側から何度連絡があったのか、通話アプリを通じてどのようなやり取りが続いたのかは明らかになっていない。

また、送金した3回それぞれの金額や送金先口座の詳細、被害金の回収状況についても、今回の報道では確認できない。

警察は、実際の捜査で現金の振り込みを求めることはないとして、注意を呼びかけている。

岡崎署管内では5カ月で10億5300万円 4月には緊急アピール

今回の被害が明らかになる以前から、岡崎警察署管内では特殊詐欺などによる被害が深刻化していた。

岡崎市の発表によると、2026年1月から3月までの被害は100件、総額約6億6800万円に達し、前年同期から71件、約5億6300万円増加した。

この状況を受け、4月23日には岡崎市長、幸田町長、岡崎警察署長の3者が連名で「特殊詐欺多発緊急アピール宣言」を発表。行政と警察が協力し、被害状況の周知や防犯対策を強化する方針を示した。

その後、市が8月に更新した公表資料では、1月から5月までの被害が147件、約10億5300万円に拡大していた。前年同期の63件、約2億6600万円と比べ、件数は2倍以上、被害額は約4倍となっている。

ただし、この統計には警察官を装う詐欺だけでなく、SNS型投資詐欺なども含まれている。今回の1億6000万円の事件と、手口がすべて同じというわけではない。

また、5月までの統計に今回の被害額は含まれておらず、最新の累計被害額を示すものでもない。

偽警察官による詐欺 警察庁も注意を呼びかけ

警察庁は、警察官を名乗って捜査対象になっていると告げ、メッセージアプリへ誘導したうえで金銭を要求する「ニセ警察詐欺」への警戒を呼びかけている。

警察官が捜査を理由に現金の振り込みを求めたり、メッセージアプリで逮捕状の画像を送ったりすることはない。

また、電話の発信者番号に実在する警察署の番号を表示させる手口も確認されているため、番号が本物に見えても、それだけで警察からの連絡だと判断することはできない。

警察官を名乗る人物から犯罪への関与を告げられた場合は、その場で指示に従わず、いったん電話を切って最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」に確認することが重要だ。

編集部まとめ

1億6000万円という被害額に加え、今回の事件で注目されるのは、最初の電話から実際の送金まで約2カ月を要していた点だ。

配送業者を名乗る電話から始まり、警察官、検事へと相手が変わるなかで、男性は犯罪の共犯者として捜査されていると告げられた。最後には預金の確認という名目で、新たな口座の開設と巨額の送金を求められている。

ただし、その間の連絡頻度や詳しいやり取りは分かっておらず、男性がどのような経緯で指示を信じるに至ったのかを断定することはできない。

岡崎署管内では、行政と警察が緊急アピールを発表した後も、高額の詐欺被害が明らかになっている。

被害を防ぐには、手口の周知だけでなく、送金の指示を受けた人が第三者に確認できる機会を確保することも大切になる。今回の事件では、1億6000万円が移動するまでの経緯や、被害金の行方について、今後の捜査が注目される。

特記事項

本記事は、2026年10月26日付のメ〜テレによる岡崎警察署への取材報道、岡崎市が同年4月20日に公表した「特殊詐欺多発緊急アピール宣言」に関する報道発表、同年8月7日更新の被害統計、警察庁のニセ警察詐欺に関する注意喚起資料を照合して構成した。

事件の発生経緯、送金日、被害額、被害発覚までの状況は警察への取材に基づく報道内容を使用した。週刊TAKAPIが被害者や捜査関係者に直接取材したものではない。

岡崎署管内の統計については、4月の緊急アピールの根拠となった1月から3月までの数値と、その後公表された1月から5月までの数値を区別した。また、今回の事件による1億6000万円は、いずれの期間の統計にも含まれていない。

Q岡崎市の特殊詐欺事件で、いくらだまし取られたのですか?
A50代の男性会社役員が、2026年10月17日に3回に分けて計1億6000万円を指定口座へ送金し、被害に遭いました。
Q犯人はどのように男性をだましたのですか?
A配送業者を名乗る電話をきっかけに、警察官や検事を装う人物が詐欺事件への関与を疑わせ、預金の確認を名目に送金を求めました。
Q実際に男性には逮捕状が出ていたのですか?
Aいいえ。逮捕状が出ているというのは、犯人側が男性を信用させるために告げた虚偽の説明です。
Q岡崎市では特殊詐欺の被害が増えているのですか?
Aはい。岡崎署管内では2026年1月から5月までに147件、約10億5300万円の被害が公表されており、前年同期の63件、約2億6600万円から大幅に増加しています。
Q警察官を名乗る人物から振り込みを求められた場合はどうすればよいですか?
A送金せず、いったん通話を終了してください。相手から伝えられた番号には折り返さず、最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」に相談してください。

週刊TAKAPI 編集部/松本

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