静岡県掛川市役所の2階にある飲食店「カフェ えんむすび」で開かれた子ども食堂で、提供されたカレーライスを食べた子どもや保護者ら31人が食中毒を発症した。県西部保健所は10月26日、原因をウエルシュ菌による食中毒と判断し、飲食店に当分の間の営業禁止を命じた。
患者は5歳から38歳までの男女。1人が医療機関を受診したが、入院した人はおらず、全員が快方に向かっている。
飲食店は今年8月に新たな事業者のもとで営業を再開したばかりだった。市役所内で開かれる子ども食堂でなぜ集団食中毒が起きたのか。食品の管理状況に加え、市と運営事業者の役割分担も確認が必要となっている。
144人が食事、31人が腹痛や下痢 翌日に保健所へ通報
食中毒が発生したのは10月15日。掛川市役所本庁舎2階の飲食店で、午後3時から子ども食堂が開かれていた。
県によると、当日食事をした144人のうち31人が、その日の夜から腹痛や下痢などを訴えた。翌16日に関係者から通報があり、西部保健所が調査を始めた。
患者の便からウエルシュ菌が検出され、共通して食べていたカレーライスが原因食品と判断された。
県が飲食店に確認したところ、提供されたカレーには当日調理したものと、前日から用意していたものがあったという。
ただし、具体的な保存温度や再加熱の状況は明らかになっておらず、前日から用意していたカレーが直接の原因だったとまでは確認されていない。
8月に営業再開 市が選定した新たな事業者
現場となった「カフェ えんむすび」は、掛川市役所本庁舎2階のカフェテリアだ。
市は今年7月15日、同施設の業務委託事業者の選定結果を公表し、株式会社En Arkを選定。8月から新たな運営体制で営業を再開していた。
子ども食堂「遠JOY」は、今年1月から同じ場所で活動しており、18歳以下には無料、19歳以上には400円でカレーライスを提供している。市の子育て情報サイトでも紹介され、毎週木曜日に開催されてきた。
一方、今回の食事について、調理や保存を具体的に誰が担当し、衛生管理の確認をどのように行っていたのかは、公表資料だけでは明確になっていない。
市役所内の飲食店であることと、市が食品の調理を直接管理していたことは同じではない。今後は、営業者による管理体制と、市の委託事業における確認の仕組みを区別して調べる必要がある。
ウエルシュ菌は加熱後の温度管理が重要
今回検出されたウエルシュ菌は、カレーやシチューなど、大量に調理する料理で食中毒を引き起こすことがある。
熱に強い芽胞を形成する性質があり、加熱だけで完全に防ぐことは難しい。調理後の食品を適切な温度で管理することが重要で、県は速やかな提供や、小分けにして冷却するなどの対策を呼びかけている。
今回の調査ではカレーライスが原因食品と判断されたものの、具体的にどの工程で菌が増殖したのかは明らかになっていない。
編集部まとめ
子ども食堂で提供されたカレーライスによって31人が体調を崩し、飲食店には営業禁止命令が出された。
幸い入院者はなく、全員が回復に向かっている。しかし、営業再開から約2カ月の飲食店で集団食中毒が発生したことは、衛生管理の状況を改めて確認する必要性を示している。
今回の子ども食堂は、市が業務委託先を選定した飲食施設を使って開かれていた。まず明らかにすべきなのは、原因となったカレーの調理・保存状況と、日常的な衛生管理の実態だ。
そのうえで、子ども食堂の再開に向けてどのような改善を行い、利用する家庭にどう説明するのか。市と関係事業者の今後の対応が注目される。
特記事項
本記事は、2026年10月26日に公表された静岡県の食中毒発生情報、県の食中毒統計、掛川市のカフェテリア業務委託事業者選定結果、子ども食堂の公式案内を照合して構成した。
県はウエルシュ菌による食中毒と判断しているが、食品の具体的な保存状況や、子ども食堂における調理・衛生管理の役割分担は確認できていない。営業禁止命令の解除時期も明らかになっていない。
週刊TAKAPI 編集部/一条
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