愛知県豊橋市が森岡町で実施した家庭ごみの戸別収集実証実験について、週刊TAKAPIは市の担当者に取材した。担当者は、戸別収集の導入を前提とした実験ではないと説明。収集時間や作業効率、必要経費などの結果については現在集計中で、全市導入の可否や費用負担などは決まっていないことが分かった。
豊橋市のごみ戸別収集実証実験とは? 森岡町で4日間実施
豊橋市は2026年10月、森岡町で家庭ごみを各住宅の前から回収する戸別収集の実証実験を実施した。
実験は4日間にわたり行われ、対象となった約300軒の戸建て住宅のうち、約150軒が協力した。
協力世帯は「もやすごみ」と「生ごみ」を自宅前に出し、収集車が各住宅を回って回収した。
一方、実験に参加しない世帯などは、従来通り地域のごみ集積所を利用した。
今回の実験では、戸別収集によって住民のごみ出しの負担がどの程度変わるのか、収集作業にどのような影響が生じるのかが検討課題となる。
なぜ今、戸別収集を実験? 市長の公約だけが理由ではない
今回の実証実験について、週刊TAKAPIは市の担当者に、長坂尚登市長が掲げた政策との関係や、これまでの検討経緯を尋ねた。
担当者によると、市では従来から、ごみ集積所を利用する現在の収集方式にさまざまな課題があると認識していた。
そのため、以前から情報収集を進めており、今回の実験もその検討の一環として実施したという。
担当者は、戸別収集についても課題があるとの認識を示し、どのような収集方法が適切なのかを模索する中で、今回の実験を行ったと説明した。
つまり、今回の実証実験は、戸別収集への全面移行を決めた上で行われたものではない。
従来の集積所方式と戸別収集方式、それぞれの課題を踏まえ、今後の収集方法を検討するための取り組みという位置付けだ。
実証実験の結果は? 収集時間や作業効率は現在集計中
今回の電話取材では、実証実験によって得られた具体的な成果についても確認した。
週刊TAKAPIが収集時間や作業効率、住民から寄せられた意見について質問したところ、担当者は現在集計を進めている段階だと回答した。
従来の集積所方式と比較して、収集時間がどの程度増減したのか、作業員の負担がどの程度変化したのかについても、現時点で公表できる結果はないという。
また、実験に参加しなかった世帯の理由や、自宅前に出したごみがカラスなどに荒らされた事例の有無についても、集計中のため回答は得られなかった。
今回の実験で戸別収集の効率性や安全性が確認されたかどうかは、今後の結果整理を待つ必要がある。
豊橋市のごみ収集車は現在約60台 戸別収集で何台増える?
戸別収集を全市に拡大した場合、課題となるのが収集車両と作業員の確保だ。
市の担当者によると、豊橋市では現在、約60台の車両でごみ収集を行っている。
ただし、戸別収集を導入した場合に車両が何台必要になるのか、作業員を何人増やす必要があるのかについては、現時点で算定結果を示せる段階ではないという。
戸別収集では、各住宅の前でごみを回収するため、従来の集積所方式とは収集車の停止回数や作業員の移動距離が変わる可能性がある。
一方、集積所までごみを運ぶ必要がなくなることで、住民の利便性向上も期待される。
実際にどの程度の車両や人員が必要となるのかは、今回の実証実験で得られたデータを踏まえた検討が必要となる。
ごみ袋の有料化や値上げはある? 市民負担についても未定
戸別収集を本格的に導入する場合、住民にとって気になるのが費用負担だ。
週刊TAKAPIは、収集経費の増加に伴う指定ごみ袋の価格引き上げや、ごみ処理手数料などの市民負担が増える可能性についても質問した。
担当者は、戸別収集の導入に関する具体的な内容は何も決まっていないと回答した。
また、全市導入に必要となる年間経費についても、実証実験の結果を踏まえて今後検討する段階だという。
したがって、今回の実証実験をもって、ごみ袋の有料化や値上げが決まったわけではない。
ただし、将来的にどのような費用負担の仕組みを採用するのかについても、現時点では明らかになっていない。
豊橋市全域への導入はいつ? 実施地域もスケジュールも決まらず
戸別収集を導入する場合、最初にどの地域から始めるのか。
週刊TAKAPIは、市内で優先的に導入を検討している地域があるのかについても質問した。
これに対し、担当者は具体的な導入計画は決まっていないとの認識を示した。
また、実証実験の結果をいつまでに集計するのか、結果を市のホームページなどで公表するのかについても、現時点で決定していないという。
結果の公表方法については、今後、庁内で相談しながら検討するとの説明だった。
現段階では、全市導入の時期だけでなく、実証実験の結果を市民がいつ確認できるようになるのかについても見通しは示されていない。
【考察】ごみ戸別収集の焦点は「利便性」と「収集コスト」の両立
今回の取材で明らかになったのは、豊橋市が戸別収集への移行を決定したわけではなく、今後の収集方式を検討する段階にあるということだ。
戸別収集には、ごみ集積所まで運ぶ負担を軽減できる可能性がある。特に、高齢者や身体的な理由でごみ出しが難しい人にとっては、利便性の向上につながることが考えられる。
一方、住宅ごとに回収する方式では、収集時間や車両の運行、人員配置などが従来と変わる可能性がある。
そのため、住民の負担軽減だけでなく、行政サービスとして継続できる費用水準かどうかも重要になる。
さらに、今回の実証実験では約300軒のうち約150軒が協力したとされるが、参加しなかった世帯の理由については、今回の取材では確認できていない。
参加率だけで住民の賛否を判断することはできず、参加・不参加の理由を把握することも今後の検討材料になるだろう。
今後の注目点は実験結果の公表 市民負担への影響も焦点に
豊橋市の戸別収集実証実験は終了したものの、その効果や課題については、まだ具体的な結果が示されていない。
今後は、収集時間や作業効率の比較、必要な車両・人員、年間経費、住民の意見などをどこまで明らかにできるかが焦点となる。
特に、全市導入を検討する際には、利便性の向上と費用負担のバランスについて、市民に分かりやすい説明が求められる。
週刊TAKAPIでは、今後も実証実験の集計状況や結果の公表、戸別収集の導入方針について継続して取材していく。
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