愛知県が2026年10月30日に公表した2025年国勢調査の人口等基本集計で、豊根村、東栄町、設楽町の高齢化率がいずれも50%を超え、県内54市町村の上位3位を占めたことが分かった。豊根村は56.5%で県内最高、東栄町は53.0%、設楽町は50.7%だった。県全体の25.8%を大きく上回り、奥三河では住民の2人に1人以上が65歳以上という人口構成が続いている。
ただし、3町村が高齢化率50%を超えたのは今回が初めてではない。2020年国勢調査でも、豊根村52.4%、設楽町51.2%、東栄町50.8%と、いずれも過半数に達していた。今回の調査では豊根村と東栄町で割合が上昇した一方、設楽町ではわずかに低下しており、同じ奥三河でも人口構成の変化には違いが見られる。
豊根村56.5%で県内最高 東栄町と設楽町が続く
愛知県の集計によると、2025年10月1日時点の豊根村の人口は835人で、このうち65歳以上は472人だった。東栄町では総人口2477人のうち1312人、設楽町では3927人のうち1992人が65歳以上となっている。
3町村を合わせた人口は7239人で、65歳以上は3776人。高齢化率は52.2%に達した。これに対して15歳未満は511人、15~64歳は2952人で、3町村の合計では65歳以上の人口が生産年齢人口を824人上回った。
この数字は、地域の人口構成が高齢者に大きく偏っていることを示している。ただし、65歳以上の人がすべて介護や生活支援を必要としているわけではなく、行政サービスの需要を判断するには健康状態や世帯構成なども確認する必要がある。
2020年との比較では設楽町が0.5ポイント低下
5年前の国勢調査と比較すると、3町村の高齢化率は一様に上昇しているわけではない。
豊根村は52.4%から56.5%へ4.1ポイント、東栄町は50.8%から53.0%へ2.2ポイント上昇した。一方、設楽町は51.2%から50.7%へ0.5ポイント低下している。
県内順位も変わった。2020年は豊根村、設楽町、東栄町の順だったが、2025年には東栄町が設楽町を上回り、2位と3位が入れ替わった。
高齢化率は65歳以上の人口だけでなく、若年層や生産年齢人口の増減によっても変化する。割合の上昇を高齢者の実人数の増加と同一視することはできない。今回の結果を詳しく評価するには、各年代の人口が5年間でどのように変わったのかを併せて確認する必要がある。
新城市も39.1%で県内5位 東三河8市町村すべて県平均超え
東三河の高齢化は北設楽郡3町村に限らない。新城市は39.1%で県内5位となり、県内上位5市町村のうち4自治体が東三河に集中した。
愛知県が公表した東三河8市町村の65歳以上人口と割合は次のとおり。
| 市町村 | 65歳以上人口 | 高齢化率 |
|---|---|---|
| 豊橋市 | 98,396人 | 27.4% |
| 豊川市 | 49,161人 | 26.9% |
| 蒲郡市 | 22,883人 | 30.5% |
| 新城市 | 15,903人 | 39.1% |
| 田原市 | 17,359人 | 30.7% |
| 設楽町 | 1,992人 | 50.7% |
| 東栄町 | 1,312人 | 53.0% |
| 豊根村 | 472人 | 56.5% |
8市町村の65歳以上人口を合計すると20万7478人となり、東三河の総人口72万1502人に占める割合は28.8%だった。県平均の25.8%を3.0ポイント上回る。
豊橋市や豊川市では高齢化率が30%未満にとどまるものの、65歳以上の人口はそれぞれ約9万8000人、約4万9000人に上る。奥三河では高齢化率の高さが、豊橋・豊川では高齢者の人口規模が、それぞれ行政サービスを考えるうえで重要となる。
豊橋市の一人暮らし高齢者1万8335人 東栄町は22.6%
今回の集計では、高齢者の世帯構成も明らかになった。
豊橋市の一人暮らし高齢者は1万8335人で、男性7110人、女性1万1225人だった。65歳以上人口の18.6%を占めている。
豊川市は8599人、蒲郡市4111人、新城市2287人、田原市2123人となった。
奥三河3町村では設楽町が388人、東栄町が297人、豊根村が85人で、合計770人だった。65歳以上人口に占める割合は、設楽町19.5%、東栄町22.6%、豊根村18.0%となっている。
特に東栄町の22.6%は、県平均の21.0%を上回った。
国勢調査でいう一人暮らし高齢者は、65歳以上の人が一般世帯で単身生活を送っている場合を指す。介護施設などに入所している人とは統計上の扱いが異なり、単身生活であることだけをもって、生活支援が必要な状態と判断することはできない。
奥三河の生活基盤 医療・介護・交通をどう維持するか
住民の半数以上が65歳以上となっている奥三河では、医療機関への通院、介護サービスの利用、買い物など、日常生活を支える仕組みの維持が課題となる。
東三河8市町村の介護保険事業を担う東三河広域連合は、2024年度から2026年度までの第9期介護保険事業計画で、住み慣れた地域で安心して暮らせる環境づくりや、介護サービスの提供体制の充実を基本目標に掲げている。
また、北設楽郡3町村では共同の公共交通システム「おでかけ北設」を運行しており、町村間を結ぶ基幹バスや予約制の交通サービスなどを組み合わせている。人口規模が小さく、住民の居住地域も分散している山間部では、こうした交通網を維持できるかどうかが、通院や買い物などの生活環境にも関わる。
ただし、高齢化率が50%を超えたことだけで、病院の病床数や介護施設の定員、バスの運行本数が不足していると結論付けることはできない。今後は、今回の国勢調査結果を介護保険事業計画や地域公共交通計画、実際の利用状況と照らし合わせることが求められる。
9月の人口減少記事とは異なる新たな年齢別集計
愛知県は9月29日、2025年国勢調査の人口確定値を公表している。週刊TAKAPIは翌30日、東三河8市町村の人口が72万1502人となり、2020年から2万6728人、3.6%減少したことを報じた。
今回の10月30日の公表では、総人口だけでなく、年齢別人口や一人暮らし高齢者などの詳細が明らかになった。人口がどれだけ減少したかという情報に加え、地域で暮らす住民の年齢構成を具体的に把握できる新たな資料となる。
2020年の時点ですでに高齢化率50%を超えていた奥三河3町村では、今回もその状態が続いていた。今後は人口減少の規模だけでなく、行政サービスを維持するための人員や財源、実際の利用需要について、各自治体の計画と照合する必要がある。
編集部まとめ
愛知県が10月30日に公表した2025年国勢調査の年齢別人口で、豊根村56.5%、東栄町53.0%、設楽町50.7%と、奥三河3町村が県内高齢化率の上位3位を占めた。3町村は2020年も50%を超えており、今回の比較では豊根村と東栄町で割合が上昇する一方、設楽町は低下した。新城市も39.1%で県内5位となった。東三河全体の65歳以上人口は約20万7000人に上り、地域ごとの人口構成を踏まえた医療・介護・交通政策が今後の課題となる。
特記事項
本記事は愛知県が2026年10月30日に公表した2025年国勢調査の人口等基本集計、2020年国勢調査の公式結果、東三河広域連合の介護保険事業計画などを基に構成した。2025年の数値は同年10月1日時点の確定値であり、2026年10月現在の推計人口ではない。
週刊TAKAPI編集部/黒木
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