豊橋市が運営する空き家バンクに、制度開始から現在までに77件の物件が登録され、このうち57件で売却や賃貸契約、譲渡が成立していることが、週刊TAKAPIの取材で分かった。一方、現在も登録が続く物件の中には、平成29年(2017年)から約9年間にわたって成約に至っていない物件もあるという。
市は「成約率」という形での集計は行っておらず、契約成立の把握は不動産業者や所有者からの報告が基本。空き家バンクが始まった当初と比べ、近年の新規登録件数は年間1桁台で推移している。
豊橋市の空き家バンク、累計77件を登録
豊橋市によると、空き家バンクは平成27年(2015年)から開始した。
制度開始から現在までの累計登録件数は77件。
このうち市が契約・譲渡の成立を把握しているのは57件で、内訳は、
- 売却:32件
- 賃貸:24件
- 譲渡:1件
- 合計:57件
となっている。
単純計算すると、累計登録77件のうち約74%で売却、賃貸または譲渡が成立したことになる。
ただし、豊橋市は「成約率」という指標自体を集計していない。この約74%という数字は、今回市から回答があった累計登録件数と成立件数をもとに週刊TAKAPI編集部が単純計算したもので、市が公式に公表している「成約率」ではない。
2026年度は新規登録4件 成約は「少なくとも1件」
今年度(2026年度)に新たに登録された物件は、取材時点で4件。
成約について市の担当者は、年度途中で正式な集計が完了していないとした上で、「少なくとも1件は成約があった」と説明した。
この1件については、今年度に新規登録されてすぐ成約したものではなく、以前から空き家バンクに登録されていた物件だという。
具体的にいつ登録された物件なのかについては、取材時点では確認できなかった。
昨年度(2025年度)は新規登録8件、成約2件だった。
今年度はまだ途中のため単純比較はできないものの、市によると、近年は登録件数、成約件数とも大きく増加している状況ではないという。
登録最多は2017年の16件 令和以降は1桁台
制度開始当初は年間10件を超える新規登録があった。
最も多かったのは平成29年(2017年)の16件。
一方、担当者によると、令和に入ってから年間の新規登録件数は1桁台で推移している。成約件数についても年間1桁台が続いているという。
2025年度の新規登録は8件、2026年度は取材時点で4件だった。
制度開始から10年以上が経過する中、累計では77件まで登録が積み上がった一方、近年は年間の新規登録が制度初期のピークを下回る状況が続いていることになる。
最も古い未成約物件は2017年登録
今回の取材でもう一つ明らかになったのが、長期間成約に至っていない物件の存在だ。
現在も残っている物件のうち、登録から1年以上経過しているものについて尋ねると、市の担当者は「ほぼほぼそう」と説明した。
正確な件数については今回の取材では確認できなかったが、最も古いものは平成29年(2017年)に登録された物件だという。
2026年時点で約9年になる。
空き家バンクに掲載すれば、必ず短期間で買い手や借り手が見つかるわけではない実態もうかがえる。
なお、累計登録77件から契約・譲渡成立57件を差し引くと20件となるが、登録後に取り下げられた物件などの扱いを今回の取材では確認できていない。このため、「現在募集中の物件が20件」とは断定できない。
なぜ長期間売れない? 市は個別の理由を把握せず
では、なぜ長期間にわたって成約しない物件があるのか。
市の担当者によると、残っている物件が成約に至らない個別の理由については把握していないという。
また、長期間成約しない物件の所有者に対し、市から個別に働きかけるところまでは行っていない。
一方、市では空き家対策として複数の支援を用意している。
例えば、空き家を解体することになった場合には利用できる補助制度があるほか、最近では無料の相談窓口も開設した。
相談窓口は業者に委託しており、空き家に関する問題を抱える人に寄り添いながら、解決方法を一緒に考える仕組みだという。
「成約したのに市が知らない」可能性も
空き家バンクの数字を見る上では、もう一つ注意すべき点がある。
市が成約を把握する仕組みだ。
担当者によると、物件の売却や賃貸契約が成立した場合、不動産業者や所有者本人から市に報告が入り、それをもとに成約件数を把握している。
そのため、報告がなければ、実際には売却や賃貸契約が成立していても、市のデータ上は把握できていないケースが存在する可能性があるという。
担当者も、その可能性について「あるにはあります」と説明した。
ただし、基本的には所有者らから適切に報告を受けているとしている。
つまり今回確認された57件は、市が報告などによって成立を把握している件数という位置付けになる。
登録そのもののハードルは「大きな条件はない」
一方、空き家をバンクに登録する際の条件について、市は「今のところ大きな条件はない」と説明する。
建物の状態や権利関係などを理由に登録を希望しても断られるケースが多くあるのか尋ねたところ、担当者は「却下ということは基本的にしていない」と回答した。
制度開始以降の累計77件についても、実際に空き家バンクへ登録された物件の数字だという。
登録77件、成立57件 数字の先にある課題
豊橋市の空き家バンクでは、2015年の制度開始から約11年間で77件が登録され、売却32件、賃貸24件、譲渡1件の計57件が成立した。
単純計算では登録件数の約74%に相当する。
一方で、市は成約率としての集計をしておらず、成約の把握も所有者や不動産業者からの報告が基本だ。
さらに、2017年から登録が続いている物件もある。
空き家バンクを評価するには「何件登録されたか」「何件成約したか」だけでなく、長期間成約しない物件がなぜ残っているのか、その後どう活用につなげるのかという視点も必要になりそうだ。
豊橋市では無料相談窓口や解体に関する支援などを実施している。今後は、こうした支援が長期間活用されていない空き家の解消にどの程度つながるのかも注目される。
Q&A|豊橋市の空き家バンク
空き家バンクに登録しても売れないことはありますか?
あります。今回の市への取材では、最も古いものでは2017年に登録された物件が現在も残っているとの回答がありました。
空き家バンクの成約は市がすべて把握していますか?
売却や賃貸が決まった際、不動産業者や所有者から市への報告をもとに把握しています。市によると、報告がなければ把握できていない可能性はあるものの、基本的には適切に報告されているということです。
豊橋市は空き家バンクの成約率を公表していますか?
市として「成約率」は集計していません。今回の取材では累計登録77件、売却・賃貸・譲渡の成立57件との回答があり、単純計算では約74%となりますが、市の公式な成約率ではありません。
特記事項
※記事中の「約74%」は市の公式な成約率ではなく、累計登録77件と成立57件から編集部が単純計算した参考値です。また、77件は制度開始からの累計であり、現在の募集件数ではありません。成立57件の内訳は、豊橋市 空き家バンク担当部署への電話取材に基づいています。
週刊TAKAPI編集部:黒木

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