浜松湖西豊橋道路、環境意見118件 専門部会が住民不安への説明を要求 15日公聴会、申出は6日まで

浜松湖西豊橋道路の環境影響評価に118項目の意見が寄せられた問題を伝える週刊TAKAPIの報道アイキャッチ。写真は公聴会会場となる愛知県東三河総合庁舎

浜松市の東名高速道路・三ヶ日ジャンクションと愛知県豊橋市の三河港を結ぶ「浜松湖西豊橋道路」の整備計画を巡り、愛知県が環境影響評価に関する公聴会を11月15日に開催する予定だ。意見を述べるための申出期限は11月6日。希望者がいなければ公聴会は開かれない。

県の公表資料を確認すると、環境影響評価準備書に対して17通の意見書が提出され、県は意見の概要を118件に整理していた。10月8日の専門部会では、住民の不安に対する行政の説明が十分かどうかについて、委員から具体的な指摘が出ている。

約28キロの自動車専用道路を整備する計画は、地域の物流や防災への効果が期待される一方、沿線の生活環境にどのような変化をもたらすのか。公聴会を前に、整備の必要性と環境保全の両面から議論が続いている。

環境影響評価準備書に意見書17通、118件に整理

浜松湖西豊橋道路は、東三河と静岡県西部を結ぶ延長約28キロ、4車線の自動車専用道路として計画されている。

愛知県は2026年6月19日から7月21日まで環境影響評価準備書を縦覧に供し、8月4日まで意見書を受け付けた。

県が10月8日の専門部会に提出した資料によると、環境保全の観点から17通の意見書が寄せられ、意見の概要は118件に整理された。

内訳は、事業の目的や内容に関する意見が28件、環境影響評価の手法に関する意見が41件、方法書に関する意見が44件など。この118件には、都市計画案に対する意見のうち環境影響評価に関するものとみなして整理した13件も含まれている。

したがって、118人から意見が寄せられたという意味ではない。

意見には、騒音や振動、排気ガスによる生活環境への影響、交通量の変化、農地や自然環境への影響などを懸念するものがあった。計画ルートの再検討や、環境調査の充実を求める声も含まれている。

専門部会長が「回答の先送り」と受け取られる懸念を指摘

10月8日に開かれた愛知県都市計画審議会の環境影響評価調査専門部会では、住民意見に対する県の見解案が審議された。

議事要旨によると、加藤博和部会長は、事業実施段階で対応するとした県の説明について、住民からは回答を先送りしていると受け取られる可能性があると指摘した。

道路が実際に建設される段階で問題に気づいても、元に戻せないのではないか。意見を寄せた住民には、そうした不安があるのではないかという趣旨の発言だった。

加藤部会長は、豊橋市の雲谷地区についても言及した。現在の環境が静かな地域では、将来の騒音が環境基準を下回るとしても、現状より悪化すること自体を懸念する住民がいるとの見方を示し、住民の立場に寄り添った説明への修正を求めた。

これに対し県側は、環境基準などを満たすという評価にとどまらず、事業実施段階でも環境負荷の回避・低減に努めると説明した。

基準を満たしていることと、地域住民が環境の変化を受け入れられることは、必ずしも同じではない。今回の審議では、その点が具体的な論点として示された。

工事車両と建設機械、大気質予測にも疑問

専門部会では、大気質の予測方法についても複数の指摘があった。

北田委員は、建設機械の稼働と工事用車両の運行がそれぞれ予測・評価されていることについて、実際の工事現場では両者が同時に動くため、影響を重ね合わせた評価が必要ではないかと指摘した。

また、高架区間の近くや地形に高低差がある場所について、地上1.5メートルという一律の予測高さで周辺環境を十分に評価できるのかという疑問も示した。

県側は、予測・評価は技術的な手法に基づいて実施していると説明したうえで、工事段階には作業の重複を確認し、必要に応じて対策を検討するとの考えを示した。

梶田委員からは、予測していなかった環境問題や健康への影響が発生した場合の対応についても質問が出た。

県側は、現段階の予測結果は環境基準などを下回っていると説明し、想定外の環境保全上の問題が生じた場合には、詳細な調査を行い、必要に応じて対策を実施すると回答している。

豊橋市議会は6月に早期実現を求める意見書

道路整備を巡っては、豊橋市議会も公式に立場を示している。

市議会は2026年6月19日、「浜松湖西豊橋道路の早期実現を求める意見書」を原案可決した。

意見書では、この道路を東名・新東名高速道路、三遠南信自動車道、国道23号名豊道路などと一体となる広域道路ネットワークの重要な路線と位置付け、物流機能の向上、産業競争力の強化、災害時の輸送機能などを理由に早期実現を求めている。

国や両県に対して、都市計画と環境影響評価の手続きを進めるよう要望した。

一方、環境影響評価に寄せられた意見には、生活環境の悪化やルート選定の妥当性に疑問を示すものもある。

市議会による早期整備の要望と、住民から寄せられた環境上の懸念は、別々に把握する必要がある。市議会の意見書が可決されたからといって、環境影響評価の結論が出たわけではない。

公聴会は11月15日、申出なければ開催せず

今回の公聴会は11月15日午後1時から、豊橋市八町通5丁目4番地の愛知県東三河総合庁舎2階大会議室で開催される予定だ。

公述を希望する人は、氏名、住所、連絡先、対象となる準備書の名称、環境保全の観点からの意見と理由を、日本語800字以内で記載した書面を県へ提出する必要がある。

期限は11月6日。郵送の場合は同日必着となる。

公述人は最大18人で、1人当たりの発言時間は10分以内。申出が多数の場合は抽選となる。傍聴定員は50人で、当日午後0時30分から先着順で受け付ける。

公述希望者がいない場合、公聴会は開催されず、県は11月12日ごろに中止を発表する予定としている。

なお、2026年3月1日には都市計画原案に関する公聴会が別途開かれている。11月15日に予定されているのは環境影響評価準備書について意見を聴く手続きであり、両者は異なる。

編集部まとめ

浜松湖西豊橋道路の整備は、東三河と静岡県西部の交通・物流網に関わる大型事業だ。

今回の資料で明らかになったのは、道路整備の是非だけでなく、計画を進める過程で住民の懸念にどう答えるのかという課題である。

専門部会が指摘したのは、環境基準への適合だけでは説明しきれない地域の不安だった。

11月6日の公述申出期限を前に、住民がどのような意見を届け、県がそれにどう向き合うのかが問われる。

特記事項

本記事は2026年11月3日までに公表された愛知県の環境影響評価資料、10月8日の専門部会議事要旨、豊橋市議会の2026年6月定例会議決結果・意見書を基に構成した。

環境意見118件は県が整理した意見の項目数であり、提出者数ではない。11月2日の愛知県環境影響評価審査会部会については、開催案内を確認したが、具体的な審議結果は確認できていない。

Q浜松湖西豊橋道路はどこを結ぶ計画ですか?
A浜松市の三ヶ日ジャンクションと豊橋市の三河港を結ぶ、延長約28キロの自動車専用道路です。
Q意見118件とは118人が反対しているということですか?
Aいいえ。県が意見書17通などの内容を分類した118項目であり、反対者118人という意味ではありません。
Q公聴会はいつですか?
A11月15日午後1時から、豊橋市の愛知県東三河総合庁舎で予定されています。
Q意見を述べるにはどうすればよいですか?
A11月6日までに必要事項を記載した書面を県へ提出します。郵送は必着です。
Q公聴会が終われば道路建設が正式決定しますか?
Aいいえ。公聴会は環境影響評価に関する手続きの一つであり、道路建設の最終決定ではありません。

週刊TAKAPI編集部/一条

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