全東信の破産で政府が飲食店などを支援 全国378カ所に相談窓口、資金繰り対策を強化

クレジットカード決済代行を手がける「全東信」が破産手続きに入った問題を受け、政府は、売上金の未入金などで影響を受ける中小企業・小規模事業者への支援に乗り出した。

経済産業省は10日、政府系金融機関など全国378カ所に特別相談窓口を設置すると発表。日本政策金融公庫などによるセーフティネット貸付についても、売上高の減少要件を柔軟に運用し、資金繰りを支援する。 

赤沢経済産業大臣は、事業者の資金繰りや事業継続への影響を抑えるため、対応に万全を期す考えを示した。

カード売上が入金されない店舗も

全東信は、飲食店などで発生したクレジットカードの売上金を、契約店舗へ入金する決済代行サービスを提供していた。

しかし、同社の破産手続き開始により、加盟店では、すでに利用客がカード決済を済ませているにもかかわらず、売上金が店舗側へ入金されないケースが相次いでいる。

日本飲食団体連合会は加盟店に対し、全東信の決済端末の使用を停止し、最後の入金日以降に発生した未入金額を確認するよう注意を呼びかけている。未入金分については、破産手続きの中で債権届出が必要になる可能性がある。 

飲食店にとってカード売上は、食材の仕入れ代や従業員の給与、家賃などを支払うための重要な資金だ。

売上自体は発生しているのに現金が入らない状態が続けば、黒字の店舗でも資金繰りが急速に悪化するおそれがある。

政府系金融機関など全国378カ所に相談窓口

政府は、全東信の破産で影響を受けた事業者を対象に、全国378カ所へ特別相談窓口を設置する。

対象となるのは、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所など。

相談窓口では、未入金によって資金繰りが厳しくなった事業者からの融資相談や、経営継続に必要な支援の案内などを行う。 

セーフティネット貸付の要件も緩和

今回の支援では、日本政策金融公庫などが実施する「セーフティネット貸付」の運用も柔軟化される。

通常、セーフティネット貸付では売上や利益の減少など一定の要件が確認されるが、全東信の破産による一時的な未入金などを踏まえ、数値上の要件を満たしていない事業者についても、今後の影響が見込まれる場合は対象とする。

ただし、相談した事業者が自動的に融資を受けられるわけではなく、個別の審査が行われる。

また、大型倒産事業者に売掛金債権を持つ中小企業を支援する「セーフティネット保証1号」には、一般の保証枠とは別枠で資金調達を支える仕組みがある。指定の有無や利用条件については、自治体や信用保証協会への確認が必要となる。 

東京スター銀行にも影響

全東信の破産は、加盟店だけでなく、融資を行っていた金融機関にも影響を広げている。

東京スター銀行は、全東信への貸出残高が破産手続き開始時点で80億円あり、このうち担保などで保全されていない40億円について、取り立て不能または遅延のおそれが生じたと公表した。同行は必要な引当処理を行うとしている。 

全東信の債権者には多数の金融機関が含まれているとされ、今後、ほかの金融機関でも貸倒引当金の計上などが続く可能性がある。 

店舗側が今すぐ確認すべきこと

全東信と契約していた店舗では、まず同社の端末による新たな決済を停止し、未入金額を確定させる必要がある。

確認するのは、最後に入金された日、それ以降に行われたカード決済の件数と金額、全東信との契約書、入金明細などだ。

代替の決済サービスを早急に確保するとともに、未入金によって仕入れや給与の支払いに影響が出る場合は、政府の相談窓口や取引金融機関へ早めに相談することが重要となる。 

編集部まとめ

全東信の破産により、飲食店などでは、カード決済済みの売上金が入金されない問題が発生している。

政府は、影響を受ける中小企業や小規模事業者を支援するため、全国378カ所に特別相談窓口を設置。セーフティネット貸付の要件も柔軟に運用する。

一方、東京スター銀行では全東信への貸出残高80億円のうち、40億円について回収不能や遅延のおそれが生じている。

今後は、加盟店の未入金額がどこまで膨らむのか、店舗の連鎖的な資金繰り悪化を防げるのか、金融機関への影響がどこまで広がるのかが焦点となる。

編集部コメント

今回の問題で最も深刻なのは、飲食店側がサービスを提供し、売上も発生しているにもかかわらず、その代金を受け取れないことだ。

店舗に責任がなくても、決済代行会社の破綻によって、仕入れ代や給与、家賃を支払えなくなる可能性がある。

政府による相談窓口や融資支援は必要だが、融資は返済が必要な資金でもある。未入金分そのものが回収できるかとは別の問題だ。

加盟店への影響を一時的な資金繰り支援だけで終わらせず、未入金の規模、債権回収の見通し、決済代行業者への監督や取引構造に問題がなかったのかも検証する必要がある。

特記事項: 本記事は、経済産業省、関係団体、金融機関の公表資料および各社報道をもとに週刊TAKAPI編集部が整理・構成しました。融資や保証には個別審査があり、相談や申請によって利用が保証されるものではありません。

Q全東信の破産で何が起きているのですか?
A全東信と契約していた飲食店などで、客がクレジットカードで支払った売上金が、店舗へ入金されないケースが発生しています。
Q政府はどのような支援を行いますか?
A政府系金融機関など全国378カ所に特別相談窓口を設置し、セーフティネット貸付の要件を柔軟化して、影響を受けた中小企業や小規模事業者の資金繰りを支援します。
Q全東信と契約していた店舗は何を確認すべきですか?
A全東信の端末の使用を停止し、最後の入金日、それ以降のカード売上、未入金額、契約書や入金明細を確認する必要があります。
Q未入金の売上金はすぐに返ってきますか?
Aすぐに全額回収できるとは限りません。未入金分は破産手続きの中で債権として届け出、配当を待つことになる可能性があります。
Qセーフティネット貸付を申し込めば必ず借りられますか?
Aいいえ。要件は柔軟化されますが、金融機関による個別審査があり、融資が必ず認められるわけではありません。
Q東京スター銀行にはどのような影響がありますか?
A全東信への貸出残高80億円のうち、担保などで保全されていない40億円について、取り立て不能または遅延のおそれがあるとしています。
Q今後の焦点は何ですか?
A加盟店の未入金総額、破産手続きでの回収見通し、店舗の資金繰り、金融機関への損失拡大、決済代行業界の監督体制などが焦点となります。
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