2026年8月31日に予定されている次回公判を前に、6月10日の初公判で明らかになった内容を再掲載する。
三重県亀山市の新名神高速道路で大型トラックが車列に追突し、家族5人を含む6人が死亡した事故。自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪に問われた元トラック運転手・水谷水都代被告(54)の初公判が6月10日、津地裁で開かれた。
水谷被告は、裁判官から起訴内容に間違いがないか問われ、これを認めた。弁護側も起訴内容を争わない姿勢を示している。
TikTokの料理動画をスクリーンショット
事故が発生したのは、3月20日午前2時20分ごろ。場所は新名神高速道路下り線、野登トンネル出口付近だった。
検察側の冒頭陳述によると、水谷被告はスマートフォンをダッシュボード付近に固定し、TikTokの料理動画を見ながら大型トラックを運転していたとされる。
事故直前には、動画のスクリーンショットを撮ろうとしたものの一度失敗。再び撮影しようとして、約13秒間にわたり前方を十分に確認していなかったという。
時速約82キロで走行していた場合、13秒間に進む距離は単純計算で約296メートルになる。
検察側は、水谷被告が普段から運転中にスマートフォンを見ることがあり、「ながら運転」が常態化していた可能性も指摘した。
前を見ていれば約121メートル手前で確認できた
現場では道路工事による渋滞が発生していた。車列の後方にいたミニバンは、ハザードランプを点灯させて停止していたという。
検察側は、水谷被告が前方を確認していれば、遅くとも約121メートル手前で停止車両を認識できたと主張した。
しかし、トラックは制限速度を超える時速約82キロで車列に接近。そのまま停止車両に追突し、複数の車両を巻き込む事故となった。ミニバンなどが炎上し、6人が命を落とした。
家族5人と帰省途中の男性が死亡
亡くなったのは、静岡県袋井市の松本幸司さん(45)、妻の恵梨子さん(42)、長女の莉桜さん(11)、長男の壮真さん(8)、次女の彩那さん(5)の一家5人。
さらに、埼玉県草加市の高峰啓三さん(56)も死亡した。
大型トラックの衝突によって、家族で過ごすはずだった休日と、それぞれの未来が突然奪われた。
遺族「単なる事故ではない」
初公判では、遺族が亡くなった家族の遺影を抱き、被告の言葉を聞いた。
遺族からは「単なる事故ではない」「自動車を使った殺人だと思っている」といった厳しい声も上がっている。これは遺族の受け止めであり、今回の裁判で問われている法的な罪名は過失致死だ。
その一方で、運転中に動画を見ていたとされる行為や、約13秒間の前方不注視、制限速度を超えた走行を「一瞬の不注意」と呼べるのか。遺族が抱える疑問は重い。
スマートフォンを操作しながらの運転に対し、より厳しい処罰や制度の見直しを求める声も示されている。
次回公判は8月31日
次回公判は8月31日に予定され、水谷被告に対する被告人質問が行われる見通しだ。
運転中にスマートフォンを見る行為がどこまで常態化していたのか。なぜ動画の視聴をやめられなかったのか。そして、6人の命が失われた結果を現在どのように受け止めているのか。
今後の審理では、事故に至った経緯に加え、被告の認識や反省、遺族の処罰感情などが量刑判断の重要な材料になるとみられる。
週刊TAKAPI編集部/成田
※本稿は2026年6月10日の初公判内容を、次回公判を前に再掲載したものです。検察側の主張は、今後の審理によって判断されます。
13秒の前方不注視が突きつけたもの
新名神高速道路で家族5人を含む6人が死亡した追突事故で、被告は初公判で起訴内容を認めた。検察側は、TikTokの料理動画を見ながらスクリーンショットを撮ろうとして約13秒間前方を十分に確認せず、時速約82キロで停止車列に接近したと主張している。次回公判は8月31日に予定され、運転中のスマートフォン使用がどこまで常態化していたのかが注目される。
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