愛知県豊橋市の普門寺で7月20日、夏の風物詩「ほうろく灸」が行われた。
参拝者の頭にのっているのは、素焼きの平たい皿。その上では、もぐさが静かに煙を上げている。一見すると驚く光景だが、境内を包んでいたのは、夏の健康を願う穏やかな祈りだった。
頭に伝わる、じんわりとした熱
ほうろく灸は、「ほうろく」と呼ばれる素焼きの皿を頭にのせ、その上でもぐさを焚いて祈祷を受ける伝統行事だ。
読経が響く中、参加者は姿勢を整え、皿から伝わる熱を感じながら手を合わせる。普門寺では、夏病み防止や無病息災、身体堅固、福寿円満などを祈願している。
20日朝から地元住民らが訪れ、頭の上から立ち上る白い煙に包まれながら、この夏を元気に乗り切れるよう祈りをささげた。
参加者からは「頭がポカポカして気持ちいい」「毎年恒例で来ています」といった声も聞かれた。
見た目は豪快、境内は穏やか
頭の上でお灸を据えるため、初めて見る人には少し熱そうにも映る。
しかし、ほうろくを通して伝わる熱はじんわりとしており、参加者は落ち着いた表情。もぐさの香りと住職の読経が重なり、境内には夏の日差しとは対照的な、静かな時間が流れた。
医療行為として効果をうたうものではなく、暑さが厳しくなる時期に健康を願う祈祷として、長年受け継がれてきた行事だ。
土用の丑の日は、うなぎだけではない
「土用の丑の日」と聞けば、うなぎを思い浮かべる人が多いだろう。しかし寺院では、暑気払いや無病息災を願う行事が各地で行われている。
普門寺のほうろく灸も、その一つ。冷たいものを口にする機会が増える夏に、あえて体を温め、健やかな日々を願う。昔から続く日本人の夏の過ごし方が、そこに残されている。
同寺では、土用の丑の日にあたる7月26日にも、午前10時から午後3時まで30分ごとに祈祷を行う予定。事前予約は不要で、最終受付は午後2時30分。祈祷料は1000円となっている。
普門寺の公式案内
頭にお皿をのせ、その上から立ち上るひと筋の煙。
少し不思議で、どこか懐かしい。豊橋の寺では今年も、厳しい夏を無事に越えたいという人々の願いが、静かに空へ昇っていた。
週刊TAKAPI編集部/成田
頭の上から夏を整える、豊橋に残る祈り
愛知県豊橋市の普門寺で7月20日、素焼きの皿を頭にのせ、その上でもぐさを焚く「ほうろく灸」が行われた。参拝者は読経を聞きながら、夏病み防止や無病息災を祈願。次回は土用の丑の日にあたる7月26日に行われ、予約不要、祈祷料1000円で受けられる。
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