2024年5月、愛知県犬山市で当時小学1年の女児が死亡した事件をめぐり、愛知県が設置した第三者委員会は8月6日、児童相談所や保育園などの対応を検証した報告書を公表した。
報告書は、女児が保護者の意向に左右されず、自らの言葉で状況を説明できる環境を確保する必要があったと指摘。児童相談所や保育園が女児と接する際の聞き取り方法や、関係機関の情報共有に課題があったと整理した。
母親同席の身体確認、発言の自発性に疑問
報告書によると、保育園で女児の身体を確認した際、母親が同席していた。このため、女児が家庭内の状況や自らの被害について、周囲を気にせず発言できる状態ではなかった可能性があるとした。
児童相談所が行った面談についても、女児が大人の意向を察し、実際の状況とは異なる良好な母子関係を演じていた可能性を指摘した。
子どもが虐待について否定したり、家庭に戻りたいと話したりした場合でも、その言葉だけで安全と判断せず、面談時の環境や表情、身体状況、過去の経緯を含めて総合的に評価する必要があるとしている。
一時保護解除後も傷やあざを確認
犬山市が先に公表した内部検証報告書では、女児は過去に傷やあざが繰り返し確認され、児童相談所による一時保護を2度受けていた。一時保護が解除され、在宅支援に移行した後も、傷やあざが継続して確認されていたと整理されている。
今回の第三者委員会は、児童相談所の職員や小学校の教員ら計29人に聞き取りを行い、女児が死亡するまでの対応を検証した。
報告書は、保育園が女児のあざを児童相談所や犬山市に伝えていたものの、その後の対応が十分ではなかったと指摘。児童相談所、市、保育園、学校などが上下関係ではなく、対等な立場で情報や懸念を伝え合う体制が必要だと提言した。地元報道では、委員会が対応のあり方によっては死亡を防げた可能性にも言及したと伝えられている。
愛知県の担当者は、報告書の内容を重く受け止め、児童相談所とも協議を深めながら再発防止に生かしたいとしている。
編集部まとめ
今回の検証で浮かび上がったのは、子どもへの面談を実施したという事実だけでは、安全確認として十分ではないという問題だ。
保護者が近くにいる状況や、子どもが大人の期待する回答を察してしまう環境では、深刻な被害が言葉として表れないことがある。傷やあざ、過去の一時保護、関係機関から寄せられた情報を個別に処理するのではなく、一つのリスクとして統合し、保護解除後も継続的に安全性を検証する仕組みが求められる。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
報道内容、愛知県の検証に関する公表情報および犬山市の内部検証資料を基に再構成しました。事件に関係する人物の刑事責任は、今後の裁判手続きによって判断されます。被害児童のプライバシーに配慮し、氏名は掲載していません。
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