【京都】重度障害の男性を2時間半放置しパチンコへ 訪問ヘルパーの「中抜け」を市が虐待認定

京都市で重度心身障害の男性を約2時間半放置しパチンコ店に戻った訪問ヘルパーを市が虐待認定

京都市内で2026年2月下旬、重度の心身障害がある1人暮らしの男性を介助していた男性ヘルパーが、勤務中に約2時間半にわたって自宅を離れ、パチンコ店に戻っていたことが分かった。

男性はヘルパーが不在の間に1人で自宅を出て、近くの道路をはうようにして横断しようとしていたところを通行人に発見され、警察に保護された。

京都市は4月、ヘルパーによる一連の行為を障害者虐待防止法に基づく「放棄・放置(ネグレクト)」と「心理的虐待」に認定した。市によると、訪問介護中のいわゆる「中抜け」を虐待と認定したのは初めてという。

「当たり」が出たパチンコ台を確保したまま利用者宅へ

男性ヘルパーは事故当日、重度心身障害のある男性の自宅で介助を担当していた。

男性は自力で歩くことが難しく、自分の考えを言葉で伝えることにも大きな困難があるという。

ヘルパーは市などへの説明で、介助に向かう前にパチンコをしており、「当たり」が出たため台を確保した状態で男性宅へ向かったとしている。

その後、男性宅に到着したものの、すぐにタクシーでパチンコ店へ戻ったという。

本来、利用者の安全を確保するために介助を続ける時間帯だったが、ヘルパーは約2時間半にわたって男性を1人にした。

1人で外へ 道路をはうように横断しようとする男性を通行人が発見

ヘルパーがいなくなった後、男性は1人で自宅の外へ出た。

男性は自力で歩行することが難しい状態だったが、近くの道路をはうようにして横断しようとしていたところを通行人が発見した。

通行人からの連絡を受けた警察が男性を保護した。

交通事故など重大な被害には至らなかったものの、車が行き交う道路まで男性が1人で出ていたことから、生命に危険が及ぶ可能性があった。

約2時間半後に戻るも、事業所や家族へ報告せず

ヘルパーが男性宅へ戻ったのは、外出してから約2時間半後だった。

玄関には警察官が残した連絡メモがあり、ヘルパーはそこで初めて男性が警察に保護されたことを知ったという。

その後、警察に連絡し、男性を自宅まで送り届けてもらった。

しかし、ヘルパーは一連の出来事を勤務先の訪問介護事業所や男性の家族に報告しなかった。

別のヘルパーが警察のメモを発見し発覚

問題が明らかになったきっかけは、その後に男性宅を訪れた別の訪問介護事業所のヘルパーだった。

警察官が残した連絡メモを見つけ、不審に思って男性の家族へ連絡した。

家族が警察にも確認したことで、男性が道路上で保護されていたことが判明。その後、問題のヘルパーが勤務していた事業所と京都市にも事実が伝えられた。

本人や事業所からではなく、別の支援者が残されていたメモを発見したことで一連の経緯が表面化した形だ。

「隠せると思った」「過去にもあったかもしれない」

男性ヘルパーは市側などへの説明で、パチンコ店に戻った経緯について、「『当たり』が出たので席を確保したまま男性の家に行き、すぐにタクシーでパチンコ店に戻った」とする趣旨の説明をしたという。

さらに、警察が男性を保護した事実を事業所や家族に伝えなかったことについて、「隠せると思った」と話したとされる。

また、同様の中抜けについて「過去にもあったかもしれない」とする趣旨の説明もしているという。

今回確認された事案以外に、具体的にいつ、どの程度同様の行為があったのかは明らかになっていない。

京都市「命に関わる問題」 ネグレクトと心理的虐待に認定

京都市は事実関係を確認したうえで、4月、男性ヘルパーによる行為を障害者虐待防止法に基づく虐待と認定した。

認定されたのは、「放棄・放置(ネグレクト)」と「心理的虐待」。

重い障害があり常時の支援を必要とする利用者を、介助時間中に約2時間半放置したことを重大視した。

市は「2時間半もの放置は命に関わる問題だ」とし、ヘルパーが勤務していた訪問介護事業所に対して再発防止策などの改善を求めた。

男性ヘルパーはその後、事業所を退職している。

「中抜け」だけでは終わらない問題

今回の事案で重いのは、単に勤務時間中に仕事を離れたという問題だけではない。

介助を必要とする男性を1人にした結果、男性が自宅から外へ出て道路上で警察に保護される事態になった。さらに、ヘルパーは戻った後も事業所や家族へ報告しなかった。

支援を必要とする人の生活では、訪問介護の時間そのものが安全確保に直結する場合がある。

その時間を私的な目的で離れたこと、危険な事態が発生した後にも情報を共有しなかったこと。この二つが重なった点が、今回の事案の重大性を際立たせている。

編集部まとめ

約2時間半という「中抜け」の間に、重度の障害がある男性は1人で自宅を出て、道路上で警察に保護された。

事故に巻き込まれなかったのは結果にすぎない。

今回の事案では、介助中に利用者を残してパチンコ店へ戻った行為だけでなく、その後に警察が介入した事実を家族や事業所へ報告しなかった点も見過ごせない。

京都市が「命に関わる問題」と判断した背景には、訪問介護が単なる家事援助ではなく、利用者の生命と安全を支えるサービスであるという現実がある。

今後は事業所側の再発防止策に加え、男性ヘルパーが「過去にもあったかもしれない」と説明している点について、どこまで事実確認が行われるかも重要になる。

週刊TAKAPI編集部:成田(デスク)

特記事項

この記事は2026年8月19日時点で確認された情報をもとに構成している。

京都市は男性ヘルパーの行為を障害者虐待防止法に基づく「放棄・放置(ネグレクト)」および「心理的虐待」と認定している。男性ヘルパーはすでに事業所を退職している。

「過去にもあったかもしれない」とする説明について、具体的な件数や時期などは明らかになっていないため、確認された今回の事案とは区別して記載している。

Q京都市で何があったのですか?
A重度心身障害のある男性を介助していた男性ヘルパーが、約2時間半にわたって男性を自宅に残し、パチンコ店に戻っていたことが明らかになりました。
Q放置された男性はどうなりましたか?
A1人で自宅を出て、近くの道路をはうように横断しようとしていたところを通行人に発見され、警察に保護されました。
Qヘルパーはなぜ自宅を離れたのですか?
Aパチンコで「当たり」が出たため席を確保したまま利用者宅へ行き、その後すぐタクシーでパチンコ店に戻ったと説明しています。
Q京都市はどのように判断しましたか?
A京都市は2026年4月、障害者虐待防止法に基づく「放棄・放置(ネグレクト)」と「心理的虐待」に認定しました。
Qヘルパーや事業所はその後どうなりましたか?
A市は勤務先の訪問介護事業所に再発防止策などの改善を求め、男性ヘルパーはその後退職しています。

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