農林水産省が公表した2024年の市町村別農業産出額(推計)で、愛知県田原市が933億6000万円となり、6年ぶりに全国1位へ返り咲いた。
前年比では4.76%増となり、田原市として過去最高額を更新。5年連続で全国首位だった宮崎県都城市の920億7000万円を上回った。
田原市は全国有数の農業地帯として知られ、野菜や花卉を中心に高い生産力を持つ。今回の首位奪還では、猛暑下でも比較的安定した生産量を維持したことに加え、キャベツの市場価格上昇が産出額を押し上げた。
野菜367億9000万円、花卉340億2000万円
部門別では、野菜の農業産出額が367億9000万円で全国2位、花卉が340億2000万円で全国1位となった。
田原市の農業は、渥美半島の温暖な気候や施設園芸を生かし、キャベツをはじめとする野菜、菊などの花卉を大規模に生産している。
単一品目に依存するのではなく、野菜と花卉の双方で全国トップクラスの産出額を維持していることが、田原市全体の農業産出額を支えている。
猛暑でキャベツ価格上昇 生産量確保が産出額を押し上げ
2024年は全国的に厳しい暑さとなり、農作物の生育にも影響が出た。
田原市農政課によると、特にキャベツの市場価格が大きく上昇したことが、農業産出額を押し上げた主な要因の一つになった。
全国各地で猛暑による不作や収量減少が発生する中、田原市では暑さによる被害が比較的限定的で、生産量を一定程度維持できたという。
供給が減少する一方で市場価格が上昇し、その中で生産量を確保できたことが、産出額の増加につながった形だ。
ただ、価格上昇そのものが農業経営の安定を意味するわけではない。高温対策や資材費、燃料費など、生産現場を取り巻くコストにも目を向ける必要がある。
都城市を12億9000万円上回る
田原市の933億6000万円に対し、宮崎県都城市は920億7000万円だった。
差は12億9000万円。
都城市は畜産を中心に全国でも突出した農業産出額を持ち、5年連続で市町村別全国1位を維持してきた。
今回、田原市がその都城市を上回り、6年ぶりに全国トップへ戻った。
農業産出額の構成は両市で異なるため、単純な生産力比較だけでは捉えられないものの、田原市の園芸農業が全国最大規模にあることを改めて示す結果となった。
山下政良市長「農家の頑張りで返り咲き」
田原市の山下政良市長は、全国1位への返り咲きについて「農家の頑張りで返り咲くことができ、非常に喜ばしい」と受け止めた。
農業は田原市の基幹産業の一つであり、生産額の増加は農家だけでなく、物流、資材、卸売、小売など関連産業にも波及する。
全国1位という数字は、地域産業の存在感を示す指標としても大きい。
豊橋市も野菜部門で全国5位
東三河では豊橋市も存在感を示した。
豊橋市の野菜部門の農業産出額は240億8000万円で全国5位となった。
田原市と豊橋市は隣接しており、東三河地域は全国的にも野菜、花卉、畜産など農業生産が盛んな地域となっている。
田原市の全国1位だけでなく、豊橋市も野菜分野で全国上位に入ったことで、東三河の農業生産力の高さが数字として表れた。
「過去最高933億円」の先にある課題
今回の結果は田原市にとって明るい材料だが、933億6000万円という産出額だけで今後の農業を判断することはできない。
2024年の増加には、キャベツ価格の上昇という市場要因が大きく影響した。
気温や降水量などの気象条件が変われば、生産量や価格も大きく変動する。猛暑が常態化すれば、高温障害への対応や水管理、施設設備への投資など、生産者の負担が増える可能性もある。
農業産出額日本一を維持できるかどうかは、価格だけではなく、生産量、担い手確保、気候変動への対応、物流や農業資材コストなど複数の条件に左右される。
編集部まとめ
田原市が6年ぶりに農業産出額全国1位を奪還した。
933億6000万円は過去最高で、野菜367億9000万円、花卉340億2000万円という二つの大きな柱が全体を支えた。
2024年は猛暑によるキャベツ価格の上昇が追い風となった一方、その背景には田原市が一定の生産量を維持できたことがある。
全国1位という結果だけでなく、気候変動が強まる中でも生産力を維持できる農業基盤をどう構築するか。今後は、その持続性がより重要になる。
週刊TAKAPI編集部/松本
特記事項
この記事は2026年8月20日時点で公表されている2024年市町村別農業産出額の推計値などを基に構成した。
田原市の農業産出額933億6000万円、都城市920億7000万円、野菜367億9000万円、花卉340億2000万円、豊橋市の野菜240億8000万円はいずれも公表された推計値として扱っている。
農業産出額は販売額そのものや農家所得と同義ではなく、産出された農産物の価値を一定の方法で推計した指標となる。
今後の農産物価格や生産量、2025年以降の順位については未確定のため断定しない。
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