大阪府河内長野市で8月4日、包丁を持って警察官に接近し、拳銃で撃たれた後に死亡した土屋重吉容疑者(当時60)について、大阪府警は9月3日、覚醒剤取締法違反や住居侵入、窃盗、公務執行妨害、銃刀法違反などの疑いで、容疑者死亡のまま書類送検しました。
府警によると、土屋容疑者は事件前に覚醒剤を使用したほか、現場近くの集合住宅の一室に侵入し、包丁2本を盗んだ疑いが持たれています。
現場で拳銃を使用した男性巡査部長について、府警は、警告や威嚇射撃を行っても土屋容疑者が包丁を持ったまま接近したとして、「適法かつ適正な職務執行だった」と判断しています。
「包丁を持った血だらけの男」と110番通報
事件が発生したのは8月4日午後7時13分ごろです。
河内長野市内のスーパー出入り口付近で「包丁を持った血だらけの男が暴れている」との110番通報があり、警察官が現場へ向かいました。
府警によると、土屋容疑者は刃渡り約16センチの包丁1本を持ち、現場で対応した警察官へ近づいた疑いが持たれています。
警察官は刃物を捨てるよう繰り返し警告しましたが、土屋容疑者は接近を続けたとされています。
警告時17メートル、発砲時は7メートル
府警が実況見分などを行った結果、警察官が最初に警告した際、土屋容疑者との距離は約17メートルだったとされています。
警察官が上空へ威嚇射撃を行った時点では約10メートル、その後、土屋容疑者に向けて発砲した際には約7メートルまで距離が縮まっていました。
発砲した弾丸は土屋容疑者の左胸に命中しました。
土屋容疑者は公務執行妨害と銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕され、病院へ搬送されましたが、その後、死亡が確認されました。
司法解剖の結果、死因は胸部への銃撃による出血性ショックとされています。
事件直前に集合住宅へ侵入し包丁2本を盗んだ疑い
その後の捜査で、土屋容疑者は事件直前の8月4日午後7時ごろ、現場近くの集合住宅の一室へ侵入し、包丁2本を盗んだ疑いがあることが分かりました。
現場で警察官へ接近した際に持っていたとされるのは、そのうちの1本です。
府警は、住居侵入と窃盗の疑いも加えて書類送検しました。
集合住宅の部屋へ侵入した方法や、住人との関係、包丁を持ち出した詳しい経緯については、現時点で明らかになっていません。
覚醒剤使用の疑いでも書類送検
府警は、土屋容疑者が7月下旬から8月上旬までの間に、覚醒剤若干量を何らかの方法で摂取した疑いがあるとしています。
このため、覚醒剤取締法違反の疑いでも書類送検しました。
ただし、覚醒剤の使用が事件当時の行動にどのような影響を与えたのかについて、府警は具体的な因果関係を明らかにしていません。
覚醒剤使用の疑いと、刃物を持って警察官へ接近したとされる行為は、分けて確認する必要があります。
府警「拳銃使用は適法かつ適正」
大阪府警は当初、拳銃使用について「発砲の要件を満たしていると判断されるが、詳細は調査中」と説明していました。
その後、実況見分や関係者への確認などを進め、警告から発砲までの距離や状況を調査しました。
府警は、土屋容疑者が刃物を持って警察官へ接近し、警告や威嚇射撃にも従わなかったとして、逮捕と警察官自身の安全確保のため、拳銃の使用はやむを得なかったと判断しています。
府警警務部は「容疑者が死亡したことは残念であるが、警察官の拳銃使用は適法かつ適正な職務執行だった」としています。
これは大阪府警による内部調査上の判断です。裁判所など第三者機関が拳銃使用の適法性について判断したとの発表は、現時点では確認されていません。
死亡後でも書類送検される理由は
被疑者が死亡した場合でも、警察は捜査で確認した事実や証拠を検察庁へ送ることがあります。これが「容疑者死亡のまま書類送検」と呼ばれる手続きです。
書類送検は有罪認定ではありません。
検察は警察から送られた記録を確認したうえで最終的な処分を決めますが、被疑者が死亡しているため、刑事裁判で事実関係や刑事責任が審理されることはありません。
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