9月13日投開票の沖縄県知事選は、告示前に伝えられていた「現職・玉城デニー氏(66)が先行」という構図から変化し、新人で前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)が急速に差を詰めている。
9月3日午後までに週刊TAKAPIが確認した、調査方法を公表している最新の情勢調査では、古謝氏と玉城氏は「横一線」。投票先を決めていない有権者は約5割に上っており、現時点でどちらかを「優勢」と断定できる状況ではない。
一方、告示前から報じられてきた政党内部の調査では、古謝氏が玉城氏との差を段階的に縮めてきたとの情報がある。さらに、県内41市町村長のうち29人が古謝氏支持を表明するなど、組織面では古謝氏側に追い風となる材料が目立つ。
週刊TAKAPIは、これまでの「事前予想」がどう変化したのか、最新データを基に現在の形勢を整理した。
告示前は「玉城氏リード」 差は9ポイント→6ポイント→4ポイントとの情報
告示前に報じられた自民党内部の情勢調査では、古謝氏は当初、玉城氏を追う展開だった。
報道された推移は次の通りだ。
| 時期 | 報じられた情勢 |
|---|---|
| 7月上旬 | 古謝氏が約9ポイント差で追う |
| 7月中旬 | 差が約6ポイントに縮小 |
| 8月中旬 | 差が約4ポイントに縮小 |
| 8月28~30日 | 公開情勢調査で「横一線」 |
7月上旬から8月中旬にかけ、古謝氏が段階的に差を縮めたとする内部調査情報が報じられていた。
ただし、7月から8月中旬までの数字は政党内部の調査について関係者が明らかにしたもので、回答者数や抽出方法などが一般向けに十分公表された世論調査とは性質が異なる。
そのため、この数字だけを連続した「支持率推移」として断定的に比較することには注意が必要だ。
それでも複数時点で「差が縮まっている」と報じられていたことと、告示後の公開調査が「横一線」となったことを合わせれば、古謝氏が選挙戦までに大きく追い上げた構図は確認できる。
最新の公開調査は「横一線」
最新の公開情勢調査は、8月28日から30日にかけて県内有権者を対象にインターネットで実施された。
結果は、
古謝玄太氏 横一線
玉城デニー氏 横一線
という分析だった。
さらに、
投票先未定 約5割
知事選に「行く」 約7割
となっている。
この「約5割」という未定層の大きさは、今回の選挙情勢を見る上で極めて重要だ。
序盤情勢が横一線でも、半数近い有権者の投票先が固まっていない以上、終盤までに情勢が大きく動く余地が残る。
「支持政党なし」が5割超 最大勢力は無党派
さらに同じ情勢調査では、「支持する政党・政治団体はない」と答えた人が5割を超えた。
政党支持者より、特定政党を支持しない有権者が最大の層となっている。
今回、古謝氏は自民、維新、国民民主、参政、日本保守、公明党県本部など幅広い推薦を受けている。
一方、玉城氏も「県民党」を掲げ、従来の支持勢力だけでなく無党派層への浸透を狙っている。
つまり、両陣営が固有の支持者をどこまで固めるか以上に、「支持政党なし」の有権者をどちらが取るかが勝敗を左右する可能性が高い。
最大の争点は辺野古ではなく「経済・雇用・物価高」
今回の調査で、過去の沖縄県知事選との違いが最も鮮明に表れたのが政策の優先順位だ。
投票先を決める際に重視する政策では、
経済・雇用・物価高対策 46.9%
が最多。
これに対し、
基地問題・安全保障 16.6%
だった。
つまり、基地・安全保障を重視する層の約3倍近くが、暮らしや経済を最優先している。
これは県民所得倍増や経済成長、AI・デジタル活用を前面に掲げる古謝氏にとって、選挙戦略上は追い風になり得る。
一方、玉城氏も物価高対策や家計支援、若年・現役世代への支援を強く打ち出しており、「経済=古謝氏、基地=玉城氏」という単純な二分法にはなっていない。
玉城県政の評価は「評価する」42% 「評価しない」35.6%
玉城氏側にとって重要な数字もある。
2期8年の玉城県政について、
評価する 42.0%
評価しない 35.6%
だった。
「評価する」が「評価しない」を6.4ポイント上回っている。
これは玉城氏が現職として一定の評価を維持していることを示す一方、評価する層が過半数に達しているわけでもない。
今回の選挙が玉城県政2期8年への信任投票という側面を持つことを考えれば、古謝氏側には「県政刷新」を求める層をどこまで取り込めるか、玉城氏側には県政を評価する層を実際の票まで固められるかという課題がある。
市町村長は古謝氏29人、玉城氏6人
組織面で最も目を引く数字が、県内41市町村長の支持動向だ。
調査では、
古謝玄太氏 29人
玉城デニー氏 6人
特定候補を支持しない・未回答 6人
だった。
古謝氏支持は全首長の約7割に達する。
ただし、これは県民支持率ではない。
首長が古謝氏を支持している自治体でも、その地域の有権者が古謝氏へ投票するとは限らない。
それでも、首長、地方議員、経済界などを通した地域組織の動員力という点では、古謝氏側の強い材料の一つとなる。
下地幹郎氏の撤退で構図が大きく変化
告示直前まで今回の選挙には、元衆院議員の下地幹郎氏も立候補する予定だった。
下地氏は前回2022年の県知事選で約5万4000票、得票率約8%を獲得している。
今回も出馬していれば3万~5万票程度を得る可能性があるとの見方があり、古謝氏と玉城氏の接戦では無視できない存在だった。
しかし下地氏は告示直前に出馬を取りやめ、自民党側と政策協定を締結した上で古謝氏支援を表明した。
これによって保守・中道票の分散が抑えられたことは、古謝氏追い上げの背景の一つとして考えられる。
ただ、下地氏に投票する予定だった人が全員古謝氏に移るわけではなく、棄権や別候補への投票に回る可能性もある。地元の選挙取材でも、この「下地票」の行方は不透明と分析されている。
古謝氏は男性、玉城氏は女性で比較的強いとの内部分析も
9月2日に報じられた自民党関係者の説明では、8月29、30日の党調査で古謝氏が玉城氏に「肉薄」しているとされる。
その内訳では、
古謝氏は男性からの支持が比較的強い
玉城氏は女性からの支持が比較的強い
との分析も示された。
さらに推薦政党別では、自民、公明、参政、日本保守の支持層では古謝氏が優勢とされる一方、推薦を出している維新の支持層では玉城氏の方が高いという内部分析も報じられている。
ただし、これも政党内部の調査に関する関係者証言であり、公開世論調査とは分けて扱う必要がある。
「古謝44.1%、玉城40.9%」は引き続き参考値扱い
SNS上では、
古謝氏44.1%
玉城氏40.9%
との「自民党内部調査」の数字が広く拡散されている。
しかし、調査対象者数、抽出方法、質問内容などを確認できる正式な調査概要は、週刊TAKAPIが9月3日午後までに確認した範囲では一般公開されていない。
さらに9月3日付の報道では、ほぼ同時期に実施されたとされる複数の「自民党調査」で異なる数字が出回っているとの指摘もある。
そのため、週刊TAKAPIでは44.1対40.9を確定した支持率としては扱わない。
最新の公開調査に基づく現在地は、あくまで「横一線」だ。
9月3日時点の形勢 週刊TAKAPIの判定は「互角」
公開された数字だけを整理すると、現在は次の構図になる。
| 項目 | 古謝玄太氏 | 玉城デニー氏 |
|---|---|---|
| 最新公開情勢 | 横一線 | 横一線 |
| 告示前からの動き | 大幅に追い上げ | リード縮小との報道 |
| 市町村長支持 | 29人 | 6人 |
| 県政評価 | ― | 評価42% |
| 男女性別の内部分析 | 男性で比較的強い | 女性で比較的強い |
| 主な強み | 経済政策、組織、候補一本化 | 現職実績、知名度、県政評価 |
| 最大の課題 | 無党派・維新支持層 | 首長・組織基盤の弱まり |
週刊TAKAPIとしては、9月3日時点の選挙情勢を**「互角」**と見る。
古謝氏には明らかな上昇傾向と組織面での追い風がある。一方で、公開調査ではまだ玉城氏を上回ったとは確認できず、玉城県政の評価も不評価を上回っている。
したがって「古謝氏優勢」「玉城氏敗北濃厚」と結論付ける段階ではない。
勝敗を左右する3つのポイント
終盤に向けて注目すべきなのは、①約5割の無党派・未定層、②経済・物価高を重視する有権者、③下地氏が前回獲得した約5万票規模の支持層がどこへ向かうかだ。
特に投票先未定が約5割残る現在、数ポイント程度の差は短期間で逆転し得る。
前評判では玉城氏がリードしているとの見方が強かった今回の知事選は、告示後には古謝氏が追いつき、完全な接戦へと姿を変えた。
編集部まとめ
7月段階では玉城氏を古謝氏が追うとの内部調査情報が伝えられていたが、その差は9ポイント、6ポイント、4ポイントと縮小したと報じられ、最新の公開情勢調査では両氏が「横一線」となった。
組織面では古謝氏に追い風が吹く一方、玉城県政を評価する人は不評価を上回る。現時点で勝敗予測は五分五分。約5割の未定層が動く終盤戦が、本当の勝負になる。
週刊TAKAPI 編集部/鈴木
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